2017年01月08日

高校選手権 準決勝 前橋育英×佐野日大

前橋育英 1−0 佐野日大


前橋育英
−−−−−人見−−飯島−−−−−
−高沢−−大塚−−長澤−−岩下−
−渡邊−−角田−−小山−−松田−
−−−−−−−月田−−−−−−−


佐野日大
−−−−−−−野澤−−−−−−−
−−大熊−小林−−飯淵−長崎−−
−梅澤−今泉−福田−柴崎−小澤−
−−−−−−−中村−−−−−−−



予想通り前橋育英が前からプレッシャーをかけてガンガン攻めてくる立ち上がり。
5−4−1でしっかりスペースを埋めながら守ってカウンターチャンスをうかがう佐野日大。
予想通りの立ち上がりとなったが、ただ佐野日大の攻めが想像以上に抑え込まれた。

1トップにボールが入るところが攻撃のスイッチなわけだが、25分くらいまではほぼ封殺された。
前橋育英はセンターバックに3年生の2番小山を起用し5番松田を右サイドバックに回した。
2年生4バックで選手権を勝ち上がってきた前橋育英だけにこの準決勝で起用された3年生が燃えていないはずがない。
市船戦で見たときはややひ弱さも感じられたセンターだが角田、小山のコンビは高く、強く佐野日大の7番野澤に何もさせない。
野澤はボールが入って来ることがわかり切っていて、わかっていても何度かはチャンスを作り出してしまう類いの選手なのだがこの試合では本当にセンターバックに抑え込まれてしまった。

28分、ようやく1度いい形でボールを収めた時には大熊、長崎が絡み後方からもサポートが駆け上がる得意の攻めで決定機を作り出したが、その直後には逆に前橋育英が左サイドをロングフィードで抜け出しマイナスのボールに走りこんだ高沢がきれいなシュートを決めて先制点。
今大会無失点を誇る強烈プレスの前橋育英相手に先に失点するのは堅守速攻の佐野日大としては苦しい流れになった。

前橋の攻撃は強烈だった。
前線がドリブルで1枚剥がすことが出来るし、サイドをつり出しておいてスパッと空いたスペースへのスルーパスを通す。
5バックで完全に埋めたはずのDFラインにスペースが作り出されるさまは見事の一言。
特に10番飯島が小さい体を張ってボールをキープしたかと思えば囲い込みに来たDFの密集を見事に抜け出す。
超高校級という選手は居ないが全体がレベルが高く攻めのバリエーションも豊富でここを抑えれば止められるというポイントが見当たらない。

多くのチャンスを作り出せるとも思っていなかったであろう佐野日大だが、あまりに押し込まれてギリギリでの最少失点という前半だったのではないだろうか。


後半、佐野日大は野澤と10番長崎のポジションを入れ替えてきた。
ハイボールを当てる戦い方が有効にならない前半を見て空中戦から地上戦に方向を変えてきたか。
また、野澤の納まりの良さは2列目でも十分有効になる。
というか、前半、野澤がキープした場面は一つ落ちてパスを受けた場面だったし、キープからパスを散らして時間を作る上手さからこの選手は本職は中盤じゃねーのって思ってたから。
さらに2シャドウの1枚が前目に出て2トップ気味に前からプレッシャーをかけていく。
正直、守備面では付け入るスキを与えてしまっていたが、手堅い試合展開では育英の守備を崩せないと見ての事だろう。
派手な前橋育英の攻撃に勘違いしそうになるが前橋育英もまたバランスを崩さない手堅い試合運びを続けている。
手堅さのにらみ合いを打破してカオスをもたらそうと仕掛けてきたのは劣勢に立たされた守備が売りの佐野日大の方だった。

それでも得点が奪えないと見ると22分に大熊に代えて21番本石を投入し2シャドウをサイドハーフに下げるのではなく両ウイングバックを中盤に上げる3−4−3に移行し中盤の潰し合いを仕掛ける。
この潰し合い。
けっこう互角にやり合うのだが、そうすると際立つのが今大会無失点の前橋育英の守備の良さ。
ほとんど崩されたかと思う場面でも最後まで食らいつき決定機を許さない。
逆に前橋育英が鋭い攻めで決定機を作るのだが、佐野日大の守備陣も身体を張って守り切る。

