2017年04月23日

アリとキリギリス

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イソップ寓話は、紀元前6世紀にアイソーポスという奴隷が話していた寓話が始まりである。

アリとキリギリスという話は、「アリとセミ」という話で語られ、貴族富豪は、餓死寸前のものにさえ手を差し伸べないほど冷酷で、独善的なけちでアリのようだと揶揄し、そういった者に助けを求めてもムダだという教訓の話だった。

時代とともに、地位や名誉あるものは慈悲深いと解釈させるために、今のようにアリがキリギリスを助ける終わり方に改変されたが、慈悲深さの部分は、現実とかけ離れているため理解されず、将来の危機への備えを怠るなという教訓だけが残った。
>>>(アリとキリギリスに隠された本当の教訓

キリギリスにもいろいろな事情があったのだろうから,勤勉に働いて余裕のあるアリが助けてあげるべきであるという考え方が受け入れられない時代になっています。

フランスでは,大まかに言うと,キリギリスを助けてあげるべきと考える政党と,アリの社会を守るべきであると考える政党のどちらが国民の支持を得られるか現在投票が行われています。

アメリカは,すでにアリの社会を守るべきと考える大統領が突っ走っています。

イソップ寓話はどう解釈されるようになるのでしょうか。

frrev at 22:09|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 経済 

2017年04月22日

「魔が差す」VS「ナッジ」

「魔が差す」については,ここでカテゴリーを設けて,繰り返し取り上げてきました。意識しないところで意思決定がなされる例として関心を持って考えています。

最近取り上げることの多い「ナッジ」も,意識しないところでヒトの行動に影響を与える点で,「魔が差す」と通じるところがあります。

「ナッジ」が軽くつつくという程度の影響力であるのに対して,「魔が差す」はもっと複雑です。日ごろ抑制されているどろどろとしたものが,何らかのメカニズムで抑制機能が停止したすきに行為を完了させていると考えられます。解離が起こっていると言えるかもしれません。

意識しないところで影響を与えることができる点で,「ナッジ」が「魔が差す」行為を抑制するために使える可能性がありますが,「魔が差す」の背景のどろどろに対抗するには少し荷が重いように思います。軽くつつくくらいではだめで,どんと突き飛ばすくらいのパワーが必要です。

脳(前頭前野)の抑制機能を停止させるのは,おそらく扁桃体でしょう。扁桃体で勝負しようと思ったら,情動に訴える必要があります。どろどろに対抗できるものとしてトラウマが考えられます。トラウマは,常時監視型の危険を避ける仕組みです。前頭前野のようにすきを見せることがありません。ただし,トラウマがどろどろに対抗するものであるか,どろどろの仲間であるかによって,効果が得られないばかりか,逆効果になることさえあります。トラウマの質に関する問題です。

もう一つの問題があります。トラウマの量に関する問題です。トラウマが効きすぎると,生活の質を低下させます。PTSDになってしまうので,どろどろ以上に問題が大きいということになります。

こうしたトラウマの質と量の問題を克服できれば,どろどろによって「魔が差す」行為を抑制することができるようになるでしょう。

トラウマ以外にも,扁桃体に影響を与えるナッジ的な対応策があるかもしれません。扁桃体について知ることで,手がかりが得られる可能性はあるでしょう。



frrev at 16:40|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 魔が差す | 経済

2017年04月21日

状況の力,ヒトの弱さ

映画「es」のモデルとなった監獄実験について紹介します。

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夏休みに大学生のアルバイトを募り、くじ引きで看守役と囚人役に振り分ける。そして、二週間にわたってスタンフォード大学心理学部の地下に設けられた模擬監獄に閉じ込める。目的は、刑務所における囚人と看守の心理状態の観察。
参加したのは、専門家によって心理的・精神的に正常であると認 められた大学生。くじびきで囚人に9名が、看守に9名が割り振られた。看守は3名ずつが三交代で「勤務」にあたる。かなり高度とはいえ、いわば「監獄ごっこ」である。なんだそんな実験か、と思われるかもしれない。しかし、この実験は責任者のジンバルドーでさえ予想もしなかった展開を見せる。
>>>(ここ

