2017年01月23日

扁桃体内部の役割分担

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「嬉しい」「嫌だ」といった情動体験は、その体験に特有な行動を引き起こします。マウスでは、嬉しい体験は繰り返そうとし、嫌な体験にはすくみ行動(じっとその場に動かなくなる行動)をとったり、その体験を避けたりします。これまでの研究により、どちらのタイプの行動も脳内の扁桃体にある基底外側核の働きによって引き起こされることが知られていました。しかし、嬉しい体験で働く神経細胞(嬉しい体験細胞)と嫌な体験で働く神経細胞(嫌な神経細胞)が基底外側核内で混在している説と異なる領域に局在している説があり、その詳細は不明でした。

今回、理研の研究チームは、行動中に活動した神経細胞を標識する遺伝学的手法を用いて、嬉しい体験細胞と嫌な体験細胞の特徴を調べました。その結果、嬉しい体験細胞はPppr1r1b遺伝子を発現し扁桃体基底外側核の“後方”に局在し、嫌な体験細胞はRspo-2遺伝子を発現し扁桃体基底外側核の“前方”に局在していることが分かりました。
>>>(嬉しい体験と嫌な体験は互いに抑制し合う

扁桃体基底外側核を調べてみると,嫌な体験細胞は「前方」に,うれしい体験細胞は「後方」に局在することが確認されました。さらに,それぞれの部位を刺激することを考えて,次のようなことをやったそうです。

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マウスの脚に軽い電気ショックを与えながら、嫌な体験細胞の働きを「光遺伝学」で人工的に抑えるとすくみ反応が減少しました。光遺伝学とは、光感受性タンパク質を発現させた神経細胞群に局所的に光を当て、その働きを活性化させたり抑制させたりする技術のことです。また、マウスが鼻先を壁の穴に入れると報酬の水をもらえる装置で、マウスが水をもらっている最中に嬉しい体験細胞の働きを人工的に抑えると、鼻先を穴に入れる回数が減少しました。このことから、嬉しい体験細胞および嫌な体験細胞の活動が、それぞれの体験に特有な行動を“実際に”引き起こすことが明らかになりました。さらに、電気生理学的手法を使って、嬉しい体験細胞と嫌な体験細胞は、それぞれの働きを“互いに抑制し合う”ことを突き止めました。
>>>(同上 フルバージョン

この成果を,うつ病等の情動障害の治療に応用する可能性が紹介されています。PTSDは,扁桃体外側核前方以外にも,関係している部位があるような気がします。

frrev at 21:40|PermalinkComments(0)TrackBack(0) EMDR 

2017年01月22日

認知的不協和

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新車を購入した場合、運転中に自分が購入した車と同じ車種に注目してしまうことや、購入した車の広告に注目してしまうといったことが起こる。
 これは、購買行動が正しかったかどうかという不安を取り除く為に、「自分が購入した車は他にも多くのユーザーが選んでいる素晴らしい商品だ」という認知や、広告で伝えられる製品の良い点を確認することで「購入は間違いでは無かった」という判断を行うことで、不協和逓減をしているのである。
>>>(ここ

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その不快感を解消するため、自分の考えや行動を以下4つのいずれかで変えようとする。
 (1).事実を変える(事実が自分の考えになるよう努力する)
 (2).考えを変える(事実を受けとめ、考えを改める)
 (3).事実を軽視する(たいした問題じゃないから、まあいいか)
 (4).新しい考えを追加する(あの人のせいだ!時期が悪かった)

行動したり、自分の非を認める(1)や(2)より、頭の中から消したり、他人や環境のせいにする(3)や(4)は心理的な負担が少ないため、選らばれやすい。
>>>(同上)

美味しそうに見えたぶどうだけど,飛び跳ねても届かないことがわかると,酸っぱいぶどうに違いないと認知を変えるのは,上記の例で言えば,「事実を軽視する」に該当するでしょうか。「考えを変える」に当てはめると,美味しそうなぶどうだけれども,自分には手に入れることができないという事実を受け止め,あきらめるということになるのでしょう。

