2004年11月25日

カフェ探訪★コーヒー乱歩(千駄木)

コーヒー乱歩入口の横にはまず、『D坂の殺人事件』のデカデカとしたポスター。

店に入るなり、素晴らしく感動的な思いがした。
“やっと、ここに来た!”という思い。

団子坂にずっと前からある、喫茶店。
『コーヒー乱歩』を今まで一度も訪れたことがなかったのは、
自分でも、どういうわけだか分からない。

ヨン様が再来日して、大騒ぎされている今日。
私は、乱歩に熱烈恋焦がれている、という程ではないけれど、
ずっと前から、彼の作品ファンだった。

それなのに。
やっと流れ着いて、
“神様、ありがとうございます!”という気分にすらなった。





さすが、乱歩ファンのご主人が開いたという喫茶店。

とにかく、入ってみて。
乱歩の匂いがした。
どことなく。

店内は、乱歩の持つ雰囲気にふさわしく。
いつでも薄暗く、淡い曇り硝子のそばには、
得体の知れない瓶や、仮面、妖しい猫の絵が、飾られている。
果ては、「シルエット工場」の切絵など、至る処に、隠れた宝物があるみたい。

ご主人は、白髪で、かなり年輩の男性のようだった。
でも、不思議な事に、声は、青年のように高く透き通って、滑舌が良く。

壁面いっぱいの「MILES DAVIS」のポスター。
快活なジャズが、心地良く流れ、雰囲気ある年輩のお客さんが、入れ替わりに入店する。
みんな、常連のようだ。





作家の坂本光一氏はここで乱歩賞の『白色の残像』を書き上げ、
内田康夫氏は『上野谷中殺人事件』で乱歩亭として登場させたという。
最近では、船越英一郎さん出演のサスペンスの撮影が行われたとのこと。
放映予定は、来年らしい。





トイレに入ると笑ってしまう。
流し台にある文句。

ご主人の彫刻のような文字で―
「男性諸氏!
適当に引っ張り出したら、しっかり握って直球ストライク!
変化球など出したら恐ろしい祟りが待っているでしょう。」

刀を構えた侍の絵の横には、
「わしが成敗つかまつりまする」。

さらに、手洗い場の鏡には、
「コーヒー雑誌によると、トイレが汚いコーヒー店は、コーヒー店として失格だそうだ。
そのトイレを汚すのは、誰だ。どの客だ。」

「コーヒー一杯で3時間。トイレ2〜3回。
挙げ句の果てには、一万円札出して、領収書下さいだと。
そんな客はいらん。」

うーん、なかなか癖のあるマスターだなあ。やはり。
私が学生時代、4年間バイトしてた珈琲店も、そんな感じだったけれど。

トイレにお客さんへの注文をつらつらと貼るとは。初見。


お店を離れるのは、なんとも哀しいぐらい、名残惜しかった。





■参考文献 / 『AMUSE』1999.5.12号 ―乱歩「帝都の残照」 毎日新聞社刊

乱歩に関する雑談↓
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1095229510/



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1. 谷根千ライフ  [ 龍眼想 ]   2004年12月06日 23:06
今回は、千駄木情報を扱っていらっしゃるブログへ、沢山トラックバックさせていただきました。

この記事へのコメント

1. Posted by もとよし   2005年01月05日 23:29
ねあんさん
千駄木と言えば、音楽系のオフ会で何度か行った事があって、団子坂も歩いている筈なんですけれど、「コーヒー乱歩」の事は知りませんでした。 きっと、乱歩ファンの皆さんにとっては常識なんでしょうね。
そのうちに、こっそりと訪ねてみようと思います。 谷根千一帯の雰囲気も大好きですし。
2. Posted by ねあん   2005年01月06日 20:42
>もとよしさん

こんにちは!
私もここを初めて訪れるまで、雑誌でちらっと見ただけで、
よく知らなかったですよー。

また行きたいです。

ずっと、なくならないで欲しいお店です。

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