机の上に、鉛筆立てが二つある。
ひとつには、無造作に筆記用具が放り込まれている。
鉛筆、ダーマト、ボールペン、マジック、ハサミ、ホワイト(修正液)、定規などなど。
鉛筆立てはシルバーのアルミ缶。随分前に、クッキーだかキャンディだか、包装紙を剥がしたら思いの他見た目がよかったので鉛筆立てに採用した、確かそうだ。
もう一方の鉛筆立ては緑色の硝子瓶。こちらも随分前から使っている。以前、骨董市で目当てのモノを購入した際、その近くのガラクタの山の中で埃を被っていたのを見そめた。別に年代モノというわけではない、深い緑が綺麗だったのと、なにより安かった、百円とか、そんなもんだった。
綺麗だったとはいえ所詮ただの硝子瓶だ、鉛筆立てぐらいしか使い道はない。
その緑色の硝子瓶には、削っていないサラの鉛筆を数本立てている。これも随分前からしていることだ。一種のまじない、神棚感覚である。仕事やプライベートでよく鉛筆を使っていた頃、よい言葉が生まれますようにと、神棚に御札を奉るように机にサラの鉛筆を飾った。それは、パソコン(ワープロ)を使うようなっても変わらなかった。
先日、KGCが三菱鉛筆について書いているのを読んで、ふと、鉛筆は今、世の中でどういう扱いになっているのだろうかと、久しぶりに自分の机の上の鉛筆の存在を思い出したのだ。
僕らが子供ころ、鉛筆に小っちゃな鉛筆削り、あるいはボンナイフというのはセットでまだ現役だったけれど、主役の座は徐々にシャーペンへ移り始めていた。それがいつ頃で何年生の頃だったかまではハッキリ覚えてない。
シャーペンとの出会いにはちょっとした驚きがあったけれど、どちらかといえばボンナイフの止め金を緩めて指でカチャカチャやりながら刃を物凄いスピードで出し入れする技に夢中になっていたオチャラケ小学生だった僕は、姉に初めてシャーペンを見せられ自慢されたときも「ほほぉ〜、まあ私もいつか持つ日が来るでしょうな」くらいにしか思ってなかったような、シャーペンとのファーストコンタクトはおそらくそんな程度だったろう。
ボンナイフはそんなオモチャ扱いだから、学校などで鉛筆を削るときはあの小さな鉛筆削りが役に立った。
プラスチック製で小さな箱型のカスが中に溜まるタイプのやつはいくつか色にバリエーションがあって人気があった。でもやっぱり携帯用の鉛筆削りといったら金属製で刃がプラスのネジで止められているアレだ。鉛筆を挿して削るとカスがガリガリこぼれてゆく。
そしてあの独特なスタイル。何かの、どこかの部分のパーツのような、そんなデザイン。いずれ何かと合体するんじゃないかと勘繰ってしまうようカタチをしていた。
ほとんどがシルバーだったけれど、後年それに色つきが出ていた記憶がある。
そんな懐かしい文房具。
小さい鉛筆削り、ボンナイフ、いずれもまだ世の中に存在しているのだろうか。
ネットで調べてみると、いますな、ツワモノが。ボンナイフなどの懐かしい文房具を紹介しているサイトを発見しました。
やはり、ボンナイフはすでに世の中から消えてしまったようで、しかもこのボンナイフという呼び名、東日本だけなのだそうだ。ホント?
ボンナイフのほかにも、同じような扱いのナイフを何点か紹介していて、どれもみな古いモノばかり、ひとつひとつにアジがある。
一方、鉛筆削りの小さいヤツ、こちらはまだ文房具としてしっかり店頭に並んでいた。先日、某大手書店の文房具フロアに行ったとき、鉛筆コーナーの一画に数タイプ置かれているのを見つけた。
鉛筆はといえば、三菱鉛筆のuniとHi-uni、トンボ鉛筆のMONOシリーズなどが狭いスペースに置かれている。これ、広めの文房具店だから狭いながらも一応は鉛筆コーナーとしてのスペースが設けられているのだ。鉛筆求めて何店舗か文房具店を巡ったが、どこも鉛筆コーナーは棚の隅、uniとHi-uniのみのところも少なくない。トンボはMONOシリーズしか目にしない。あの黄色い箱の定番8900シリーズも、消しゴム付きの2558シリーズも、見つからない。消しゴム付きも、赤青のカラーペンシルも、三菱鉛筆なら置いている。でも、トンボ鉛筆は置いていない。なぜだ?トンボはもうMONOシリーズだけなのか?
