2022年05月08日

福岡県から来院された股関節形成不全のラブラドールに対する股関節全置換術

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 昨日、福岡県の主治医の先生から紹介、来院された股関節形成不全(CHD)のラブラドール、生後10ヵ月齢のOちゃんが、股関節全置換術(THR)を施術して退院しました。
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 Oちゃんは左右両側性の股関節形成不全と右膝の膝蓋骨内方脱臼で、まず亜脱臼が重度の左側股関節に股関節全置換術を施術。遠方の方は、合併症が起きてもすぐに来院できないので、1ヵ月の入院して頂き問題ないことを確認して他院としています。Oちゃんは、経過良好で問題なく退院。
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 この写真は、股関節全置換術、術後18日目の写真で、小3のお子様が寂しくて泣いているとのことで、写真の郵送させて頂きました。
 福岡から車で、迎えに来られたお子さん達が、Oちゃんの力強く歩く姿に喜ばれてたので、私も嬉しく思いました。

院長 是枝



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2022年05月06日

北海道でゴールデンの股関節全置換術の出張手術

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 北海道動物運動器病院&顎口腔外科センター(北海道札幌市)、院長の泉澤先生は酪農学園大学の名誉教授で、大学を退職され開業されましたが設備の整った病院です、とくに手術室の広さは羨ましく思いました。
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 今回は、5月3日に生後1歳齢のゴールデン・レトリバーに股関節全置換術(THR)の出張手術。
 患者様は、どうぶつ園通りの動物病院(北海道旭川市)から、北海道動物運動器病院&顎口腔外科センターに紹介され、院長の石原先生も手術見学に来られました。
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 手術手技を解説しながら手術をしました。
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 無事に人工関節を装着、Cアームで設置状態に問題ないことを確認をして手術は終了。3日間、北海道動物運動器病院&顎口腔外科センターで入院し、どうぶつ園通りの動物病院にて抜糸まで入院です。
 6年前に行ったバーニーズの股関節全置換術の経過も良好と聞いて安心しました。今回の患者様も、走れるようになることを願っています。

院長 是枝

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2022年05月01日

2022年5月25日(水):皮膚科専門診察

 当院では、毎月1回、皮膚科顧問の関口麻衣子先生(アイデックスラボラトリーズ:動物皮膚病理診断医)による皮膚科専門診察とスタッフ向け院内セミナーを行っています。
 2022年5月の皮膚科専門診察は、5月25日(水曜日)です。

 皮膚疾患には、ありふれた疾患から生命を脅かす疾患が存在し、感染症やアレルギー性疾患、悪性腫瘍、自己免疫性疾患と多岐にわたり、若齢から高齢の動物と幅広く経験されます。

 より高度な皮膚科診察、治療を提供するため、当院では2015年4月より関口麻衣子先生を皮膚科顧問獣医師として迎えています。

 関口先生の皮膚科専門診察は、毎月1回、予約制となっており、詳しくは当院スタッフにお問い合わせください。

院長 是枝
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 写真は、2015年から2016年にかけて6回行われた大阪府獣医師会学術講習会で講演される関口先生。(VETS CHANNELより引用・改変)

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2022年04月13日

BioMedtrix社の犬、猫用人工股関節の耐久年数は5年なのか?

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 この写真は、現行型のBioMedtrix社(米国)のBFXセメントレス人工関節です。赤い矢印は大腿骨ステム、白い矢印はヘッド、写真中央は寛骨臼カップで、カップは黄色矢印のチタン製シェルと緑矢印のポリエチレンライナーで構成されています。
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 BioMedtrix社のBFXセメントレス人工股関節は、2003年に施設限定で使用され、2004年に発売が開始された犬、猫用の人工股関節で、世界的に最も多く採用されている機種です。発売以来、大腿骨ステムが2回、寛骨臼カップが2回、改良されています。これは人の人工関節も同じで、耐久性を向上させたり、骨との結合力を上げるために改良され進化しています。

 当院では、2000〜2004年までKYON社(スイス)、2005年〜現在までは、BioMedtrix社(米国)の人工股関節を使用しています。この機種変更については、海外の獣医師からも多く受ける質問ですが、幾つかの理由があり、それはいずれ紹介したいと思います。 
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 これはBioMedtrix社から分与してもらったレントゲンで米国での事例です。2015年に赤矢印で示す左股関節に手術が行われていますが、使用されているのは2004年に製造された寛骨臼カップです。BioMedtrix社の製品は製造から5年を超えた物は使用してはいけないとメーカーが注意をしています。
 本例は、2004年に製造された製品が2015年に使用されているので、使用期限が6年過ぎていることが解ります。
 その後、右側にも股関節全置換術が行われていますが、右側は現行型の寛骨臼カップが使用されています。適切に撮影されたレントゲン写真を我々がみれば、使用されている人工関節が現行型か旧型か?などの判断が可能です。
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 これは、術後経過ですが、使用期限が過ぎた人工関節を装着されたため、本来は赤い丸の位置にあるヘッドが、青い位置にズレています。これは寛骨臼カップが壊れたためです。
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 これは除去された壊れた寛骨臼カップです。一番最初の中央の写真と異なり、チタン製のシェルに穴が開いていることが解ります。製造からポリエチレンライナーがパッケージの中で酸化、劣化することが人の人工関節で知られており、それに対応するため様々な研究、改良が行われています。近年ポリエチレン以外の素材も人の一部の機種で用いられていますが、まだポリエチレンが主流で、人では古い製品を使用しないのは常識です。
 BioMedtrix社が確認したところ2022年3月の時点では、症例数の少ない施設で、期限切れの寛骨臼カップを使用した場合のみ、この様な寛骨臼カップの破綻が発生しています。
 また、人の場合、設置状況(執刀医の技術的な要因)によっても、壊れることが報告されており、犬でも同様だと考えられています。
 
