第3ステージ
今日は雨の予報だったが朝から曇り空。
昨日の食事は珍しく悪く、全然量が足りなかったので近くのマックに行って補充した。
朝から、心なしか胃が重く。食欲もない。
食べ物もパンとケーキぐらいしかなく、足りない。
しかし、幸い胃が重いので消化に時間がかかる分ハンガーノックにはならなそうだと思う。
地元の黒人合唱団の歌声に送られてスタートした。
げっぷをしながらのスタートだったが脚は軽い。
横風でアタック合戦の時、本気でふんだらすごい勢いで飛び出せた。
かなり調子はいい。
丘でアタックがかかり、15人ほどが抜け出しそうになったので、後ろからアタックして追いついた。
マウロ、レオナルドと自分の3人が乗っている。
レースリーダーのハンターを擁する南アフリカのチームもあまり強くないと聞いていたから、15人で回ったら逃げ切れると考えた。
チームから3人乗せているのはNIPPOだけ。
これで団体総合もいただきだとほくそ笑んでいたら、後ろもそれが分かってか1分以上離さないで必死に追ってくる。我慢比べだ。
しかし、後ろが勝って30kmほど逃げたところで捕まりそうになったので、さらに自分が単独でアタックした。
超向かい風のただっ広い一本道。
一人なら行かせてくれるかと思って我慢していたら3人追いついてきて4人になった。
この4人も最初は引いていたが途中から、南アフリカの俺の友人、ネイルが引かなくなった。
「どうした?」と聞いたら「脚がない」という返事。
そんなはずはない。
奴は現在総合8位。
そいつが引かないのには訳がある。
同級生ハンターのために、今日は集団スプリントに持ち込もうという事で南アフリカチームは結束していた。
もう一人の引かないラポムの選手に
「なぜひかない?」と聞くと
「ネイルが引かないから俺もひかない」とこれまた元も子もない理由。
残るラファの選手と2人で引いていたが、エッリからは「引きすぎるな」と言われているし、どうも煮え切らないので、ラファの選手には悪いがアタックした。
残り100km。超向かい風の中、3人は反応しなかった。
一人で荒野を踏んでいると、ラポムの選手が後ろから一人で来る。
こいつ、待ってもいいが「つきいち(ひかない事)」にならんかな?
と思いながらも待ってやる。
今度はガンガン引いてくれた。
後続との差は3分まで開いたがそれ以上は開かない。
どうやら、今日はやはりスプリントに持ち込みたいらしい。
チームカーのエッリに後ろの状態を聞くと、ユーロップカーなどの南アフリカのチームが3チームで追っているという情報。
何という事だ。
残り60kmで 差は2分。
強い向かい風。
かなりの悪条件が重なっているが調子は最高にいい。
念のため梅丹の足攣り防止のタブレット「ツーラン」を摂りながら、二人でぎりぎりまで追い込んで走った。
残り20kmで差は1分。
ここからが踏みどころだがさすがに脚がなくなってきた。
ラポムの選手は途中から、先頭を引く時間が短くなった。
まあ、逃げ切らないと何もない。
全てを出し切って残り10km。
差は1分。
そこでラポムの選手がアタック。
彼も脚に来ていたので、追いつけるかと思ったが、追いつけずに自分は残り5kmで後続につかまった。
集団はそこからNIPPOがコントロールして最後ラポムの選手を捕まえ、マウロが見事ステージ優勝!
自分で言うのもなんだが、自分が逃げた日はチームメイトが勝つ公算が高い。
ラポムの選手にはいいように利用されてしまったが、いかにもフランス人らしい、頭のいい走り方だった。
終わってからラポムの監督が来て
「奴は最後アタックしたのか?」と聞いてきたので
「彼はマラン(ずるがしこい)が、俺を置いていけばNIPPOに追われる事が分からなかったから十分にマランではなかったね」と言っておいた。
ホテルで豪華な夕食会場でクリスチャンハウスが
「今日は良く逃げたな」というので、昨日お前が行ったから、今日は俺が行った。
「じゃあ、明日は一緒に行こう」と言ったら、「OK」と言っていたが出来れば彼とも行きたくないな。
年寄り連中は勝利への執念が強く一筋縄にはいかない。
「明日雨が降ったほうが逃げ切れるからいい」と言っていた。
ヨーロッパでさんざん寒い思いをしながら、このセリフ。
やぱり、イギリス人は頭がおかしい。
夕食の後、カジノで30分だけブラックジャックを遊び50ユーロ負けた。
まあ、このホテル自腹で泊まったら200ユーロはかかりそうだと自分を慰めた。
今は激しい雨が降っている。明日はどんな一日にあるだろうか?