某大手書店の文房具フロアにHi-uniの新商品ポスターが貼ってあった。10Hから10Bまでの22硬度が揃ったケース入りの逸品。商品は見当たらない。でもそれより数日前に実物をkGCから見せてもらっていた。流石、KGC、目をつけるのが早い。
ポスターのコピーには、デッサンや鉛筆画をはじめとしたデザイナーやアーティスト向け、とあった。そう言えばKGCもあの22本で絵を描くようなことを言っていたな。
今、鉛筆の活躍の場はそっち方面のほうが多そうだ。
骨董市で古いガラスペンや、パイロット、ペリカンの古いインク瓶(もちろんインクの入っているもの)を集めていた時期がある。とても書き味がよく、ちょっとした文豪気分が味わえる。
それでも、やっぱり一番頼りになったのは鉛筆だった。
奉っているなんて言いながら、ここ何年も机の上の鉛筆には手を付けていなかったので、掃除がてら立て掛けてある鉛筆を抜いてみた。
トンボ8900シリーズ、三菱鉛筆の9800シリーズとuni、いずれも2B。赤と青のダーマト、真ん中から赤青に分かれたカラーペンシル。
トンボの8900シリーズはサラの1ダースの箱が、押入れの中の段ボールのどこかに眠っているはずだ。
鉛筆はすべて2Bだった。大人になってからは、鉛筆はすべて2Bに治まった。
Bを使っていた時期もある。下向きの、あのトンボのシンボルマーク、TONBOWのロゴ、Bのひと文字、その組み合わせが好きだった。多分そんな理由程度だったと思う。多分。
小学生の時、高学年の頃だったと思うけど、2Hが爆発的に流行ったときがあった。やや薄目の2Hで書くと字が上手く見える、これは公然とした常識だった。
ただ、2Hの鉛筆を思い起こすと、アタマの中に映像として出て来る鉛筆は、なぜか三菱鉛筆のuniである。
KGCが言うように、三菱鉛筆のuniはちょっと大人の雰囲気があって高級な感じがした。たいして高かったわけじゃないんだけどね。でもちょっと高級感があったことは確かだ。
2Hの鉛筆が流行ったのは小学生の高学年、ちょっと大人っぽい感じのする三菱鉛筆uiに手を出したのも多分小学生の高学年の頃だろう。それで2Hと三菱鉛筆のuniが映像として繋がるのかもしれないな。
トンボの、あのリアルなシルエットのシンボルマークは格好よく、三菱鉛筆uniのえんじ色に三菱マークは高級感がある。
今でも、そのイメージは変わらない。
鉛筆には、尽きない思いがある。
ひとつには、無造作に筆記用具が放り込まれている。
鉛筆、ダーマト、ボールペン、マジック、ハサミ、ホワイト(修正液)、定規などなど。
鉛筆立てはシルバーのアルミ缶。随分前に、クッキーだかキャンディだか、包装紙を剥がしたら思いの他見た目がよかったので鉛筆立てに採用した、確かそうだ。
もう一方の鉛筆立ては緑色の硝子瓶。こちらも随分前から使っている。以前、骨董市で目当てのモノを購入した際、その近くのガラクタの山の中で埃を被っていたのを見そめた。別に年代モノというわけではない、深い緑が綺麗だったのと、なにより安かった、百円とか、そんなもんだった。
綺麗だったとはいえ所詮ただの硝子瓶だ、鉛筆立てぐらいしか使い道はない。
その緑色の硝子瓶には、削っていないサラの鉛筆を数本立てている。これも随分前からしていることだ。一種のまじない、神棚感覚である。仕事やプライベートでよく鉛筆を使っていた頃、よい言葉が生まれますようにと、神棚に御札を奉るように机にサラの鉛筆を飾った。それは、パソコン(ワープロ)を使うようなっても変わらなかった。
先日、KGCが三菱鉛筆について書いているのを読んで、ふと、鉛筆は今、世の中でどういう扱いになっているのだろうかと、久しぶりに自分の机の上の鉛筆の存在を思い出したのだ。
僕らが子供ころ、鉛筆に小っちゃな鉛筆削り、あるいはボンナイフというのはセットでまだ現役だったけれど、主役の座は徐々にシャーペンへ移り始めていた。それがいつ頃で何年生の頃だったかまではハッキリ覚えてない。
シャーペンとの出会いにはちょっとした驚きがあったけれど、どちらかといえばボンナイフの止め金を緩めて指でカチャカチャやりながら刃を物凄いスピードで出し入れする技に夢中になっていたオチャラケ小学生だった僕は、姉に初めてシャーペンを見せられ自慢されたときも「ほほぉ〜、まあ私もいつか持つ日が来るでしょうな」くらいにしか思ってなかったような、シャーペンとのファーストコンタクトはおそらくそんな程度だったろう。
ボンナイフはそんなオモチャ扱いだから、学校などで鉛筆を削るときはあの小さな鉛筆削りが役に立った。
プラスチック製で小さな箱型のカスが中に溜まるタイプのやつはいくつか色にバリエーションがあって人気があった。でもやっぱり携帯用の鉛筆削りといったら金属製で刃がプラスのネジで止められているアレだ。鉛筆を挿して削るとカスがガリガリこぼれてゆく。
そしてあの独特なスタイル。何かの、どこかの部分のパーツのような、そんなデザイン。いずれ何かと合体するんじゃないかと勘繰ってしまうようカタチをしていた。
ほとんどがシルバーだったけれど、後年それに色つきが出ていた記憶がある。
そんな懐かしい文房具。
小さい鉛筆削り、ボンナイフ、いずれもまだ世の中に存在しているのだろうか。
ネットで調べてみると、いますな、ツワモノが。ボンナイフなどの懐かしい文房具を紹介しているサイトを発見しました。
やはり、ボンナイフはすでに世の中から消えてしまったようで、しかもこのボンナイフという呼び名、東日本だけなのだそうだ。ホント?
