講師:株式会社JTB西日本 国際旅行営業部部長 遠藤修一様
テーマ:「拡大する中国マーケットの攻略」


内容:訪日外客数は年々増加している。
2001年に477万人にだった訪日外国人数は、2008年には835万人になった。
2009年はリーマンショックや新型インフルエンザの影響で679万人と大きくダウンした。
現状、観光庁の目標としては、2010年に再び1000万人を目指すプランを描いている。
訪日外国人観光客の受け入れは、観光立国の実現に向けた
「国家成長戦略の重要な柱の1つ」として位置づけられている。
・現在外国人観光客のシェア1位は韓国。2位が台湾。3位が中国。同国からはおよそ100万人が来訪している。
・アジア圏からの来訪シェアは、合計で70%にも達する。
今後はこのシェアがかなり伸びて行くのではないかと考えている。
・宿泊者数に占める平均割合は、10%。ホテルに宿泊するお客のうち10人に1人が外国人である。
・この平均割合よりも外国人比率が多いのは、西日本では大阪・京都。
・観光庁が掲げている「2020年に2000万人の外客数を実現する」という目標を達成するには、韓国・台湾・中国だけで1200万人を誘致する必要がある。
・その際には、中国はシェア1位を占め、600万人来ている必要がある。現場の6倍。
「中国は有望なマーケットなのか?」
・中国の海外旅行市場は年間4500万人規模にもかかわらず、現在日本には100万人しか訪れていない。
・それでも、10年前に比べると2.5倍になっている。
・中国人の海外旅行市場は前年比2桁の成長を続けていることから、訪日中国人数の拡大の可能性は非常に高い。
・観光客の比率は年々上昇し、現在は半数が観光目的の訪日客が占めている。
・訪日動機は1位がショッピング、2位が温泉、3位が歴史的建造物の見学。
(外国人全体では、1位がショッピング、2位が日本食、3位が温泉)
・訪問都道府県の比較を行うと、東京・大阪・京都に集中している。大都市圏の割合が極端に高い。2008年度で言えば、東京の訪問率は76%、大阪は47.9%。
・旅行前消費額が安価=ツアー費が安い
=訪日後の日本国内での消費額が高い
・アジア人全般の傾向でもあるが、現地での物品(おみやげ)購入金額、および消費額に占める割合がもっとも高い。
・観光目的の中国人にフォーカスすると、物品購入費が突出して高い。
・個人・団体問わず、中国人観光客を受け入れる場合、施設内でいかに購買意欲を高めるかが重要となる(おみやげの品揃えや、中国語表記に配慮が必要)
「マーケットの現状把握」
・季節同行としては、1月下旬の旧正月、4月の桜シーズン、7月下旬からの夏休みシーズン、10月の国慶節休暇が挙げられる。最大のボリュームは夏休み。
・中国の小中学校は、省・直轄市・自治体単位で統一した休暇制度を定めている。
・冬季休暇・・・春節前後に各一週間程度設定され、合計で25日間。
・夏期休暇・・・7月下旬から8月末までの約40日間
・訪日中国人の約半数を占める観光目的の旅行者の査証申請は、日本、中国両方の旅行会社が手続きを代行している。
・団体観光査証の概略としては、対象者が「中国全土の国民」人数が「5名以上40名以下、「日本側及び中国側旅行会社『各』1名」の同行が必要となっている。
・家族観光査証の発行に関しては、問題点などの多さから発給数がほとんど伸びず、結果として個人観光査証発給への動きを
一気に加速することになった。
・現在、個人査証を発行出来るのは、年収25万元が基準。中国の取り扱い指定旅行社を通じて個人観光査証手続きを行うと共に、予め日本での宿泊先、帰国便を決定しておく必要がある。
・訪日中国人観光客は団体、個人問わず日本・中国両方の旅行会社を通じた招聘保証、査証取得が必要。日本から観光目的で渡航する中国人への直接販売は実質不可能な状態である。
・ゴールデンルートエリア(大阪・京都・神奈川(箱根・富士山)・東京・千葉)が上位5位を独占している。