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運営はかなりリアルで、逮捕は本職の警察官に依頼された。日曜日、囚人になる学生の住居までパトカーがやってきて、ほんとうに手錠をかけられ、監獄へと移送される。そこで全裸で身体検査をうけ、囚人服を着せられる。そして、囚人たちは名前でなく番号で呼ばれることになる。人間としての尊厳が奪われ、名前も消し去られるのだ。一方の看守役学生にも匿名性をあたえるため、サングラスの着用が義務づけられる。学生たちは広告で集められているので、お互いに面識はない。
恐ろしいことに、2日目には早くも、囚人には囚人らしさが、看守には看守らしさが身についてしまう。囚人は従順に、看守は強権的になったのだ。監獄の運営には、看守のシフトや食事の与え方など、いくつかのルールが決められているが、細かなことまでは決められていない。ただし、ひとつだけ重要なルールがあった。当然であるが、看守は囚人に暴力はふるってならない、というルールだ。
もちろんそのルールは守られた。しかし、暴力以外の嫌がらせが始まり、それが、あっという間に虐待といっていいレベルになっていった。点呼の際などに、ばかばかしいと思われるような命令をする。それに従わない、あるいは、うまくできなかった場合には腕立て伏せなどの体罰に処す。さらに、施設のスペースを利用して独房を作り、そこに放り込む。食事を与えない、などのルールを看守たちが自主的に決めて実施していく。
囚人役の学生たちは、あっという間に囚人らしく従順になってしまったが、軽い気持ちで参加したアルバイトなのに過酷すぎるという苦情が出る。そこで、「仮釈放」のためのインタビューがおこなわれた。しかし、アルバイトから離脱する権利は与えられていたにもかかわらず、誰もそれを申し出ない。それどころか、インタビューが終わると、命じられずとも、手錠をかけてもらうように自ら手を差し出すような従順さが身についてしまっていた。
囚人役が囚人らしくなっただけではない、看守役もどんどんエスカレートしていく。ハンガーストライキをする囚人があらわれ、それを改めさせるため、他の囚人に過酷な連帯責任を命じ、囚人たちに性的な行為を真似させるようにまでなっていく。
面会に来た家族まで、頼まれもしないのに、きちんと囚人の家族を演じる。心理的に不安定になって4日目にドロップアウトした囚人役学生の代わりに、あらたな囚人として監獄の様子をさぐるためのスパイが送り込まれた。しかし、そのスパイも役割を忘れて、あっという間に囚人たちに同化していく。それどころではない。ジンバルドーさえも実験に内在化されていく。
監獄の様子はモニターされていたので、ジンバルドーは状況のほとんどを把握していた。通常ならば、ドロップアウトするような心理状況を呈する囚人が出現し、ほかの囚人たちのストレスが極限まで高まったのであるから、即刻中止すべきであったと述懐する。しかし、研究の進捗を優先し、そのような行為はとらなかった。心理学の専門家である責任者までが、監獄という状況に飲み込まれてしまったのだ。
>>>(同上)

こんな実験が許されたのは今より50年近く前だったからでしょう。ヒトの判断や意思決定が,状況や場,雰囲気などに大きく影響され,ついには著しい逸脱に陥っていながら気が付かないという特性を持っていることが恐ろしいほどにはっきりと示されています。

デパートで商品の陳列の仕方に工夫をして売り上げを伸ばそうとするときに,ヒトの判断や意思決定をコントロールしようとする意図があることは明白です。ヒトの判断等に影響を与える方法は,こうしたマイルドなレベルから,監獄実験のようにヒトの尊厳を揺るがすほどのレベルまで,いろいろなレベルの影響があり得ます。

ストックホルム症候群も基本的には同様のメカニズムによるものと考えられます。

厳しい環境,理不尽な関係性の中に置かれても,それを受け入れて適応しようとする仕組みは,人類の生存戦略として取り入れられてきたものなのでしょう。

frrev at 23:19|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 魔が差す 

2017年04月18日

アイデアを引き出す

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「can」や「should」の問いかけは、状況によっては相手に「大きな変化」を予想させ、脳内で恐怖を感じる大脳辺縁系の扁桃体という部位を刺激してしまうことがあります。

脳は「大きな変化」を自分の生存を脅かすものと判断するようにプログラミングされているため、理性的・創造的思考をつかさどる大脳新皮質の機能を停止させる可能性があるからです。

