プランクポーズは好き?

ヨガのクラスで必ずといっていいほど登場するプランクポーズ。プランクは「板」という意味があり、「板のポーズ」とも呼ばれます。名前の通り全身を一枚の板のように一直線に保つのです。しかしこのプランクポーズが「大好き!」と言う方には正直私は出会ったことがないくらい、決して人気があるとはいえないポーズのひとつです。ヨガでは非常にメジャーなポーズなのに、どうしてでしょう?

地味にキツ〜い「プランクポーズ」のメリットって?理学療法士が魅力を解説
プランクポーズ/photo by ヨガジャーナルオンライン

「体幹」の重要性

体幹トレーニング」という言葉を耳にすることがあると思いますが、プランクポーズは、「体幹」を鍛えるためには最適のポーズであることを知っていますか?体幹とは、腕や脚を除いた胴体の部分を指します(頭部は含める場合と含めない場合があります)。体幹は身体のまさに「コア」であり、腕や脚は、体幹からの力の伝達があってはじめて動かすことが可能なのです。体幹は、私たちが手を挙げる、歩く、などすべての動きをスタートさせる原点となるところです。体幹の強さや安定性がないと、上半身と下半身の動きの統合が行われず、思い通りのパフォーマンスにつながりません。また体幹の力は、持久力やバランス能力にも関係します。

体幹を支えるために主要な筋肉は、「腹筋」と「背筋」です。一般的に、背筋の方が優位に働いていて、腹筋の筋力不足の人が多いのですが、プランクポーズでは特に腹筋をメインで鍛えることが可能です。




プランクポーズのポイント

プランクポーズのポイントは、

・腹圧を入れる(下腹部を引き上げる)
・頭から踵までを一直線に保つ
・肩の真下に手首を置く

の3つです。

お尻の位置が高すぎたり、逆にお尻が下がって腰が反ってしまうのはNGです。また、決して腕力だけで支えるポーズではありません。使うのは体幹の力です。腹圧が抜けていると腰痛の原因にもなり危険です。肘の過伸展にも注意しましょう。重要なポイントである「身体を一直線に保つ」というのが意外と難しく、できていない人も多いです。プランクポーズは床に接している面積が狭く、両手足のたった4点で自分の体重を支えるため、形はとてもシンプルですが、見た目以上にハードなポーズかもしれません。正しいポーズがとれているかどうか、インストラクターにフォームをチェックしてもらったり、自分で鏡を見て修正する機会も必要です。

まず、このプランクポーズで10秒キープしてみましょう。これが難しいと感じた方は、肘をついたドルフィン・プランクポーズでチャレンジするか、プランクポーズから両膝を床に下ろした状態だと楽になるので、そちらでまず慣れていきましょう。

地味にキツ〜い「プランクポーズ」のメリットって?理学療法士が魅力を解説
ドルフィン・プランクポーズ/photo by David Martinez

プランクポーズのバリエーション

プランクポーズは体幹が空中にあるため、体幹周囲の多くの筋肉がポーズの安定性を維持するために動員されます。腹横筋などの腹筋群や、脊柱起立筋群、上腕三頭筋、大腿四頭筋などです。
また、プランクポーズはバリエーションが多いということも特徴です。ヨガのプランクポーズは、ピラティスではフロントサポート、肘をついたヨガのドルフィン・プランクポーズは、トレーニング種目ではフロントプランクとも呼ばれます。これ以外に、身体を横に向けるサイドプランク、身体が上を向くバックプランクがあります。サイドプランクはヨガのポーズではヴァシシュターサナ横向きの板のポーズ、バックプランクはヨガではプールヴォッターナーサナ東側を強く伸ばすポーズのことですね。

地味にキツ〜い「プランクポーズ」のメリットって?理学療法士が魅力を解説
ヴァシシュターサナ/photo by ヨガジャーナルオンライン
地味にキツ〜い「プランクポーズ」のメリットって?理学療法士が魅力を解説
プールヴォッターナーサナ/photo by Martin Sconduto

重力の働く方向は一定なので、このようにプランクポーズから身体の向きを変えることで、体幹にかかる負荷を自在に変化させることが可能です。

そしてプランクポーズでは、脊柱のS字カーブを保つことも大切です。脊柱には4つのカーブがありますね。ターダーサナの時と同様、プランクポーズでもこのS字カーブを保ってニュートラルを維持しなければなりません。身体を板のように一直線に保つというのは、このS字カーブを維持するということです。

地味にキツ〜い「プランクポーズ」のメリットって?理学療法士が魅力を解説
Illustration by AC PRiCO(ぷりこ)




プランクポーズの動的エクササイズ

通常ヨガのプランクポーズは、この形のまま静止して呼吸します。静止性収縮が起こっている状態で、静的エクササイズともいいます。確かにこの状態は腹圧が高まると同時に、遅筋(ちきん)といって持久力の高い筋肉にスイッチが入っていく理想的な状態ですが、動きがないので動作のトレーニングにはなりません。人間は「動く物」と書いて「動物」ですよね。人間は動くためにうまく作られているのです。ですので私の場合は静的エクササイズだけでなく、動的エクササイズをヨガの中に積極的に取り入れています。

例えば、プランクポーズから、

・片脚を床から持ち上げて上下に30度ほどの振り幅で上げたり下げたりの「屈曲伸展」
・片脚を床から持ち上げて左右に30度ほどの振り幅で開いたり閉じたりの「外転内転」
・片膝を曲げてカエル脚のように外から同側の肘に近付けては元の位置に戻す「外旋内旋」

などです。

それぞれ同じ脚を連続でゆっくり10回おこない、反対側を10回おこないます。動きにつられて頭や骨盤の位置がブレたり、身体の一直線が崩れないようにコントロールします。動かす脚はその都度床に下ろさずに空中に保持したままの方がより効きます。「屈曲伸展」は片膝を曲げてもも上げするように胸の中央に引き寄せては戻す動きでもOKです。もちろん脚ではなく腕の動きでもアレンジできます。このように運動の3平面を使い分けることで、バランスよくトレーニングができます。

最後に

プランクポーズ、馴染みのあるポーズですが、おそらく今まで向き合うことのなかったポーズかもしれません。体幹を鍛えるメリット、プランクポーズのポイントを踏まえた上で、10秒キープできるならサイドプランクやバックプランクにもトライしてみましょう。さらに、プランクポーズに動きをプラスして、動きに対して身体をコントロールすることにも挑戦しましょう。

きっと皆さんのヨガがもっともっと深まるはずです。

ライター/堀川ゆき
理学療法士。ヨガ・ピラティス講師。抗加齢指導士。モデルやレポーターとして活動中ヨガと出会い、2006年にRYT200を取得。その後、健康や予防医療に関心を持ち、理学療法士国家資格を取得し、慶應義塾大学大学院医学部に進学。現在大学病院やスポーツ整形外科クリニックで、運動機能回復のためのリハビリ治療に携わる。RYT200解剖学講師も務める。