・ゴールデンルートのほとんどは京都観光を組み込んでいる。人気観光地は金閣寺・清水寺・嵐山などの有名観光地である。京都観光滞在時間は半日から1日の範囲である。
「消費行動の特徴」
・日本製(メイドインジャパン)商品の品質を高く評価している。高性能・高品質の商品を購入している。
・家族や友人に同じものを多数購入する傾向がある。
・稀少価値が高い商品を好む傾向がある。特に地域限定商品や期間限定キャンペーン商品などが好まれる。
・訪日中国人観光客のクレジットカード保有率は低く、現金での支払いがほとんどである。
・銀聯カードというのがあり、中国国内での発行枚数は18億枚。2005年より日本でも利用可能となった。
・中国人には海外旅行における人民元の持ち出し制限(一人あたり5000米ドル相当)があるため、日本での購買力の高い中国人観光客にとって銀聯カードは海外旅行時の必須アイテム。
・JTBチャイナという現地法人があるが、まだ「中国人の海外旅行」の取り扱いができない状況にある。規制緩和がされた後は、一気に取り扱いを深めている。
・中国の若者に来てもらうためのサイトを運営している。中国の雑誌との中で
・間違いなく、来訪する中国人観光客は増えるだろう。
・拡大基調に対してどんな手を打つのか?という中で、やはり「出発前の告知・PR」が重要だろうと考えている。川上、需要創造の部分から手を打っていくことが非常に重要だ。
「質疑応答」
・中国発の目的地ベスト3は?
→香港やマカオが多い。簡単で安く、すぐに行けるから。
・旅行前のPR、あるいは旅行動機そのものを創出していくために、どんなメディア活用の方法があるか?
→現状は団体旅行でしか日本に来られないので、BtoCのPRはあまりうまくいかないかもしれない。それよりは旅行会社のプランにどう取り入れてもらうかが重要だと思う。現地添乗員の意見も強いので、どうやってコネを作り、誘導していくかが大切。
・メインの目的が「買い物」ということで、旅行会社であるJTBさんにとっては収益源になりにくいのではないかと思うが、その需要をどのように本業に結びつけていくのか?
→現状では、本業に集中して、旅行商品をきっちり販売して、満足度を高めるというところに集中している。
・価格面で滋賀や名古屋のホテルにお客が流れているという声もあるが、どう考えたら良いか?
→急激に数が増える局面では、ニーズも多様化する。確かに価格が第一だというお客さんもいるだろうが、高級なプラン、日本のとっておきの体験をしたいというお客さんもいる。従来の旅行業務と同じように、セグメントを定め、満足度の高いソリューションを提案して行くことが重要だ。
実際に、上海で行われた旅行博などでも、C-Tripという中国最大のネット旅行代理店からは、「京都でしかできないとっておきの文化体験はないか?」というリクエストを受けた。
講師:有限会社ワックジャパン 代表取締役 小川美知様
テーマ:13年間取り組んできたことと、そこで得られた経験

内容:
・13年前に右も左もわからずに会社を立ち上げた。今日まで取り組んできたことが、後進の方の参考になればと思い、話を進めたい。
・外国人観光客の方に向けた「一般家庭訪問」を事業として展開している。Kyoto Culture Visitという名前で展開。
・自ら旅行したときに、ホテルの窓から見える「アフターヌーンティー」や「ガーデニング」に心が惹かれた。その経験が元になっている。
・4月5月のピークシーズンだと1週間に20組の家族やカップルがやって来る。
・1番の魅力は地元の人と仲良くなれるということ。旅行者でも、一般家庭の中に入り、交流をすることができる。そのコミュニケーションが良い思い出となる。
・移動の不安を解消するために、タクシーに乗ったガイドがホテルの玄関まで迎えに来てくれる。着物を来た女性などが迎えに来てくれると、うれしい。
・一般家庭ならどこでもOKというわけではない。やはり仕事なので、一戸建てで、文化的素養のある方の家庭を選んでいる。