そこで、Aさんがたどり着いたのが、「ナッジな問いかけ」でした。

「売上を2倍にするために、“できそうなこと”は何だろうか?」
「スピードを加速するために、私たちみんなでできそうな、“小さな一歩”は何だろうか?」
「昨日と“少しでも”違いをつけるために今日“できそうな”ことは何か?」

「ナッジな問いかけ」を創るポイントは、相手に大きな変化を強いる雰囲気を与えないこと。すなわち、心理的、物理的なコミットが最小限で済む「問いかけ」にすることです。
>>>(人の行動を良い方向に変える一番効果的な方法"ナッジな問いかけ"とは?

先日の例で言えば,「飲酒量を減らすために何をすべきか。」とか「飲酒量を減らすために何ができるか。」といった表現は,考えることを促すよう働きかけているようでいて,実際には思考を萎縮させ,アイデアを出にくくします。

「飲酒量を減らすためにできそうなことは何だろう。」といった強制力の弱い表現の方が,むしろ,良いアイデアを生み出すためには効果的であるということです。


不祥事対策を振り返ってみると,同じ失敗を繰り返さないためにどうしなければならないかもっと必死で考えろ,といった強い圧力をかけていたように思います。

効果を上げるためには,「同じ失敗を繰り返さないために何ができそうか,みんなで考えてみよう。」といった頭を柔らかくするような問いかけを,「すべきである」ではなく,「した方が良いかも」しれません。

frrev at 22:08|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 経済 | 逆手に取る

2017年04月17日

誘導された自由意思

鎌倉でお気に入りの寺の花をリスが食い荒らしているのを見て,対策が必要だと思いました。

リスは自分に必要な食糧を得て,できるだけ安全なところで生きようとしているだけで,寺を荒らそうという気持ちなど微塵もありません。

では,リスにとって居心地の良い場所はどんなところなのでしょうか。リスが寺に来るのはなぜでしょうか。観察をして情報を収集します。リスについてよく知ることが対策を立てるには必須です。

そして,リスにとって居心地の良い場を寺の外に作ってあげるのです。こうすれば,リスは自らの本能のままに動いて,寺から離れるものと思われます。

ヒトも自らの性質のままに動いて居心地の良い場へと誘導されるのでしょう。ナッジは,まさにそのような誘導の方法のことです。その個体の動きを観察し,刺激を与えて反応を見ることなどを通して性質を捉え,利用して,強制することなく目的とする方向へ誘導するのです。

それとも,自らの意思で動いているように思わせ,強制されていることに気付かないように強制しているのでしょうか。

自由意思とは何かという疑問が出てきました。

frrev at 22:24|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 経済 

2017年04月16日

メタナッジ

一休さんや三国志の人気の秘密は,アイデアの面白さにあります。

ひねりの利いたアイデアを考えることは,気の利いたジョークを考えるのと同様,うまくいくと達成感のような快感が得られます。

いかにして飲酒量を減らすか,という課題に対しても,「座布団1枚」というようなアイデアを求めると,面白がっていろいろなアイデアを出そうとする人が少なくないでしょう。

そのアイデアが,多くの人の飲酒問題の解消につながればそれに越したことはありません。しかし,そこまでのアイデアが出なくとも,アイデアを出そうとして多くの人がその問題について考えることで,飲酒問題への関心が高まるという効果は期待できます。

不祥事対策も,罰則や監視で抑制しようとするとつまらないものとなりますが,ひねったアイデアを出すよう求めることで,楽しんで取り組むことができるようになります。

これ自体も,不祥事対策への関心を高めるためのナッジとなっているのです。

frrev at 21:12|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 経済 

2017年04月15日

ナッジの失敗例

ナッジの失敗例を一つ紹介します。

幼稚園へのお迎えが遅れる親が多いので,それを減らすために,園で色々と考え,罰金500円を取ることにしました。

それで迎えが早まることを期待していたのですが,実際には遅刻が増えてしまったそうです。

500円払えば遅れても良いと考える親が多かったようです。

やってみなければわからないということです。

ところで,やってみる前にわかる方法はないでしょうか。

その立場になって考えてみて,失敗することも想定できるアイデアは,優先順位を下げるに越したことはないということになるでしょうか。

人工知能を用いてシミュレーションを行うことで,効果についての予測を出すことや,アイデアそのものを出すことすらできるようになれば,様々な課題に有効な手段を用いることができるようになることでしょう。

frrev at 17:28|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 経済 

2017年04月14日

不祥事対策 飲酒

不祥事につながるもののひとつに,飲酒があります。飲酒量が増えることで不祥事のリスクが高まるものと考えられますから,そこを抑制することで,不祥事を減らすことができる可能性があります。