ボンナイフのほかにも、同じような扱いのナイフを何点か紹介していて、どれもみな古いモノばかり、ひとつひとつにアジがある。
一方、鉛筆削りの小さいヤツ、こちらはまだ文房具としてしっかり店頭に並んでいた。先日、某大手書店の文房具フロアに行ったとき、鉛筆コーナーの一画に数タイプ置かれているのを見つけた。
鉛筆はといえば、三菱鉛筆のuniとHi-uni、トンボ鉛筆のMONOシリーズなどが狭いスペースに置かれている。これ、広めの文房具店だから狭いながらも一応は鉛筆コーナーとしてのスペースが設けられているのだ。鉛筆求めて何店舗か文房具店を巡ったが、どこも鉛筆コーナーは棚の隅、uniとHi-uniのみのところも少なくない。トンボはMONOシリーズしか目にしない。あの黄色い箱の定番8900シリーズも、消しゴム付きの2558シリーズも、見つからない。消しゴム付きも、赤青のカラーペンシルも、三菱鉛筆なら置いている。でも、トンボ鉛筆は置いていない。なぜだ?トンボはもうMONOシリーズだけなのか?
某大手書店の文房具フロアにHi-uniの新商品ポスターが貼ってあった。10Hから10Bまでの22硬度が揃ったケース入りの逸品。商品は見当たらない。でもそれより数日前に実物をkGCから見せてもらっていた。流石、KGC、目をつけるのが早い。
ポスターのコピーには、デッサンや鉛筆画をはじめとしたデザイナーやアーティスト向け、とあった。そう言えばKGCもあの22本で絵を描くようなことを言っていたな。
今、鉛筆の活躍の場はそっち方面のほうが多そうだ。
骨董市で古いガラスペンや、パイロット、ペリカンの古いインク瓶(もちろんインクの入っているもの)を集めていた時期がある。とても書き味がよく、ちょっとした文豪気分が味わえる。
それでも、やっぱり一番頼りになったのは鉛筆だった。
奉っているなんて言いながら、ここ何年も机の上の鉛筆には手を付けていなかったので、掃除がてら立て掛けてある鉛筆を抜いてみた。
トンボ8900シリーズ、三菱鉛筆の9800シリーズとuni、いずれも2B。赤と青のダーマト、真ん中から赤青に分かれたカラーペンシル。
トンボの8900シリーズはサラの1ダースの箱が、押入れの中の段ボールのどこかに眠っているはずだ。
鉛筆はすべて2Bだった。大人になってからは、鉛筆はすべて2Bに治まった。
Bを使っていた時期もある。下向きの、あのトンボのシンボルマーク、TONBOWのロゴ、Bのひと文字、その組み合わせが好きだった。多分そんな理由程度だったと思う。多分。
小学生の時、高学年の頃だったと思うけど、2Hが爆発的に流行ったときがあった。やや薄目の2Hで書くと字が上手く見える、これは公然とした常識だった。
ただ、2Hの鉛筆を思い起こすと、アタマの中に映像として出て来る鉛筆は、なぜか三菱鉛筆のuniである。
KGCが言うように、三菱鉛筆のuniはちょっと大人の雰囲気があって高級な感じがした。たいして高かったわけじゃないんだけどね。でもちょっと高級感があったことは確かだ。
2Hの鉛筆が流行ったのは小学生の高学年、ちょっと大人っぽい感じのする三菱鉛筆uiに手を出したのも多分小学生の高学年の頃だろう。それで2Hと三菱鉛筆のuniが映像として繋がるのかもしれないな。
トンボの、あのリアルなシルエットのシンボルマークは格好よく、三菱鉛筆uniのえんじ色に三菱マークは高級感がある。
今でも、そのイメージは変わらない。
鉛筆には、尽きない思いがある。