・このプログラムの欠点は、どうしても料金が高くなってしまう。タクシーでないと行けないし、教えてもらう先生の謝礼、同行するアテンドの支払いなどもある。
・そこで昨年12月に京町家の中で文化体験をしてもらえる施設をスタートさせた。これにより、価格を抑えてサービス提供することが可能になった。
・最近では格安の文化体験などがあるが、本物の価値を提供するための価格、事業が継続していけるだけの価格より下げるつもりはない。
・体験してもらえば「本物の価値」は伝わるので、それを事前にどうやってPRしていくかを考えている。
・レギュラーのプログラム以外にも、舞妓さんの手配や特別公開の寺社の予約など、特別手配のビジネスも行っている。
・強みは、アテンドができる人材。女性を60名くらいネットワークしている。当日の朝でも、2時間前までであれば手配が付く。京町家の施設でも、スタッフが常に待機している。人材がいるからこそ、迅速な対応ができる。しかも、アテンドする人材は、全て着物を着ている。
・実際には「おもてなし」の要素が強いので、人材の教育が非常に重要だと考えており、取り組みを続けている。
・外国人の方が集まるような場所に丁寧にパンフレットを置いていった。
・京都に来られる東京の方へのセールスを大切にしている。東京の旅行会社へ営業提案も行うし、海外旅行会社向けの展示会などにも出ている。
・この不況の中で団体旅行客がかなり減ったが、今まで個人のお客さんも大切にしていたので、乗り切れている。
・旅行会社からは値段にこだわる人が多く、インターネットの個人客は富裕層の方が多い。
講師:株式会社旅のお手伝い楽楽 代表取締役 佐野恵一様
テーマ:事業を通じて感じた「本当のバリアフリー」とは?


内容:
・介護が必要な方に向けた旅行業を行っている。介助付きの旅行の企画をしている。
・出発から帰宅までをサポートしている。お客さんと一緒に旅を楽しんで旅行をする。
・完全なオーダーメイドで旅程を組んで提案している。
・創業した2004年からたった5年で、世の中の「バリアフリー」に対する意識などはずいぶん変わってきた。
・65歳以上の人口は3277万人に達している。4人に1人が高齢者。したがって、バリアフリー対応しておかないとこれだけの人たちを逃してしまうという結果になる。
・要介護の祖母と旅行をしたことが創業のきっかけ。どこの施設でも嫌がられたり、不親切な対応をされたり、そもそも情報自体が全然ないという実感。こういう課題を解決出来る旅行会社があれば良いのに、と考えたことがスタート地点。
・バリアフリー情報の提供も行っている。飲食店でも、流動食に変えてくれたり、減塩に対応してくれたりという配慮をしてくれるところも多い。
・段差をなくすことがバリアフリーではない。バリアフリーでないから受け入れられないと即決してしまうのはもったいない。
・段差があっても、本当に魅力的なものならそれを乗り越えてでも行きたいという欲望がある。車椅子=歩けない、でない場合も多い。数歩であれば歩くこと、段差を超えることができる人もいる。京都のバリアフリーを見たいのではなく、京都の景色が見たい。義務的に取り組むのではなく、コミュニケーションが大切。
・積極的に受け入れていくことで、クチコミが広がり、お客さんが来てくれるようになる。
・段差があるからNGではなく、段差を超えるのを手伝ってくれる「人の体制」があれば受け入れられる。例えば南禅寺では、方丈入り口に大きな段差があるが、すぐにお坊さんが助けに来てくれる。車椅子の車輪も拭いてくれる。特別なバリアフリー施設がなくても、対応できる余地は大きい。
・車椅子の幅はちょうど60センチ。なのでトイレであっても60センチの間口があり、スライドドアがあれば入ることが出来る。
・段差をなくして失敗する事例もある。あるお風呂は段差をなくしたところ、逆に持つところがなくて怖いという結果になった。ちょっとでも利用者の声を聞けば、適切な対策ができるはず。
・お店や施設は「どういう設備を作るべきか」ではなく、「現状の設備で手をかければどういう受け入れ方ができるか?」を理解することが重要。
