2011年07月21日

解体間近の京橋会館

広島駅近くにある京橋会館は敷地を取り囲む「ロの字」型の建物配置が特徴的な市営住宅です。
1954年に建設され利用されてきましたが老朽化が目立ち民間資本により子育て支援施設・高齢者向け賃貸住宅・分譲住宅等の複合型の高層住宅として再開発されることが決まりました。

DSC03928_044


会社に近いこともあり前をちょくちょく歩いていたのですが、先日地元経済誌に今月中に取り壊し開始という記載がありましたので撮り納めに行ってきました。何度か中を覗いた事はあるのですが市営住宅ということもあり建物の中に入るまではしていませんでしたが既に居住者はいないということで廊下や屋上まで上がって見ました。


この日は建築探索には生憎の雨でしたが他に人も来ないのでのんびり回られました。

縦に続く窓は階段室の真裏に当たります。DSC03939_049
かといって階段が明るいわけではなく多分階段裏が倉庫かなにかなんでしょう。
この写真でも階段奥に小部屋が見えます。
DSC03913_073
手すりはきれいな曲線で仕上げられています。
1階は美容室や工務店などが並んでしました。
DSC03928_071

DSC03927_043

DSC03932_046

1階の工務店などはまだ活動をしていました。
DSC03935_072

中庭への出入り口に案内板があります。
DSC03940_050

京橋会館が最大の特徴であるロの字型の建物配置がよくわかります。これは戦後の試行錯誤の時代に生まれながらも他の集合住宅に引き継がれることなく消えていったまさに時代の仇花でした

道路から中庭を覗きます。
DSC03942_051


1階の部屋には中庭からも出入りが出来ます。
DSC03880_052

中庭は駐車場・駐輪場・工務店の倉庫と植栽スペースとして使われています。
DSC03899_037
この空間がもっと地域コミュニティの形成に欠かせないような使われ方をしていたらこのタイプの住宅が増えたかもしれません。
DSC03902_069

東側の棟の廊下。こちらはフェンスですが、
DSC03887_033

北側の棟はコンクリと、向きによって素材を使い分けています。
DSC03883_032

この通り廊下が非常に狭いです。
DSC03888_054
大人がすれ違うのがやっとです。
3階以上は入口が廊下に面しているのですが2階は階段に面しています。
DSC03919_041
手前の配管から見てこの部分に湯沸しがあったんじゃないかと推測。
屋上は共用の洗濯スペースでこちらは物干し場。
DSC03895_036

こちらは水汲み場。恐らくは手洗いの洗い場を兼ねていたのではないでしょうか。
DSC03892_034

洗濯機は廊下に無理やり置いていたようです。DSC03918_056


実に年代を感じさせる扉(の貼り紙)
DSC03882_031
ゴッドマーズなんて30年以上前のもの。
こちらは生活感あふれる張り紙。
DSC03916_040
ダストシュートが近年は機能していなかったことが分かります。
こちらの張り紙によれば5月に広大工学部意匠研究室の調査があったようです。
DSC03923_042
隣には隣接のちびっこ広場廃止のお知らせ。
小さな広場ですがこれがあったから中庭が有効利用されなかったのかもしれません。
DSC03931_047


この京橋会館は取り壊しを惜しむ声もあるそうですが私には消えゆくべき建物としか見えませんでした。
建物の中を見るとわかるのですが風呂なしに狭い廊下に屋上の共用スペースとまさしくコンクリート版の長屋なのです。そのうえ天井も低くこれでは住宅やオフィスとしてのとしての再生は困難でしょう。例え出来ても外壁を残して中に別の建物を造るような新築と変わらないような構造になるのではないでしょうか。
何よりこの建物が現役のうちは活用策やリノベーションプラン等は出てきませんでした。このあたりが旧広島市民球場と大きく違う点だと思います。

fugajin_doko at 00:22│Comments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 建築散歩 | 街づくり
広島ブログ

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
Twitter
訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

引越し日: 2008/9/5


記事検索