食べたいけれども手に入らないという状態で生じる不快情動は,手に入らないものの価値を下げることで低減させることができます。不快情動という古い脳の活動が,新しい脳の活動である認知を歪める例として,あまりにも有名な認知的不協和です。

frrev at 20:42|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 経済 

2017年01月21日

観察者効果

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社会科学および一般的意味において、観察者効果とは、見られていると意識したときに行動が変化する現象を指す。
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これだけでは何だかよくわかりません。

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行為の性質を対象である人間(患者)から見て不明にして行う試験・研究の方法を、単盲検法という。これにより真の薬効をプラセボ効果(偽薬であってもそれを薬として期待することで効果が現れる)と区別することを期待する。しかしこの方法では観察者(医師)には区別がつくので、観察者が無意識であっても薬効を実際より高くまたは低く評価する可能性(観察者バイアス)や、患者に薬効があるかどうかのヒントを無意識的に与えてしまう可能性が排除できない。そこでこれをも防ぐために、観察者からもその性質を不明にする方法が二重盲検法である。
>>>(二重盲検法

ちょっと逸れますが,プラセボ効果というのは,認知バイアスを超えた,生理的レベルにまで及ぶバイアスなのでしょう。

さて,薬効の評価には,そうしたプラセボ効果だけでなく,観察者からの非言語的,無意識的なサインが被験者に影響を与えることも考慮しなければならないということで,その影響を排除するために二重盲検法が行われるようです。

このときに限らず,観察者は,多かれ少なかれ,観察される相手にサインを出していて,それをキャッチした被観察者の行動や判断に影響が及ぶということなのでしょう。

観察者の期待に応えることで安心感が得られるとすると,その背景にある不安を低減させたいという気持ちが,行動や判断を歪めるということで,古い脳の働きが新しい脳に影響を与えているものと考えられます。

frrev at 22:50|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 経済 

2017年01月20日

あと知恵バイアス

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人間は、実際に起こったことは、起きなかったことよりも可能性が高かった、と後で感じるものだそうです。
(口に出すかどうかは別として)「俺はそうなると思っていたよ」というわけです。
友人同士でこんな会話をするのならまだ我慢できますが、事故調査委員会や評論家までこんな発想をしてしまうことがあります。
>>>(ここ

本当はそうなると思っていなかったけれども,明言していなかったのを良いことに,思っていた通りの結果になったと言いたがる,あるいは思いたがる心の動きがあるというのが,あと知恵バイアスのミソのようです。

自分の思い通りにならなかったことについて,後から,本当はそんなことはしたくなかったと言う強がりや負け惜しみ(認知的不協和:酸っぱいぶどう)と,心の動きから言えばおおむね同じようなものではないかと思います。

自分の誤りや失敗を認めることは,他者との関係において自分の劣位を認めることであり,集団において自分の地位が危うくなるのではないかといった不安を生じることにもなります。こうした不安を避けたいという気持ちゆえに,強がったり,負け惜しみを言ったりするのでしょう。あと知恵バイアスもおおむね同様のメカニズムによるものと考えられます。

これらも,不安等,古い脳の活動が,新しい脳の合理的な思考を歪めている例と言えるでしょう。

frrev at 22:48|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2017年01月19日

プロスペクト理論

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A)ある投資により、100万円既に儲かっている。このまま投資を継続すれば、80%の確率で儲けは130万円になるが、20%の確率でゼロになる。
B)ある投資により、100万円既に損している。このまま投資を継続すれば、80%の確率で損は130万円になるが、20%の確率でゼロになる。

期待値から計算すると、Aの場合は投資を継続し、Bの場合は投資を継続しない(損を確定させる)方が好ましい。
しかし、多くの人は、Aの場合には、投資を継続せず(利益を確定させる)、Bの場合には投資を継続するという判断を行う。
>>>(ここ