なんとか膠着を打破したい佐野日大はセンターバックを1枚削り前線に13番原を投入。
10、21、13の3トップに7をトップ下に置いた4−2−1−3で勝負を仕掛けるのだが、佐野日大が攻めようとすればするほど前橋育英の守備の固さが際立つ。
最後まで崩れることなく逆襲を防ぎきって試合終了。

両毛対決として応援する側にも1段高いモチベーションをもたらした一戦は終わってみれば下馬評通り「上州の虎」が内容でも結果でも上回って見せた。

高校選手権 準決勝 青森山田×東海大仰星

青森山田 2−1 東海大仰星


青森山田
−−−−−−−鳴海−−−−−−−
−住川−−郷家−−高橋−−嵯峨−
−−−−−−−住永−−−−−−−
−三国−−小山内−橋本−−小山−
−−−−−−−廣末−−−−−−−


東海大仰星
−−−−−見野−−藤山−−−−−
−新保−−大崎−−原田−−松井−
−面矢−−玄−−−吉田−−大東−
−−−−−−−宮本−−−−−−−


同日に花園の決勝を戦う東海大仰星は準決勝でも応援団に十分な規模をかけられない。
心情的に決勝で大応援団の中でサッカーをさせてあげたいなというどうでもいい事を考えつつ、一方で青森山田対前橋育英の決勝が見たいというのも本音。


この日も青森山田は多くの事は起こせない。
それでも順調に得点を重ねていく盤石の展開。
強い。
それ以外に青森山田を表す言葉が見つからない。


序盤からボールを持つのはどちらかと言えば青森山田だが、外を回すだけで中にいい形で侵入できない。
そもそも黒田監督の本来のサッカーはプレッシングからのショートカウンター。
力関係から相手を押し込むサッカーをせざるを得ない今大会は内容的には思うように行っていないのではないだろうか。

守備から入る東海大仰星だから青森山田がある程度ボールを持つ事は予定されたことで、しかし簡単に中に入らせない堅守は流れとしては東海大仰星のものに見えた。

しかし、青森山田は1チャンスを逃さない。

味方のクリアボールを相手DFと味方が競ってこぼれたボールを拾った三国がそのままドリブルで駆け上がると、枚数の足りないDFは詰めてこれず、ペナルティエリアに侵入すると1フェイントから右足を振りぬき見事なシュートを逆サイドネットに突き刺して先制。
そこまで崩れるような気配がなかった仰星守備陣の一瞬のほころびを逃さなかった。

東海大仰星は運がないと言えばそれまでだし、青森山田の球際の勝利と言えばそういえない事もない。
ハイボールにDFラインが競って潰れたところの裏のスペースだったので、ちょっとカバーのしようがなかったのだが、そこで三国がフリーで出て行ける場所にボールをこぼした山田の力強さが先制点を呼んだ。
そして青森山田の良さはやはりカウンターでこそ出るという場面。

カウンター型の仰星にとって苦しい失点かと思われたが、すぐさま取り返す。

左サイドで得たスローイン。
この試合の見どころの一つが両チームのロングスロー合戦だったのだが、それを実らせたのは東海大仰星だった。
ロングスローからのこぼれ球を拾ってもう一度右からクロスを上げるとフリーでファーサイドに走りこんだ10番松井がダイレクトで合わせて同点ゴール。
青森山田は自陣ゴール前でごちゃつくとファーサイドががら空きになる傾向がある。
サイドバックに高さの面で頼る弊害かもしれない。

そして前半40分に訪れた勝ち越しゴールは今度は青森山田のロングスロー。
右サイドからゴール前に入れたボールのこぼれ球をシュートし、はじかれたところを10番高橋が決めた。
青森山田はロングスローに競りに行く枚数は減らしてセカンドボールに集中しているように見えた。
ロングスローの使い方を熟知している、そういうゴールだった。

