見つけた。
彼は逃げる様子もなく
「ありがとう」
というので
「感謝されることは何もしてない」
と答えた。
「わかってる」
って彼は言ったけど、 彼は何もわかってない。私の気持ちも…。 そして麗華の気持ちも…。
ここ最近は麗華と話すことが多い。
きっといろんなことを聞いてもらいたかったんだと思う。
彼女はずっと一人だったから…。
話が広がっていって服装のことになった。
どうやらずっとこの格好でいることが気に入らないらしい。
一緒に住むなら下着も毎日変えなきゃいけないといってきた。
…変える必要ないじゃん…
という説明も聞いてもらえなかった。そうゆう問題じゃないらしい。
そして今の季節いつもの格好じゃ見た目的に寒くて迷惑だそうで。
確かに街に出ると変な目で見られる。
そうゆうのもうざったいのでおとなしく買い物に行くことにした。
麗華が選んでくれるのはいいけど動きにくいものばかり…。
当然といえば当然だけど、未来から持ってきた装備もお預け。
でも、彼女が楽しそうにしていたのでそれはそれでよかったのかもしれない。
おかげで服屋の仕入れみたいな状態で帰ってきた。
彼女は知れば知るほどいい人だ。
だからこそ自分が惨めになる。
人ならここで変わることも出来るけど、変われない私にとっては辛い…。
過去に生きた人はきっと思う。
「便利な時代だね」
私は今、漫画喫茶というところにいる。
個室になっていてプライバシーも守られるので居心地がいい。
私のいた世界とこの世界はいろんなところで繋がってる。
ただ、人が出入りできるほどの大きさじゃないだけで。
ネットもその入り口の一つ。
ネットの世界は限りなく私たちの世界に近い。
今はその入り口を通して情報を仕入れたりしてる。
情報を手に入れる程度ならネットで充分。
だから実を言うとネットに繋がってる麗華の部屋でも全然問題ない。
でも、そんなことしたら私はきっと部屋から出ない。
いくらなんでもそこまでずうずうしくはない。
私の欲しい情報は特定の人物の居所。
こっちに来てからずっと調べてるけど尻尾を出す気配がない。
そろそろこの方法もあきらめたほうがいいかもしれないね…。