利益を得ると,それを失う不安が生じます。すでに損失がある場合には,それがゼロになったとしても,安堵はするが喜びとまではいきません。

ヒトを動かす情動は,その種類によって大きさが違うようです。

あるいは,あるものを失うことは去勢の不安と同じ情動を生じます。エディプスコンプレックスが,プロスペクト理論を理解する鍵になるのかもしれません。

frrev at 23:58|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 経済 

2017年01月18日

小さな幸せ

週末にウインナーの袋を開けて出すと,6本入りのところに7本入っていました。

今朝,靴底に付着していた雪が取れて床についたものを見ると,ハート形になっていました。

取るに足りないような小さなことですが,何だかいいことがありそうな気持になりました。そんな気持ちになると,世の中が違って見えてきます。楽観的とか脳天気といった感じで,財布のひもが緩くなるなど,抑制が低下するようです。

認知バイアスについて読んでいますが,これもその一つと考えていいように思いました。

frrev at 23:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 経済 

2017年01月17日

コンコルドの誤謬

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超音速旅客機コンコルドの商業的失敗を由来とする言葉で、コンコルドの誤り、コンコルド錯誤とも言われる心理現象の一つです。

ある対象への金銭的・精神的・時間的な投資をしつづけることが大きな損失に繋がるとわかっていても、それまでの投資を惜しみ、投資をやめられない状態のことをいいます。
>>>(ここ

経済合理性から言えば,コンコルドへの投資を続けることは損失を拡大させることになることが明らかであるのであればすっぱりと投資することを断念すべきところです。しかし,そこまでの投資が巨額であればあるほど,非難などによる苦痛が大きくなるため失敗を認めることが難しくなり,決断を先延ばしにして,ますます損失を大きくしてしまうという,感情優位(旧皮質の活動)で経済合理性(新皮質の活動)に反する意思決定をしがちなヒトの性質を示す例のひとつがコンコルドの誤謬です。

ヒトは,進化の過程で感情優位の意思決定を選択して生き残ってきました。「逃走又は闘争」という危機的な状況においては,古い脳の活動が生存の可能性を高めたことでしょう。巨額の損失は,更迭につながっても,命までは奪われません。組織が大きくなるほどに,より理性的な意思決定をできるヒトが,権力を奪い取り,ヒトの集団は進化を続けていくようになっているということかもしれません。

frrev at 23:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 経済 

2017年01月16日

リスキーシフト

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「赤信号みんなで渡れば怖くない」と言う言葉が有名ですね。
つまり、みんなが「大丈夫だ」という雰囲気なら冷静に考えれば危険なことも大丈夫だと思えてくる心理です。
>>>(ここ

みんなが赤信号で渡っているのに,自分だけ渡らないでいると,周囲から疎外されるのではないかと不安を感じるなどして,古い脳の活動性が高まります。その圧力によって,新しい脳は,「赤信号は止まれ」の意味を,「安全が確認できれば従う必要はない。」などと解釈を変えて,周囲に迎合することを決めます。

危険があっても解釈や認知を変えて周囲に迎合するという趣旨ですが,危険がないときにはもっと迎合する傾向が強まるものと思われます。

frrev at 21:21|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 経済 

2017年01月15日

フレーミング効果

 (>_<) 氷点下13℃!!!
氷点下13℃


フレーミング効果(表現によって印象も変わる)の例としてよく取り上げられるものです。
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生存率95%より、死亡率5%と説明された病気のほうを恐れる
>>>(ここ

生存率という言葉と比較すると死亡率の方が情動を大きく動かすものと思われます。情動が動いた上で数字を見ることは,「ガーン!!!」などと漫画風に表現された(情動を喚起された)ところに書かれた数字を見せられるようなもので,ニュートラルに表現された数字よりも深刻に受け止められることとなるものと思われます。

frrev at 16:16|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 経済 

2017年01月14日

バーナム効果

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誰にでも該当するような曖昧で一般的な性格をあらわす記述を、自分だけに当てはまる正確なものだと捉えてしまう心理学の現象。
出典
バーナム効果 - Wikipedia
これは数ある心理学現象の中でも有名ですね。
>>>(ここ