ナッジ理論を用いた対策について調べたら,アメリカの某州で,酒税を上げることで飲酒による問題を低減することができたという記事がありました。しかし,厚生労働省のHPで酒害対策について調べても,ナッジは使われていないようです。

これから考えるしかありません。

アイデアを多くの人に求めたいと思っていますが,とりあえず,私なりに考えたことを書いてみます。

飲んでもいいし,限度も設けないけれども,結果的に飲酒量が少なくなるようにする工夫です。

飲み過ぎは良くないと考えている人にしか効果はないかもしれませんが,飲み過ぎていることを自覚させることで,飲酒量を減らせる可能性があります。
たとえば,デキャンタやグラスなどに目盛を付けることで,飲んだ量を正確に分かるようにします。加えて,その都度,飲んだ量を記録して,グラフ化するのです。外で飲むときも,目盛りのついたマイグラスを持っていき,飲酒量を記録するのが良いでしょう。これは,「量るだけダイエット」と同様の考え方です。

もう一つは,金庫の中に酒を入れることです。冷蔵機能のある金庫があるともっといいのですが,そんなものは見たことがありません。
ナンバーを合わせないと酒が取り出せない仕組みにすることで,めんどくさいからやめておこうという気持ちになる可能性があり,これが減酒につながります。また,お金や預金通帳と一緒に金庫に入れることで,大事なもののように思えて,少しずつ味わって飲むようになり,飲酒量が減るかもしれません。
金庫に,監視しているかのような目の絵を付けておくことで,人から見られている感をもたらし,恥ずかしくない行動を取ろうという気持ちが高まって,抑制的になる可能性もあります。

何が効くかを実験で試すのが行動経済学です。

大学や厚生労働省と共同で研究するのが良いのではないかと思います。

frrev at 20:52|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 経済 

2017年04月13日

ナッジによる不祥事防止

役職指定で,職員不祥事防止対策に取り組んでいます。はっきり言って,つまらないです。もう少し,誰もが興味を持って取り組むことができるようにすることが課題です。そこで,ナッジ理論を取り入れ,どう工夫すれば好ましくない行動を減らすことができるか,皆さんに考えてもらうことを提案したいと思います。

例えば・・・市民の健康増進のために野菜と果物の消費量を増やしたいのですが,どうすれば増やせるでしょうか?
野菜と果物をもっと食べようというキャンペーンを行う。
野菜と果物の消費税率を下げる。
・・・ありふれたアイデアですね。

ナッジ理論によるアイデアは次のとおりです。
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ニューメキシコ州立大学の研究チームは、スーパーマーケットの客にナッジを試みた。
カートの中央にテープを貼って、テープの向こう側に野菜と果物を入れ、テープの手前側に、その他の品物を入れるようにした。
その結果、客は必ず野菜と果物を買うようになり、結果としてその量はこれまでの倍となった。
>>>(ここ

カートに野菜と果物を入れるための場所があると,そこだけ空いていることにバランスの悪さを感じて,買う気のなかった野菜などまで買ってしまい,買った以上は食べないともったいないので消費量が増えるということになるのでしょうか。

ナッジは「ヒジで軽く突く」という意味です。ヒトの持つ性質を利用し,ヒジで軽く突くことで,ヒトの行動を意図する方向に導くのがナッジの考え方です。

注意すべきは,あまりにわざとらしいと逆効果になることがあるということです。

frrev at 22:41|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 経済 

2017年04月12日

意識以前へと働きかける工夫

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・・・物の価値判断を司る脳部位が特定された。磁気刺激によって「右前頭背外側部」の機能を一時的に抑制し,ある商品をいくらなら買うかを判断してもらう実験を行った。すると,抑制前に比べて,全体に安くなるなど,値段設定が不正確になった。本人たちは,不正確な値段設定が,この部位の機能低下のせいだとは気付かない。
>>>(Newton 「脳」研究の今)