テーマ:「拡大する中国マーケットの攻略」
内容:訪日外客数は年々増加している。
2001年に477万人にだった訪日外国人数は、2008年には835万人になった。
2009年はリーマンショックや新型インフルエンザの影響で679万人と大きくダウンした。
現状、観光庁の目標としては、2010年に再び1000万人を目指すプランを描いている。
訪日外国人観光客の受け入れは、観光立国の実現に向けた
「国家成長戦略の重要な柱の1つ」として位置づけられている。
・現在外国人観光客のシェア1位は韓国。2位が台湾。3位が中国。同国からはおよそ100万人が来訪している。
・アジア圏からの来訪シェアは、合計で70%にも達する。
今後はこのシェアがかなり伸びて行くのではないかと考えている。
・宿泊者数に占める平均割合は、10%。ホテルに宿泊するお客のうち10人に1人が外国人である。
・この平均割合よりも外国人比率が多いのは、西日本では大阪・京都。
・観光庁が掲げている「2020年に2000万人の外客数を実現する」という目標を達成するには、韓国・台湾・中国だけで1200万人を誘致する必要がある。
・その際には、中国はシェア1位を占め、600万人来ている必要がある。現場の6倍。
「中国は有望なマーケットなのか?」
・中国の海外旅行市場は年間4500万人規模にもかかわらず、現在日本には100万人しか訪れていない。
・それでも、10年前に比べると2.5倍になっている。
・中国人の海外旅行市場は前年比2桁の成長を続けていることから、訪日中国人数の拡大の可能性は非常に高い。
・観光客の比率は年々上昇し、現在は半数が観光目的の訪日客が占めている。
・訪日動機は1位がショッピング、2位が温泉、3位が歴史的建造物の見学。
(外国人全体では、1位がショッピング、2位が日本食、3位が温泉)
・訪問都道府県の比較を行うと、東京・大阪・京都に集中している。大都市圏の割合が極端に高い。2008年度で言えば、東京の訪問率は76%、大阪は47.9%。
・旅行前消費額が安価=ツアー費が安い
=訪日後の日本国内での消費額が高い
・アジア人全般の傾向でもあるが、現地での物品(おみやげ)購入金額、および消費額に占める割合がもっとも高い。
・観光目的の中国人にフォーカスすると、物品購入費が突出して高い。
・個人・団体問わず、中国人観光客を受け入れる場合、施設内でいかに購買意欲を高めるかが重要となる(おみやげの品揃えや、中国語表記に配慮が必要)
「マーケットの現状把握」
・季節同行としては、1月下旬の旧正月、4月の桜シーズン、7月下旬からの夏休みシーズン、10月の国慶節休暇が挙げられる。最大のボリュームは夏休み。
・中国の小中学校は、省・直轄市・自治体単位で統一した休暇制度を定めている。
・冬季休暇・・・春節前後に各一週間程度設定され、合計で25日間。
・夏期休暇・・・7月下旬から8月末までの約40日間
・訪日中国人の約半数を占める観光目的の旅行者の査証申請は、日本、中国両方の旅行会社が手続きを代行している。
・団体観光査証の概略としては、対象者が「中国全土の国民」人数が「5名以上40名以下、「日本側及び中国側旅行会社『各』1名」の同行が必要となっている。
・家族観光査証の発行に関しては、問題点などの多さから発給数がほとんど伸びず、結果として個人観光査証発給への動きを
一気に加速することになった。
・現在、個人査証を発行出来るのは、年収25万元が基準。中国の取り扱い指定旅行社を通じて個人観光査証手続きを行うと共に、予め日本での宿泊先、帰国便を決定しておく必要がある。
・訪日中国人観光客は団体、個人問わず日本・中国両方の旅行会社を通じた招聘保証、査証取得が必要。日本から観光目的で渡航する中国人への直接販売は実質不可能な状態である。
・ゴールデンルートエリア(大阪・京都・神奈川(箱根・富士山)・東京・千葉)が上位5位を独占している。