いろいろな精神障害の状態像について読むと,どれも自分に当てはまるように思う人が多いのですが,それはどの精神障害にも該当しないことの証拠であるといったことを学生時代に聞きました。バーナム効果が機能しているという観点から言えば普通の人ということになるのでしょうか。

性格をあらわす一般的な記述として,明るい,暗いを例として取り上げてみると,「あなたには明るいところがありますね。」と言われれば,「はい」と答えるでしょうし,「あなたには暗いところがありますね。」と言われても「はい」と答えるでしょう。だれにも,明るいだけで暗い面が全くない人などいないし,逆もそうです。

80%明るくて,20%暗い人の場合について,「明るく振る舞っているけれども,実は暗い。」などと占い師から言われると,暗い人のように思ってしまいます。客観的には明るいはずの人も,暗い人であるかのように錯覚させられるのです。

権威に従うのは適応的な在り方です。権威に逆らうことは,不安を生じさせますから,こうした古い脳の働きが,認知を歪める背景にあるものと考えられます。

frrev at 20:55|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 経済 

2017年01月12日

ハロー効果

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ハローとは、「後光が差す」と言う時の後光、聖像の光背や光輪のことで、後光効果、光背効果とも呼ばれる。
>>>(ここ

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例)Aさんは英語が得意なので、ヒューマンスキルも高いだろう
例)Bさんは人相が悪いので、犯罪者かもしれない
>>>(同上)

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ハロー効果が起こる原因は、物事の一面だけで判断することで、即断が可能になるからである。原始的な時代ではこの考え方は生存に有利であり、それが遺伝的に受け継がれていると考えられている。
>>>(Wikipedia)

カプグラシンドロームの場合は,例えば父親の視覚映像に伴っているはずの情動の高まりがなくなることで,父親のようだが別物であると確信する,といったことが起こっていると言われています。

ハロー効果の場合は,視覚映像に伴う情動の高まりが,認知に影響を与えているのではないかと直観的に思っています。つまり,視覚映像の多様さに比較して,情動はそれほど多様でなく,別々の視覚映像でありながら,情動を共有していることから,ひとつの視覚映像から生じる情動の高まりが,同種の情動を生じる別の視覚映像を喚起し,それが光背のように認知に影響を与えるということなのではないかと思います。

これも,情動という古い脳の活動が,新しい脳の活動を歪める要因として存在しているものと言えるでしょう。

frrev at 23:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 経済 

2017年01月10日

自己奉仕バイアス

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人は、成功した場合に、その要因を自分自身に帰属させ、逆に失敗した場合には、自分ではどうにも出来なかった、制御不能な他の点に要因を帰属させるというのです。

また、自分の考えに似たようなこと、自分の考えを支援してくれるようなことは重視し、逆に、反論となるようなことに対しては、軽視するという傾向もあります。

このようなことが「自己奉仕バイアス」、つまり自分自身に奉仕するように、物事の見方にバイアスをかけることになるわけです。

個人というレベル(つまり自己)ではなく、チームや組織という集団でも同様なことが起きると言われ、その場合は、「集団奉仕バイアス」と呼びます。
>>>(自己奉仕バイアス

5日ほど前に「ネポティズム」について書いてありますが,身内びいきという点では,「集団奉仕バイアス」もほぼ同じことと言えるでしょう。

上記のリンク先を開くと,優秀な営業マンは「自己奉仕バイアスが少ないような気がする」と言ったことが書かれています。

自己奉仕バイアスというのは,平たく言えば「言い訳」みたいなもので,言い訳ばかりしている営業マンはダメな奴であり,自分に足りなかったところ,自分の落ち度がどこにあったかを客観的に認識し,改める姿勢のある営業マンは良い成果を上げることができるというところでしょうか。

ヒトはなぜ間違った判断をするのかといったことに関心のある私としては,優秀な営業マンよりも,失敗を繰り返す人に目が向きます。失敗を繰り返す営業マンは,日ごろから叱責されたり非難されたりすることが多く,ダメな自分に直面することも少なくないことから,情動面では悲しいとかつらいといったネガティヴなものに支配されがちです。そうした否定的な情動を排除したり,中和化したりして,気持ち的に楽になれるように,認知を歪めることが言い訳であり,自己奉仕バイアスなのでしょう。

frrev at 22:13|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 経済 

2017年01月09日

確証バイアス

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反証になるような証拠を無視したり、探す努力を怠ったりした結果、自分の判断は間違っていないと思い込む傾向がある。
>>>(ここ