自分の自由な意思に基づいて行動しているつもりが,実は気づかないところで意思決定が大きく影響を受けていることを示す研究です。

臓器提供の意思確認は,確認の仕方によって結果が大きく異なることが示されています。本年4月1日に書いた通りです。

悪いことをしてしまう人たちに,同じことを繰り返さないように影響を与える方法もいろいろとあるのではないかと思います。



frrev at 22:41|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 経済 

2017年04月11日

海蔵寺のリス

花食らふ栗鼠


2017年4月9日午前7時頃,海蔵寺に行きました。

鎌倉駅に降り立ったのは午前6時ころ。あいにくの雨で,かつ早朝ということもあり,人影のほとんどない小町通りでは,カラスがわが物顔に低空飛行したり,通りを歩いたりしていました。

小町通を北に進み,山が迫ってきた辺りで左折して,横須賀線の踏切に近づく頃には,カラスの啼き声は聞こえなくなり,代わって,ウグイスなど,声の澄んだ鳥たちのさえずりに満たされてきました。踏切を渡って右折し,英勝寺前を通って,しばらく線路沿いを歩き,突き当りを左折して,山の谷間に入っていきます。少し行くと源氏山や銭洗い弁天を示す標識がありますが,そこで曲がらず,まっすぐに行くと海蔵寺があります。

拝観時間が午前9時半からだったので,中には入れませんでしたが,門の奥にはカイドウが七分咲き程度に咲いているのが見えました。雨の中,傘をさしてしばしそこに佇み,カイドウを眺めていました。すると,澄んだ声の鳥たちのさえずりを切り裂くような,ギーギーというけたたましい声が聞こえました。リスです。

リスは,電線や木の枝をせわしなく移動し,海蔵寺境内の木の先の方にある新芽らしきものを食べているかと思えば,椿のような大きな花を丸ごと抱えて電線の上に移動し,無心にそれを食べているようでした。コンパクトカメラのズームで限界まで望遠にして撮影したのが上の写真です。逆光でモノクロのシルエットの中,花だけが微妙に赤く見えています。

今年の3月1日に,色錯視として赤を使っていないのに赤く見えるイチゴを紹介しました。上の写真の赤も微妙ですが,多分赤なのでしょう。

frrev at 22:49|PermalinkComments(0)TrackBack(0) エッセイ向き 

2017年04月10日

樹状突起の活動

ひとつの神経細胞から100の樹状突起が出ていて,その樹状突起がそれぞれ別々に活動するとすると,それだけで脳の活動は桁違いに複雑になります。しかも,樹状突起の活動が,0か1でない,アナログな変動も示すとすると,さらに複雑な動きをすることになります。スーパーコンピュータで脳のシミュレーションが試みられていますが,先は長いということになりそうです。

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神経細胞体は「0か1か」の信号であるスパイクのみを生み出しますが、樹状突起はスパイクに加えて波の大きさが異なる、そしてスパイクよりも大きな電気信号を生み出しているとのこと。UCLAの物理・天文学・神経生物学の教授であるMayank Mehta氏は「我々は、樹状突起がデジタルとアナログの両方の情報処理をしていることに気づきました。アナログの情報処理は、完全にデジタルなコンピューターとは根本的に異なり、量子コンピューターに似ています」「神経科学の根本的な信念は『神経細胞はデジタル・デバイスである』ということでした。スパイクを作り出すか否か、なのです。しかし、今回の研究結果では、樹状突起が完全なデジタル・デバイスではないということが示されました。0かスパイクかのデジタルな処理もしますが、0か1かではない、アナログな変動も示したのです。これは、神経科学者たちが60年間信じていたことからの重要な出発点です」と語りました。Mehta教授によると、樹状突起は神経細胞の中枢の100倍のボリュームを持つので、樹状突起がスパイクを作り出しているとすると、これまで考えられていた100倍のキャパシティを脳が持つ可能性があるとのこと。
>>>(脳はこれまで考えられていたより10倍も活動的

「アナログな変動」の正体が不明です。

frrev at 22:02|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 用語 

2017年04月09日

WSEN

NEWSは,north,east,west,southの頭文字をつなげたものだそうです。それらしい話です。

WSENなど聞いたことがないと言われるでしょう。西南東北と方位の並びを変えただけです。

東北は方位だけで構成された地域名称です。南東北という名称もすでに受け入れられています。

そうすると,そろそろ,会津や庄内などを西南東北と呼んでも良いような気がしますが,認めてもらえないでしょうか。

西新小岩が認められているのですから。

frrev at 20:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0) エッセイ向き? 

