外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

需給ギャップ

市場心理のぐらつき4

人の心理はいつも現状より先を反映しやすいものかもしれません。調子が良い時(ブル)はこのままいけば俺は億万長者だ、事業は大成功だ、欲しかった家も車も買えるというかなり先のロードマップを想像します。宝くじを買うときも当たった時のことを想像して買う人が多いでしょう。同じことです。

一方、弱気(ベア)になると更にその先の悪いことを考えてしまいます。このままでは赤字だ、倒産だ、クビになる…であります。これを株式市場に当てはめると損した、信用の決済ができない、追証だ、強制売買だという形になります。しかも追証は2営業日しか時間を与えてもらえません。その間に現金を含む担保差し入れをしないと強制終了になります。

信用を膨らませている人にはこれが一番怖いのであります。今回の株式暴落で恐ろしい思いをしたのは一般投資家でしょう。日経平均の日足チャートの目盛りが10円単位ではなく100円単位で乱高下するそのシーンは長年株式市場とお付き合いさせている私もあまり記憶がありません。証券会社には追証の問い合わせが殺到したとのことです。中国からは損失の金額が大きくなるほど飛び降りる建物の高さが上がるといった嘘か本当か分からない話も聞こえてきます。

その中国、ついには「僕だけが悪いんじゃないもん、アメリカが利上げするといったからじゃん」と完全開き直り態度を取りました。挙句の果てに「アメリカも欧州も日本も努力足りないんじゃないの」と責任転嫁状態であります。正に中国の素顔そのものであります。逆に万策尽きたともいえます。

利下げしても株価は下がる、こんなことは今までは普通ではありませんでした。しかし、心理とは正に地の底まで悪くなると思ってしまうところに問題があります。中国の一般投資家は株価がマイナスになるとでも思っているのでしょうか?株は所詮、有限責任です。損も有限です。レバレッジを含めた投資総額以上の損はありません。勿論、命は取りません。

私が見る中国の失速には二つのキーがあると思います。一つは13億の人口を成長の糧に転換できていないこと、もう一つは習近平国家主席の厳しい腐敗取り締まりであります。

まず人口ですが都市居住者と農村居住者はざっくり半々です。ところが戸籍で見ると依然農民工が3分の2を占めます。つまり中国は経済のエンジンとしての人口についてその潜在能力を十分に生かし切れていません。

二点目の腐敗取り締まりですが、中国には共産党委員が約8700万人います。その人たちが何らかの袖の下で蓄財、散財していたものを止めたわけです。もちろん、正しい政策ではあるのですが、経済には当然厳しい影響が出るのは分かり切っています。まさに需給ギャップの問題だと思いますが、外資もこぞって中国という夢を追ったのはかつてのカリフォルニアのゴールドラッシュと同じようなものなのかもしれません。

そこまで考えれば中国がどこまで悪いのか、というより中国は調整に時間を要し当面、回復しないから諦めて他の成長エンジンを探すというポジティブ思考に転換するしかないと思います。中国とは縁もゆかりも全くない企業の株までとことん売りたたかれる理由は基本的にはなく、単にお付き合いをさせられている、という割り切り感を投資家は持つべきでしょう。

驚いたのはアメリカでQE4の声が出てきたことです。甘い汁を一度吸うと忘れられない、とはこのことでしょう。私はもう20年近くずっと言い続けていることがあります。「金利は下げたら上げにくい」と。それは緩い下り坂を走り続けているとちょっとした上り坂も息絶え絶えになるのと同じです。ですが、これ以上下げてはいけません。下げると体力低下を意味するともいえるのです。高い金利を払ってでも事業を推進出来る成長性がないということです。経済の老化の一種であるともいえましょう。

今回の乱高下は一旦は収まってくるとは思います。いや、そうでないと困ります。先進国でも対策を打ち出す可能性があります。少なくとも中国への過剰期待に対して大いなる反省とすべきでしょうか。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

物価は上がれど暮らしは…4

4月1日の消費税増税を前に多くの人は買いだめをされたようですが、私は4月になれば駆け込み需要があるような商品は価格は下がることを見越し、買いだめには否定的でした。事実、ある調査によると家電量販店の価格は4月1日以降、明白に下がり始め、8%の消費税込みの金額でも3-5%程度下がっていているようです。理由は消費税上げ1か月前頃から駆け込み消費を期待した売り手側が強気の価格設定を行い、品切れ御免のスタンスを取ったからであります。

高校生でも分かる経済の原則とはモノの価格は需要と供給が一致したところで決まります。これを如実に表しているのが株価ボードの「板」でしょうか?売り方と買い方の様々な価格での注文状況が一目でわかり、例えば良いニュースがあれば買い方が売り物をブラックホールのごとく吸い取っていく様子は結構、おおーっ、と唸ってしまうことすらあります。

つまり、消費税増税前はマスコミに踊らされた「駆け込み祭り」の大好きな日本人がどっと押し寄せるという良いニュースがありましたから売り方である商店とすれば、安い価格で売らなくても大丈夫、というストーリーになっていたのです。ところが一旦、消費税増税が実施されると祭りは終わりますから今度は売り方の商店は売り急ぎを図ります。これが価格を下落させる一因となります。例えばあのエコ減税の後のテレビの価格の暴落ぶりは記憶に新しいのですが、消費者はテレビを買ってしまったら家電量販店のテレビ売り場は素通りでいくらで売っているのか見向きもしないということなのでしょう。

さて、先日、日銀は需給ギャップがマイナス0.1%となったと発表しました。内閣府発表のそれはマイナス0.7%でしたからやや隔たりがあるもののこの需要の回復が物価水準を安定的に引き上げ、2015年、16年とも2%のインフレ率を達成するとしています。この需給ギャップ、本当に埋まるのでしょうか?

日銀のシナリオは雇用改善と賃金上昇を拠り所にしています。つまり私が懸念する円安によるコストプッシュ型インフレではないというわけです。この雇用絡みの日銀の期待はやや、楽観的過ぎる気がしています。

日本は製造業中心で伸びてきた国です。この20年こそサービス業が主流となりつつありますが、依然、製造業が大手を中心としたピラミッド構造になっている点も否めません。そしてファイナルプロダクトを作る大手とコア下請けは海外進出を果たせますが、孫、ひ孫請けの中小企業は海外展開するための人的、資金的、ノウハウ的余力はなく、結局日本でとどまり、技術継承ができず、廃業している会社も多いのです。

20年の間に日本はサービス業を主体とした産業構造に変換してきたのですが、中小の製造業はその体質をなかなか変えることができないまま今日に至っています。結果としてグローバル社会に取り残されていた会社も多いということです。一方、雇用のミスマッチは至る所で起きています。若者のマインドはより働きやすい環境を求めてきました。素敵なオフィス、成長する企業、誰でも知っているあの会社などブランドとイメージを大切にしました。結果として建設業や介護といった人材が圧倒的に不足しているところが発生してしまったのです。

日銀のシナリオはこのミスマッチを読み込んでいない気がします。つまり、失業率は低いが非正規が三分の一の現状、そして賃金上昇、ベアがあったのは大手の一角のみであってそれが今後安定的に末端まで広がるとするのは出来過ぎた話かと思います。労働力は女性と高齢者によりある程度は確保できますが、それは潜在戦力を引き出しただけで根本的に人口が増えていないこの成熟国で総需要がさらに増える方法はある程度限定されていると思います。

物価は上がりそうですが、暮らし向きはやはりほとんどの家庭で変わらないか厳しくなるのは消費税云々というより日本の構造的問題ではないかと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。
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