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友人と議論になった。その後、自分の主張を正当化する情報ばかり集めてしまう。
>>>(同上)

特殊詐欺の被害者の例を挙げると,被害者にかかってきた電話の声が,息子とは違うような気がする(反証となるような証拠)にもかかわらず,「追い詰められて余裕がなくなっている」とか「体調が悪いに違いない」など,声がいつもと違うのは何か理由があると考え(証拠を無視して自分の判断が正当と思い込む)て,結局息子に送金してしまうようなことがあります。

息子と名乗る男の哀願するような声に情動が興奮し,前頭前野の機能が抑制され,客観的な判断が難しくなるということです。この例で言えば,前頭前野の機能は,抑制されるというよりは,旧皮質の支配下に置かれて,間違った判断を正当化する理屈を探すことまでさせられてしまっているという方が近いでしょう。

frrev at 20:44|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 経済 

2017年01月08日

もう8日だけどツイッタチ

ツイッターは読むためだけに登録していましたが,もしかすると,このブログについての情報をツイッターで得たいという方もいるかと思い,書いてみることとしました。この先のことは分かりません。とりあえず,フォローしたい場合は,下のリンクへどうぞ。

ここ

日経サイエンスとかNHKスペシャルなど,気になる情報を漏らさないためには,ツイッターでフォローするのが効率が良いことが分かりました。iOS用のツイッターアプリを使うことで,テレビの見逃しも少なくなるでしょうし,関心のある記事が掲載された日経サイエンスの販売時期を逃さずに購入又は立ち読みできることになります。

このブログに関する情報は,過去を遡れば良いので,それほど価値があるとは思えませんが,読み飛ばすべきか,読んでも良いかについての情報を提供できれば,読者側にメリットのあるものとなるかも知れません。

そうした期待に応えるかどうかも分からないので,しばらくは様子を見ることとしましょう。

最近休みが多いので,つい余計なことをいろいろと考え,始めてしまっているこの頃です。

frrev at 21:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2017年01月07日

アンカリング効果

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1万円の料理を高いと思うか安いと思うかの判断において、「5000円でも似たような料理が食べられる」と聞かされればひどく高いものに感じられるが、「いつもは1万5000円だが今日は特別に1万円にサービスする」と言われれば高くないように感じてしまう。
>>>(ここ

私の場合は,「いつもは1万5000円だが今日は特別に1万円にサービスする」と言われても,1万円の料理は高いと思いますから,上記の例は説得力がないのですが,言わんとしていることは分かります。ただ,「安い」ではなく「高くない」と表現したところには,引用元の文章を書いた人にも庶民的な感覚があるように思い,共感します。

1万円の料理を食べた後で,実は5000円でも似たような料理を食べられると聞いたときには,認知的不協和が起こり,5000円で食べられる似たような料理は,それなりであって,1万円の料理とは違う,といった合理化が起こりやすくなります。スーパーで50%引きの刺身を買うときには,同じものを半額で買えたと喜びますが,元値で帰った後に,妻が50%引きの同じものを買ってきたら,それはもう味が落ちていると思いたくなる,など,同様の例は枚挙にいとまがありません。

安価リング効果ではなく,アンカリング効果のキモは,もともと提示された値段に,その後の判断が影響されるというところにあります。

スーパーで2万円で売っているコートと同じくらいの品質のものを,デパートで3万円で売ることができるのは,それよりもう少しだけ品質の良いものを,近くで10万円で売っているからです。

10万円の商品を見て欲しいという気持ちが高まる(旧皮質の活動)ことで,新皮質の冷静な判断力が抑制されてしまうということでしょう。

これも理性を抑制してヒトを狂わせる認知バイアスのひとつなのです。

frrev at 22:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 経済