2018年03月11日

本が届く(2)

<昨日の続き>
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 そんなある日、隣に座っていた私より少しばかり弱い碁敵の男性から
「篠ちゃん、碁会所の休みの日には何をしているの」と、問われる。
「うーん何だろう、本を読んだり、テレビを見たり、ごろり・ごろりで、いつの間にか眠っている」
「それは、健康に悪い、認知症になってしまうぞ」と、別の碁敵が笑う。
「なー、僕の行っている松渓ふれあいの家で囲碁のボランティアをしないか?することは利用者を相手に碁を打つだけだ。」
「いいねー、私の棋力で大丈夫かしら」
「おい、皮肉か?僕より強いくせに。僕など週に数日通っているよ」
「貴方に務まるなら出来そうね」
 こうして古希を迎えたおばあさんの社会参加が始まる。こうなれば、汚らしい老人であってはいけないと、紅の一つも差すようになる。私自身のボケ防止には、最適な社会参加である。
 このボランティアは楽しい。強い相手と碁を打つのも楽しいが、大正9年、大正11年生まれのおじいちゃんに囲碁の手解きをし、話をして一時を過ごす。一か月のお駄賃として戴く数千円を手にした日などは、リッチな気分になり、「鰻ににしようか、」ステーキにしようか」と、口にグルメを夢見ながら荻窪駅前のマーケットにむかう。
 現役を退いてからは、テレビのリモコンを「ガチャガチャさせ、「ごろり・ごろり」の「貧乏暇あり」の生活になっていたが、やはりめりはりが必要である。「金持ち暇あり」なら、ゴルフや競馬・競輪で暇を潰すこともできるでだろうが、三六五日が連休の「貧乏暇あり」老人が、長い一日をボケないように過ごすには、ささやかな社会参加がなによりである。
 そのうえ私には、この歳になっても、暇つぶし」に、付き合ってくれる超長老のボーイフレンドがいる。幸せなおばさんです。
                   終わり
 


fsino at 12:32コメント(0)おもうがまま  

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