青森山田リードで迎えた後半戦。
派手な勝ち上がりに勘違いしそうになるがこのチームは守備のチーム。
プレミアイースト18試合17失点の守備力でユース王者に勝ち上がっている。
(余談だが、このうち9失点がマリノスユースとの2試合、レイソルユースとのアウェー戦でのもので、その3試合を除けばプレミアの舞台で15試合で8点しか失っていない。)
東海大仰星はこのチーム相手に2点目を取られた時点でそうとうに苦しい試合になった。

後半も両チームともにチャンスは作るのだが、青森山田守備陣はシュートは打たれても流れの中での決定機は作らせない。
リードしている事もありリスク管理はしっかり出来ている。
ロングスローからの決定的なシュートはGK廣末の正面やゴールの上。
シュート時に余裕を与えない青森山田の守備の粘りが光った。

お世辞にも多くのチャンスを作ってはいない青森山田だが、それでもきっちり勝ち切る強さ。
内容的には東海大仰星も劣らないものを見せてはいたがそれでも戦前の予想を覆すことはできず、ユース王者が王者らしく決勝の舞台に勝ち上がった。

2017年01月07日

高校選手権 準々決勝 正智深谷×青森山田

ちゃんと書く時間がないので本当に感想だけ。


正智深谷 1−3 青森山田

この試合、青森山田は公式記録上のシュートが5本。
うち10番高橋が4本。
点が取れたというだけで攻撃に関してはほとんど何も出来なかった。

それほど正智深谷の守備が素晴らしかった。
広島ユースを相手にしてももっとやれていた高橋、郷家の真ん中にほぼ何もさせず、奪ってから前線のスピードを生かす戦い方は見事。
前の3人は速くて上手かった。

山田の両サイドは何回も振り切られたのだが、それでも結果は3−1で青森山田。
前橋育英のプレス、東海大仰星や佐野日大の守備力、東福岡のワイドへの展開力などいろいろな特色があるが、昨年と今年の青森山田から感じるのは「強さ」。
内容云々関係なしに最後は勝ち切る、一番サッカーに必要で、しかしどうやって身に着けるのかがわからない物を青森山田は持っている。
そうとしか言いようがない勝ちっぷりだった。

2017年01月06日

高校選手権 準々決勝 東福岡×東海大仰星

東福岡 0−1 東海大仰星


東福岡
−−−−−−−藤井−−−−−−−
−青木−−高江−−藤川−−福田−
−−−−−−−鍬先−−−−−−−
−小田−−児玉−−阿部−−砂原−
−−−−−−−前島−−−−−−−


東海大仰星
−−−−−新保−−藤山−−−−−
−見野−−大崎−−原田−−松井−
−面矢−−玄−−−吉田−−大東−
−−−−−−−宮本−−−−−−−


なんと両校は同日開催の花園でそれぞれ決勝進出を決め、7日にラグビー日本一を争うという因縁。
ちなみに東福岡は今年もサッカー、ラグビー、バレーで全国を戦っておりバレーがこの日敗れている。


きれいに3ラインの4−4−2でコンパクトなブロックを作り相手の攻めを受け止めようとする仰星。
おなじみの4−1−4−1でワイドに揺さぶる東福岡。

前後半ともに風上のチームが相手を押し込んで何もさせなかったという試合。

ただ、風、関係あったか?
劣勢を盛り返すのに風下が苦しかったというのはあるが、前半の東福岡は別に縦の長いボールを使えていたわけではない。

仰星はセオリー通り狭く守りたいのだが、東福岡が左右に大きくボールを動かして広げに行く。
サイドからクロス一辺倒というのではなく、仰星が横に広がるとすかさず真ん中にパスを通してくる。
見ていて「接近、連続、展開」という言葉を思い出した。

仰星はやや受けに回ってしまったか。
早いカバーでこらえてはいるものの「奪ってから早く」を狙うにはなかなか奪いに行けていない。
攻められている割にはシュートを打たせていないのは守備が機能してる証拠ではあるものの、東福岡の攻めが最後のところでお綺麗過ぎて迫力不足だった感も否めない。