・ゴールデンルートのほとんどは京都観光を組み込んでいる。人気観光地は金閣寺・清水寺・嵐山などの有名観光地である。京都観光滞在時間は半日から1日の範囲である。
「消費行動の特徴」
・日本製(メイドインジャパン)商品の品質を高く評価している。高性能・高品質の商品を購入している。
・家族や友人に同じものを多数購入する傾向がある。
・稀少価値が高い商品を好む傾向がある。特に地域限定商品や期間限定キャンペーン商品などが好まれる。
・訪日中国人観光客のクレジットカード保有率は低く、現金での支払いがほとんどである。
・銀聯カードというのがあり、中国国内での発行枚数は18億枚。2005年より日本でも利用可能となった。
・中国人には海外旅行における人民元の持ち出し制限(一人あたり5000米ドル相当)があるため、日本での購買力の高い中国人観光客にとって銀聯カードは海外旅行時の必須アイテム。
・JTBチャイナという現地法人があるが、まだ「中国人の海外旅行」の取り扱いができない状況にある。規制緩和がされた後は、一気に取り扱いを深めている。
・中国の若者に来てもらうためのサイトを運営している。中国の雑誌との中で
・間違いなく、来訪する中国人観光客は増えるだろう。
・拡大基調に対してどんな手を打つのか?という中で、やはり「出発前の告知・PR」が重要だろうと考えている。川上、需要創造の部分から手を打っていくことが非常に重要だ。
「質疑応答」
・中国発の目的地ベスト3は?
→香港やマカオが多い。簡単で安く、すぐに行けるから。
・旅行前のPR、あるいは旅行動機そのものを創出していくために、どんなメディア活用の方法があるか?
→現状は団体旅行でしか日本に来られないので、BtoCのPRはあまりうまくいかないかもしれない。それよりは旅行会社のプランにどう取り入れてもらうかが重要だと思う。現地添乗員の意見も強いので、どうやってコネを作り、誘導していくかが大切。
・メインの目的が「買い物」ということで、旅行会社であるJTBさんにとっては収益源になりにくいのではないかと思うが、その需要をどのように本業に結びつけていくのか?
→現状では、本業に集中して、旅行商品をきっちり販売して、満足度を高めるというところに集中している。
・価格面で滋賀や名古屋のホテルにお客が流れているという声もあるが、どう考えたら良いか?
→急激に数が増える局面では、ニーズも多様化する。確かに価格が第一だというお客さんもいるだろうが、高級なプラン、日本のとっておきの体験をしたいというお客さんもいる。従来の旅行業務と同じように、セグメントを定め、満足度の高いソリューションを提案して行くことが重要だ。
実際に、上海で行われた旅行博などでも、C-Tripという中国最大のネット旅行代理店からは、「京都でしかできないとっておきの文化体験はないか?」というリクエストを受けた。
講師:有限会社ワックジャパン 代表取締役 小川美知様
テーマ:13年間取り組んできたことと、そこで得られた経験
内容:
・13年前に右も左もわからずに会社を立ち上げた。今日まで取り組んできたことが、後進の方の参考になればと思い、話を進めたい。
・外国人観光客の方に向けた「一般家庭訪問」を事業として展開している。Kyoto Culture Visitという名前で展開。
・自ら旅行したときに、ホテルの窓から見える「アフターヌーンティー」や「ガーデニング」に心が惹かれた。その経験が元になっている。
・4月5月のピークシーズンだと1週間に20組の家族やカップルがやって来る。
・1番の魅力は地元の人と仲良くなれるということ。旅行者でも、一般家庭の中に入り、交流をすることができる。そのコミュニケーションが良い思い出となる。
・移動の不安を解消するために、タクシーに乗ったガイドがホテルの玄関まで迎えに来てくれる。着物を来た女性などが迎えに来てくれると、うれしい。
・一般家庭ならどこでもOKというわけではない。やはり仕事なので、一戸建てで、文化的素養のある方の家庭を選んでいる。
・このプログラムの欠点は、どうしても料金が高くなってしまう。タクシーでないと行けないし、教えてもらう先生の謝礼、同行するアテンドの支払いなどもある。