2017年04月08日

嫌いと恐怖

発酵と腐敗との違いについては,人に有害であるかどうかというところがポイントとなります。では発酵食品に賞味期限が設定されているのはなぜでしょうか。一つの答えは以下の通りです。

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本来発酵食品は完全に完成するまでに、何ヶ月〜何年間という長い年月がかかるんです。短い時間では、未完成な発酵食品しかできませんよね。
また、時間をかけられない分科学的に旨味を足したりと、私たちの味覚に合うように様々な化学調味料が加えられます。その化学調味料は、発酵を促す菌にとっては不純物にしかなりません。
ですから、店頭で販売されている発酵食品の多くは、これらが原因で不完全な発酵食品というわけです。
不完全な発酵食品と完全な発酵食品の違いは、やはり傷みにくさですかね。
完全に発酵している発酵食品は、発酵をうながす善玉菌で満たされています。ですから、食べ物を腐らせる悪玉菌が増える隙間がないんです。
しかし、不完全な発酵食品は、発酵菌が少ないため簡単に悪い菌が増殖してしまうんですよね^^;
ですから、店舗にある発酵食品には賞味期限が設定されているのです。
>>>(発酵食品に賞味期限があるのはナゼ?

人にとって有害でなければ腐敗とは言わないということですが,ここでいう有害とは,身体的な健康を損なわないという意味でしょうか。不快感を与えるにおいは,健康を損なわないとしても,迷惑であり,環境を損なっていて,人にとって有害と言えるかもしれません。

屁理屈はともかく,納豆やくさやのにおいは,もともと嫌いであっても,食べているうちに好きになることが少なくありません。

好き嫌いは,扁桃体にもともと備わっている機能です。臭いものは,健康を害するおそれが高いので,基本的に嫌いなはずです。それを好きになる人が多いという事実から考えると,嫌いなものを好きになる仕組みも,ヒトの基本的な機能として備わっているということでしょう。

害がないと認知を変え,安全であることを繰り返し体験することで,嫌いであるという感情が薄れ,もしかしたら好きかもと変わり,好きという感情へと変わっていくのかもしれません。

トラウマも,おそらく扁桃体が関係しているものですが,これは,認知を変えて,安全であることを繰り返し体験しても,好きになることは容易ではありません。エディプス期に長靴の中に隠れていたカニに足をはさまれてカニが嫌いになった男の子は,カニに接するたびに恐怖を再燃させ,決してカニを好きになることはないようです。

恐怖は,好き嫌いにとどまらない,より強い強制力をヒトに与え,修正が難しくなるような扁桃体などの仕組みによって構成されているのでしょう。

frrev at 17:25|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 扁桃体研究 | エッセイ向き?

2017年04月06日

ちょうたんしゅうしゅく

受精卵が分化していく中で,神経管が形成されますが,管の形成には細胞の形状変化が必要になります。寸胴のような柱上の細胞のてっぺんがすぼまって,円錐あるいは角錐のような形状へと変化します。これを頂端収縮(ちょうたんしゅうしゅく)と言います。隣り合ういくつかの細胞が同様の形状変化を起こすことで,全体としてみると,陥没したような形状になるのです。

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形状の変化にはカルシウムイオンが必要で,その濃度によって形状に違いが出てきます。

ここでうまく形を作れないと,脳の形成にも影響がおよび,様々な障害の原因の一つとなります。

詳細は,「細胞内カルシウムイオンの局所的な濃度変化が脳の原型づくりに重要である」をご覧ください。

カルシウムイオンのコントロールがどこかでなされているものと思われますが,そこの研究も必要だと思います。

frrev at 22:17|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 整理 努力を要す | 用語