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先週末にStartup Weekend Kyoto(スタートアップウイークエンド京都)が開催された。このイベントは、金曜日の夜にスタートし、日曜日の夕方にプレゼンテーションを行うまでに、新しいWebサービスの企画を考えて、開発まで行うというもので、京都で行われるのは3回目。今回は全員大学生という初の試みだった。集まった大学生はおよそ50名。地元だけではなく、東京や名古屋からも参加している学生がいたとのことだ。もちろん交通費・参加費は自腹だ。

大まかなイベントの流れは以下のようになっている。

・金曜日の夜に、みんなの前で自分のアイデアを1人ずつプレゼン
・面白いと思ったアイデアを3つまで投票
・上位に残った人がリーダー役に
・リーダーは、選にもれた人をチームメンバーとしてスカウトする
(この結果、チームメンバーや戦力には良い意味でも悪い意味でも偏りが出る)
・チームごとにわかれてアイデアをブラッシュアップし、作業を分担してプレゼンの準備を進めていく

という流れだ。参加者は、良いアイデアを考えついて、適切なやり方で人に伝えないと、早々に自分のアイデアで最終プレゼンに臨む権利を失ってしまう。また、運良くアイデアが生き残っても、それを実現してくれるエンジニアや、良いデザインを制作してくれるデザイナーを自分のチームに引き入れなければ最後の勝負に勝てない。

はじめまして、と言った数時間後には、チームとしてまとめていく必要が出てくる。これほどまでに、起業に必要な要素を凝縮したイベントは他にない。

アメリカから始まったこの試みは、今や世界中に広がり、週末ごとに数十都市で開催されている。TEDxにしてもそうだけど、アメリカはイベントそのものをフォーマット化し、グローバルに広げていくことがとても上手だ。

チームとして走りだしたとしても、アイデアを形に変えていく中ではつまづいたり、行き詰まったりする。そうした時のためにメンターと呼ばれる起業家や凄腕エンジニアが、チームを回りアドバイスを行う。コンサルティングを通じて、参加者は新しい考え方や視点を得る。メンターはアドバイス提供を通じて、事業運営の初心を取り戻すとともに、自分のノウハウを適切な形で伝達する練習となる。 

僕が参加したのは最終プレゼンの審査部分。持ち時間5分で発表される数々のプランに対して、質問を行い、「実装の出来栄え」「ビジネスプランの魅力」「各種聞き取りを通じたユーザー設定の適切さ」の3要素を5点満点で採点する。

どのチームも、ユニークな発想を基にしており、聞いていてとても面白い。あっという間に時間が過ぎていく。上位チームとそうでないチームはほんのちょっとの差だけれど、明確な形で差があるから、採点は実はさほど難しくない。

ほとんどのプレゼン「日頃の気付き」→「課題として設定」→「解決方法」としてサービスを説明している。 僕らも何年もこういった審査員をしていたり、知り合いのビジネスモデルを聞かされているから、「課題として設定」のあたりで、だいたい「どんなタマが飛び出すか」ということについていくつかの想像を働かせる。

その想像の範囲内におさまるものは、どうしても表彰台は難しい。あらかじめ想定していた枠を飛び越えて、意外性があり、かつ魅力あるプランに仕上がったものが、審査員の目に止まったように思います。

実は、大学生限定ということで、今回、レベルはどうかな?とちょっと心配していました。しかし結果は、審査員であるはてなの近藤さん、クエステトラの今村さんが「今までで1番ハイレベルかも」と言うほどのものでした。「こういうサービスがあれば面白いはず!」という自らの直感をベースにして、その直感からブレることなく、企画を詰め、さらにはスマートフォンで動くところまで作りこんでしまう今ドキ大学生のパワーに、本当に驚かされました。僕からすると1つあるいは2つ下の世代ですが、スマートフォンやWebサービスを徹底的に使い込んでいる世代。彼らにしか見えないものがあり、彼らだからこそできることが、確実にあるんだろうなと、とても頼もしく思いました。

イベントが終わったあと、メンターのひとり、山下大介さん(京都から現在は東京に移って活躍しているスーパーエンジニア)からコメントがありました。
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今回のアイディアに自信があったけど、優勝しなかったチームのみなさんにアドバイスがあります。今回のStartup Weekendの審査でも言える事だし、ビジネスコンテストでの審査、さらには投資家がその事業に投資をするかどうかの判断をする時というのは、かならず審査基準というものが存在し、さらには審査する人や会社の過去の経験、バックグラウンドというものが影響します。

なので、2位や3位、あるいはランクインしなかったチームであっても、本当は世界を変える可能性のあるサービスだけど、たまたまその時の審査の軸にマッチしてなかっただけという可能性も十分に考えられます。今回のアイディアに限らず、将来的に本当にこれはイケると思えるアイディアが出てきた場合には、ビジネスコンテストで優勝できなかったり、投資家に断られても、この話を思い出して情熱を燃やし突き進んで欲しいと思います。

何人かにはアドバイスしましたが、良く投資家の間で言われる話として、「似たようなアイディアは1000人ぐらいが考えていて、実際に作り始めるのが100人ぐらい、完成させるのが10人ぐらい居て、けど成功させるまでやり続けるのが1人」というのがあります。

将来的に誰かが成功したのを見て、居酒屋とかで「あのアイディアは俺も考えてたんだよー」というくだらない話をする999人にならない為にも、スタートアップを始める時には、本当に情熱を燃やせるアイディアで勝負をして欲しいと思います。
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とても良いアドバイスだと感じました。多くのチームが、イベントの中だけでアイデアを終わらせるのではなく、終わってからも開発を続け、いずれは会社として法人化できるように挑戦を続けていくそうです。

いや〜、本当にがんばってほしいです。

そんな彼らに、イベントの最後に送ったコメントは以下のようなものでした。

「みなさんの多くは、くやしいな、という気分でいることと思います。自分たちなりにベストを尽くしたけれど、負けてしまった。それを上回るアイデアがあった。時間の使い方やチームでの役割分担でもっとうまくできたはず。いろんな理由で、悔しさを感じていることと思います。

でも、その悔しさは、このStartup Weekendに参加したからこそ味わえたものだということを忘れないでください。悔しいのは全力でチャレンジした証なんです。 

大学生活では、なかなか、限界まで気力と体力を使ってアイデアを練るという機会はないのではないかと思います。たまにこういうイベントに出て、自分の実力を試し、十分いけるなとか、いくらでも上には上がいるなと感じるというのも、大切なことなんじゃないかと思います。

実は僕自身も、起業に興味を持ったり、自分の能力をもっと高めようと感じたのは、東京で行われたKINGというビジネスプランコンテストがきっかけでした。合宿をしながら、これ以上ないというアイデアを思いついて、プレゼンをしましたが、コメントすら受け取れない惨敗でした。その時の悔しさは、今でも覚えているくらいです。

みなさんの中にも、もしかしたら今日の悔しさが、人生の転機になる人がいて、今日をきっかけに起業したって人が出てくるのかもしれません。むしろそうなることを祈っています。

そして、このイベントで偶然にも知り合った仲間や、すごいなと思った同世代の人たちと、イベントが終わっても縁をつなげていくということがとても大切だと思います。良い意味でのライバルを持つことで、人はどんどん成長できると思いますし、みんなで力を合わせて、京都や日本を盛り上げていきましょう!」