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 2021年に開催された第101回獣医麻酔外科学会で、日本獣医生命科学大学から2005年4月〜2020年8月までの約15年間で27症例31関節の股関節全置換術が行われ、4関節(12.9%)で寛骨臼カップが壊れたとの発表がありました。この発表では、術後1〜3年で壊れており、東京都の動物病院でも、同様の事例が出ています。

 日本獣医生命科学大学の約15年で27症例31関節と言う症例数は、当院の1年間の執刀数以下です。1年に2回と考えると、執刀医が股関節全置換術に慣れているとは言えなでしょう。1年に2回だけ作る料理があるとすれば、作り慣れていないので良い味は出ないと思います。
 執刀数の12.9%が術後1〜3年で壊れているのも、異常だと思います。日本獣医生命科学大学が発表に提示されたレントゲンでは、現行型ではなく旧型の人工関節が使用されており、技術的な問題を含めて様々な問題を感じました。

 この様な寛骨臼カップの破綻例が東京で出ているため、東京では「人工関節の耐久年数は5年ぐらいで交換の手術が必要になる」と説明されることがあるそうで、3月は2頭のゴールデンが東京で説明を受けられた後、「そうなんでしょうか?」と問い合わせをして来られました。
 私が施術させて頂いた患者様の場合は、今月2〜5日のブログで示した様に、人工関節の耐久年数が終わる前に癌などの他の疾患で寿命を終えるのが一般的です。術後、1〜3年程度で寛骨臼シェルのチタンシェルに穴が開いた方は、大学の何倍もの手術をしていますが、現在のところ居られません。
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 東京で、「人工関節の耐久年数は5年ぐらい」と不適切な説明を聞いて、手術を諦めた方もいるのでは?と思います。
 人工関節をパスタと考えてみてください。同じパスタを使用しても茹で汁、塩の分量、茹で方、ソース、盛り付けなどでマズくなれば、旨くもなると思います。料理人次第というのは、股関節全置換術も同じで執刀医の経験、技術、知識により治療成績は異なります。

 東京の大学や動物病院で、股関節全置換術(THR)の説明を受けられて、合併症の話ばかりを聞かされ不安になられた方でも、当院か武蔵野国どうぶつ医療センターで話を聞いて頂ければ、疑問や不安を解消することができるかもしれません。

院長 是枝


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2022年04月05日

福島県のラブラドールの股関節形成不全に対する股関節全置換術、術後14年

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 上のレントゲンは、福島県から来院されたラブラドール、生後7ヵ月齢の写真で、左右両側性の股関節形成不全(CHD)で、重度の亜脱臼がみられます。
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 この子には、生後7ヵ月齢の2004年12月21日に、左側にKYON社(スイス)の人工関節を用いて股関節全置換術をしています。当院では、2000〜2004年まで使用していた人工股関節です。
 2009年に左右の前十字靭帯断裂が起こったため、2009年12月4日に左側、12月12日に右側にTPLOを行い、12月29日にBioMedtrix社の人工関節を用いて右側の股関節全置換術を行っています。
 東日本大震災で飼い主様家族と、この子は避難したりされていたので、定期検診を行うことができなくなっていましたが、14歳齢までは日常生活に支障なく歩くことができていました。
 その後、寝たきりとなり15歳で亡くなっています。寝たきりとなってからは、動物病院に行かれなかたっため、その理由や死因は特定できていません。

 現在も、海外や国内の獣医師から、「どちらの会社の人工関節が良いのか?」と意見を求められたり、「なぜKYON社からBioMedtrix社に使用する人工関節を変更したのか?」と問い合わせがあります。
 人では、数え切れない程の会社で人工関節が製造、販売されています。以前は、人でも「どの人工関節が良いのか?」と言う議論が学会で行われていましたが、現在は「どこの会社の製品を使用するかより、誰が手術するかが重要」と言われるように変化しています。
 私が使用する人工関節を変更した理由は幾つかありますが、この子のように適切に使用、設置されれば、どちらも機能を発揮します。人工関節が機能を発揮するか否かは執刀医にかかっていると言うのは動物も同じです。

院長 是枝



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