音楽感想文

主にジャズの感想

2018年07月

Loved_Ones
「気心の知れた」どころではない、
ミュージシャンの親子共演となると
バチバチに激突するような熱い内容より
お互いが歩調を合わせるような、穏やかな演奏になる事が多い
と思わせられる一枚

まず1曲目の「Delilah」から
Ellis Marsalisのピアノの瑞々しさに驚く

これは只者でない名人感を見せておいて
続く「Maria」で息子のBranfordが登場

このソプラノ・サックスがまた絶品で
拡がる風景を連想させる音色という点では
Gil GoldsteinとDave Liebmanのデュオに匹敵する「Maria」の演奏

テナーサックスではどちらかというとユーモラスな面を見せて
ソプラノの哀切さと好対照
ラストの「Dear Dolores」でのソロ・ピアノ、これも深い!
サラッと弾いていながら、終始息子をリードする親父の凄み
Branfordの自慢げな表情も分かるというもの

Ellis & Branford Marsalis 『Loved Ones』

Label:Columbia
Rec:August & September 1995

Ellis Marsalis (p), Branford Marsalis (ss,ts)

①Delilah ②Maria ③Lulu's Back in Town ④Miss Otis Regrets ⑤Angelica ⑥Stella by Starlight ⑦Louise ⑧Bess, You Is My Woman Now ⑨Liza ⑩Nancy with the Laughing Face ⑪Laura ⑫Alice in Wonderland ⑬Sweet Lorraine ⑭Dear Dolores
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standard-coltrane-stardust-1-bonus-track
2枚のアルバムを1枚に収める「2 in 1」CDは
オリジナルを尊重される方には邪道であろうが

このJohn Coltraneのアルバムについては
メンバーが同一である『Standard Coltrane』はともかく、
『Stardust』の方はトランペットがWilbur Hardenの曲と
Freddie Hubbardの曲が混在しており、
安直なタイトルと共に、まさに寄せ集めという感じのため
2枚にまとめた方が統一感が出るという、稀なケース

特に凝ったアレンジもなく、
スタンダードを淡々と吹くColtraneは魅力的で
一聴してアクと輪郭の強いHubbardと、
控えめながら情緒のあるHardenの聴き比べも出来る

ジャズ(のヴォーカル以外)ではどちらかというと
ミドル~アップテンポで演奏されるのが多い「Invitation」が
ここではスローでじっくり演奏
⑧の透明感もいいね~

John Coltrane 『Standard Coltrane + Stardust』

Label:Poll Winners (Prestige)
Rec:July 11 & December 26, 1958

John Coltrane (ts), Wilbur Harden (flh,tp-①~⑤⑦), Freddie Hubbard (tp-⑥⑧⑨), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds-①~⑤⑦), Art Taylor (ds-⑥⑧⑨)

①Don't Take Your Love from Me ②I'll Get By ③Spring is Here ④Invitation ⑤Stardust ⑥Time After Time ⑦Love Thy Neighbor ⑧Then I'll Be Tired of You ⑨Bahia
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pony1
特典音源というべき29分の盤を聴いたので
60分を超える本編を聴くことに

序盤の「オルフェのサンバ」から
Jan Hammerのラテン・タッチのピアノを聴けるとは!
続く「School Days」「Satin Doll」ではオルガンにスイッチ

オーソドックスな曲でも、鋭い野心的なアタックを見せるJan Hammer、
ベテランと若手の組み合わせが面白いのはこういうところ

とにかく、Ponyさんのアルト・サックスが
これでもかと鳴っているのが痛快!
George Mrazとのデュオでじっくりと歌う④もいいし、
Hammerがピアノに戻る⑥「Jive Samba」でそのノリが頂点に
のたうち回るようにシツコク吹きまくるのが最高、ピアノも熱い

ヴォーカルも交えて盛り上げ、
下世話さも加えたフレーズのノリノリぶりに
それまでは、オールドスタイルの「ホノボノ系」かと思っていた、
Ponyさんの野性の男っぷりを再認識

Pony Poindexter 『Live at the Domicile 1968』

Label:Enja
Rec:September 1968

Pony Poindexter (as,vo), Benny Bailey (tp), Jan Hammer (p,org), George Mraz (b), Michael Dennert (ds)

①Orpheus Negro Samba ②School Day ③Satin Doll ④Moon Rider ⑤How Long, How Long ⑥Jive Samba ⑦Big Foot
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c-project1
ヴィヴラフォンとオルガン、
という楽器の組み合わせは
ヌルヌルとした感じが出るので
時としてビミョーな味になりそうなところ、
そこは演奏者のセンスがモノを言うのが分かるアルバム

Dave Samuelsを中心とした2チームに分かれての演奏なので
一曲ごとに変化をつけられている

怪しげなアレンジのBill Evans「Nardis」から始まり
ラテン・パーカッションが熱量を上げる⑤は
スティール・ドラムの金属音に対してマリンバを配するという心配り

⑥「Slow Dance」は一転して寂しげ、
バイオリンの愁いのある音、どこかへ連れて行かれそな響きが際立って
ヴァイヴが静かに絡む、これは涼しい! 一番いい

Paquito D'Riveraもアルト・サックスの熱さに加え
⑨のひんやりしたクラリネットがより印象的
HotとCoolの塩梅がよく考えられている

Samuelsが作曲したことになっている⑦「Spinnaker」は
Wayne Shorterの「E.S.P.」とほぼ同じ曲(笑)

Caribbean Jazz Project featuring Dave Samuels 『Mosaic』

Label:Concord
Rec:March 19 & 20 & 27, 2006

Dave Samuels (vib,marimba) with
①②④⑥⑦⑧
Alain Mallet (p,org), Boris Kozlov (b), Dafnis Prieto (ds), Roberto Quintero (per), Christian Howes (vln)
③⑤⑨
Andy Narell (steel pans), Paquito D'Rivera (as,cl), Alon Yavnai (p), Oscar Stagnaro (el-b), Mark Walker (ds), Pernell Saturnino (per)

①Nardis ②St. Ogredol ③Portraits of Cuba ④Afro Green ⑤Wazo Dayzeel ⑥Slow Dance ⑦Spinnaker ⑧Mambo de Luna (Para Cachao) ⑨Dusk
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milessmiles
この名盤の、Tony Williamsが凄いのはもう十分わかったので
Ron Carterのベースに集中してみる

WilliamsやWayne Shorterらが
同心円状にどこまでも行ってしまいそうなのを
Carterが根元で足を踏ん張って手綱を引き
コントロールしているように聞こえてくる

ラストの「Ginger Bread Boy」、フロントがいなくなって
Tony WilliamsとRon Carterだけのやり取りになる部分は本当にスリリング
これは完全に4ビートを超えている
(最後にMilesの嗄れ声が入るが何を言っているのだろう?)

70年代に入って、Ron Carterは電化した膨満な音を出すようになるが
Milesのグループからの反動というか、リバウンドがあったのではないか
それくらいの密度がある

Miles Davis 『Miles Smiles』

Label:CBS
Rec:October 24 & 25, 1965

Miles Davis (tp), Wayne Shorter (ts), Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)

①Orbits ②Circle ③Footprints ④Dolores ⑤Freedom Jazz Dance ⑥Ginger Bread Boy
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