・そこで昨年12月に京町家の中で文化体験をしてもらえる施設をスタートさせた。これにより、価格を抑えてサービス提供することが可能になった。
・最近では格安の文化体験などがあるが、本物の価値を提供するための価格、事業が継続していけるだけの価格より下げるつもりはない。
・体験してもらえば「本物の価値」は伝わるので、それを事前にどうやってPRしていくかを考えている。
・レギュラーのプログラム以外にも、舞妓さんの手配や特別公開の寺社の予約など、特別手配のビジネスも行っている。
・強みは、アテンドができる人材。女性を60名くらいネットワークしている。当日の朝でも、2時間前までであれば手配が付く。京町家の施設でも、スタッフが常に待機している。人材がいるからこそ、迅速な対応ができる。しかも、アテンドする人材は、全て着物を着ている。
・実際には「おもてなし」の要素が強いので、人材の教育が非常に重要だと考えており、取り組みを続けている。
・外国人の方が集まるような場所に丁寧にパンフレットを置いていった。
・京都に来られる東京の方へのセールスを大切にしている。東京の旅行会社へ営業提案も行うし、海外旅行会社向けの展示会などにも出ている。
・この不況の中で団体旅行客がかなり減ったが、今まで個人のお客さんも大切にしていたので、乗り切れている。
・旅行会社からは値段にこだわる人が多く、インターネットの個人客は富裕層の方が多い。
講師:株式会社旅のお手伝い楽楽 代表取締役 佐野恵一様
テーマ:事業を通じて感じた「本当のバリアフリー」とは?
内容:
・介護が必要な方に向けた旅行業を行っている。介助付きの旅行の企画をしている。
・出発から帰宅までをサポートしている。お客さんと一緒に旅を楽しんで旅行をする。
・完全なオーダーメイドで旅程を組んで提案している。
・創業した2004年からたった5年で、世の中の「バリアフリー」に対する意識などはずいぶん変わってきた。
・65歳以上の人口は3277万人に達している。4人に1人が高齢者。したがって、バリアフリー対応しておかないとこれだけの人たちを逃してしまうという結果になる。
・要介護の祖母と旅行をしたことが創業のきっかけ。どこの施設でも嫌がられたり、不親切な対応をされたり、そもそも情報自体が全然ないという実感。こういう課題を解決出来る旅行会社があれば良いのに、と考えたことがスタート地点。
・バリアフリー情報の提供も行っている。飲食店でも、流動食に変えてくれたり、減塩に対応してくれたりという配慮をしてくれるところも多い。
・段差をなくすことがバリアフリーではない。バリアフリーでないから受け入れられないと即決してしまうのはもったいない。
・段差があっても、本当に魅力的なものならそれを乗り越えてでも行きたいという欲望がある。車椅子=歩けない、でない場合も多い。数歩であれば歩くこと、段差を超えることができる人もいる。京都のバリアフリーを見たいのではなく、京都の景色が見たい。義務的に取り組むのではなく、コミュニケーションが大切。
・積極的に受け入れていくことで、クチコミが広がり、お客さんが来てくれるようになる。
・段差があるからNGではなく、段差を超えるのを手伝ってくれる「人の体制」があれば受け入れられる。例えば南禅寺では、方丈入り口に大きな段差があるが、すぐにお坊さんが助けに来てくれる。車椅子の車輪も拭いてくれる。特別なバリアフリー施設がなくても、対応できる余地は大きい。
・車椅子の幅はちょうど60センチ。なのでトイレであっても60センチの間口があり、スライドドアがあれば入ることが出来る。
・段差をなくして失敗する事例もある。あるお風呂は段差をなくしたところ、逆に持つところがなくて怖いという結果になった。ちょっとでも利用者の声を聞けば、適切な対策ができるはず。
・お店や施設は「どういう設備を作るべきか」ではなく、「現状の設備で手をかければどういう受け入れ方ができるか?」を理解することが重要。

