今年も新人研修がスタートした。4月と5月の2ヶ月間は、週に3回、各1時間程度、仕事に対する姿勢とか、良い企画を生み出す方法、経験を重ねる上で意識すべきことなどを話している。

■「有機トマトのスープ」が売れているとしたら、それをヒントに考えうる次の企画とは?

今日のテーマは「良いアイデアを考えるための方法」。

アイデアや企画は右脳で「直感的に発想するもの」であり、生まれながらのセンスのようなものが必要と考えられているが、実は違うという話。

右脳発想型でアイデアを生み出しても良いが、そういうやり方をしていると「再現性・継続性がない」ので、一発屋に終わる可能性が高くなる。これからの長い仕事人生の中で、アイデアや企画を生み出すことを求められる場面は数知れないが、コンスタントに、良い企画を「出し続ける」ためには、直感に頼るのではなく、生み出し方のパターンを身につける必要があるという話をした。

具体的には、目の前の事実、特に目の前の世の中の動き、具体的にはトレンドを客観的にとらえ、要素分解し、コンテキストで解釈することだ。そして、コンテキストに基いて再度具体化する。

上記はあまりに抽象的なので、具体的な例を出して補足してみる。

例えば、食品メーカーを企画しているとする。あるメーカーが出した「有機トマトのスープ」というレトルト食品が大ヒットしているのを目の当たりにした。これを手がかりに、ヒット商品のアイデアを考えてみるとする。

・世の中の大半の人は、「有機トマトのとろとろスープ」とか、「有機トマトを煮込んだスープ」などといった、ほとんど同一の商品を考える。しかし後追い商品に旨味はない。
・次に多いのが、有機トマトが売れたなら……と考えて、有機とうもろこしのスープはどうか? とか 有機ほうれんそうのスープはどうか? とか考えるパターンだ。

この企画が良いかどうかは別にして、「有機トマトのヒット」を基に、「有機野菜のスープが売れるのではないか?」と、一歩引いて考えている。これが要素分解である。

同じやり方で、「有名農家・藤田さんが作ったトマトのスープ」はどうか?という仮説を考えることもできる。これは「トマト」という要素がヒットの理由かもしれないという仮説の基に、トマトを違うベクトルで打ち出した分解の仕方だ。

もちろんもっと深い要素分析もできる。どこまで深く要素分解するかは、答えのない問いだ。

一方、コンテキストを考えてみる。有機トマトのスープが売れる背景はなんだろうか?

・スープを飲む人は健康志向の人が多いのではないか? では有機○○にかぎらず、健康に良さそうという打ち出しが受けているのではないか?
・女性も働くようになって、朝などに時間がない人が増えているのではないか?栄養ドリンクでは味気がない、野菜を摂った方が良いと思う、「日夜忙しいけど健康に気を使っているビジネスマン・ビジネスウーマンに受けているのでは?」

といった分析の仕方だ。分析の次の一手は、この文脈で導き出したターゲットがどのようなものかを考えていくことになる。

これが要素分解とコンテキスト分析の方法である。

繰り返しになるが、あくまでこれが決定版だというつもりはなく、アイデアを生み出すためにこのような「道具としての考え方」「考え方のパターン」があるのを知るべきだということだ。



加えて、どんな優れたアイデアであっても、実現のためには他人を巻き込んでいく必要が出てくるのも大きい。

・どういうアイデアなのか
・どう優れているのか
・なぜそう思うのか

などは、自分から相手に説明する必要がある。とすれば、その「説明」のプロセスで必ず「論理」が必要になる。

逆に言うと、論理立てて説明ができなければ、そのアイデアの良さは誰にも伝わらない。

つまり、どのみち最後に人に説明する段階で、論理的な説明が必要になるのなら、最初の着想のところから論理的に考えた方が良いということになる。

アイデアを生み出す作業は、一瞬の脳のひらめきに頼るイメージがあるが、実際には、左脳を動かして論理的に積み上げていくことのほうが重要なのだ。



この勉強会は、5月末まで 火・木・金 の朝10時から実施している。見学も歓迎。弊社で働くことに興味を持っておられる方や、企画の着想法について興味がある方は、ぜひ参加して、どんな内容を学び、どんな風に仕事に活かしているのかを体験してみてほしい。 連絡先: tegami@onozomi.com まで「研修参加希望」。