結果的に前半を0で抑え切ったのは運も良かったかなというくらいに振り回されていた。
そして、東福岡にとってはこの前半で1点も取れなかったのが響いた。


後半、風上に立った仰星は受けに回っていた前半から一転、前線から追い込みに行って東福岡にボールを運ばせない。
前半は中に入らせなければ外側を回されている分には構わないというプレー姿勢だったが、それでも2〜3回は決定機を作られてしまった。
後半は回される前からプレスに行き、前半が嘘のように東福岡がプレーすることが出来なくなった。

プレスがはまれば仰星の速い攻めも生きてくる。
前半はほぼ何も出来なかった攻撃が何回かのチャンスを作り出した。

ただ、試合全体的には両チームの守備力が勝った試合。
実にチャンスの数が少ない試合で、こういった試合ではセットプレーが明暗を分けるというのもセオリー。

ロングスローとCKで東福岡にプレッシャーを与え続けた仰星が後半25分にCKからゴール前の混戦を押し込んで先制。
これが決勝点となり、焦る東福岡にほとんど何もさせないまま試合を終わらせた。


あまり触れていないが、東福岡の守備は仰星以上に相手にほとんどチャンスを作らせていない。
集中力の高い好ゲームではあったのだが、最後の崩す局面に物足りなさを感じる試合でもあったかなぁという感想。


2017年01月04日

高校選手権 3回戦 一条×佐野日大

選手権

一条 2(3PK4)2 佐野日大


一条
−−−−−梅本−−花田−−−−−
−岩本−−小池−−川−−加茂−
−井上−−稲葉−−小里−−向井−
−−−−−−−本山−−−−−−−


佐野日大
−−−−−−−野澤−−−−−−−
−−大熊−飯淵−−小林−長崎−−
−梅澤−今泉−福田−柴崎−小澤−
−−−−−−−中村−−−−−−−



佐野日大は市船同様の理由で2つ載せておきます。

−−−−−−−野澤−−−−−−−
−−−−−大熊−−長崎−−−−−
−梅澤−−飯淵−−小林−−小澤−
−−−−今泉−福田−柴崎−−−−
−−−−−−−中村−−−−−−−



数人が距離を近づけてショートパスで崩すという最近の日本人らしいサッカーを狙う一条。
後方で回しながら縦パスを入れる機会をうかがう。

対して5−4の2ラインでしっかりブロックを作り、出過ぎず引き過ぎず相手がプレッシングエリアに入ってくるのを狙う佐野日大。
一条が狙うのは攻撃のスイッチになる縦パスで、佐野日大が狙っているのも守備のスイッチになる相手の縦パス。
狙いがかみ合ってしまい動くに動けないにらみ合いのような。
選手権ではなかなか見ないスローペースでゲームは始まった。


支配率で言えば圧倒的に一条ではないだろうか。
ただ、後ろで回している間は持たされているに過ぎない。
なんとか縦に入れようとするが網に引っ掛かり、縦に入りそこから早い短いパスをと思うと網に引っ掛かり、ドリブルで打開しようとしては網に引っ掛かりととにかく引っ掛かりまくった。

ボールを奪った佐野日大はファーストチョイスはかなり淡白にカウンターを狙う。
とりあえず1トップに当てる。
当てられないならスペースに入れて走らせる。
その際に布陣が2つ目の物に変化する。
両サイドハーフが2シャドウになり1トップの野澤をサポートし3人で一気に攻め切ろうとする。
速攻時に両サイドバックが中盤のサイドに上がってくることでボールロストしても中盤にプレスがかかるようにする事も忘れない。

まあ、それほど圧倒的な個がいるわけでもないのでなかなか成功するものではないのだが、おそらくゲームで2〜3回うまく点に繋がれば試合には勝てる。
技術がない前線ではないので相手の守備が甘ければ一気に攻め切る力はある。
というか、ボールが収まってしまえば一つ一つのプレーは正確でカウンターだけのチームじゃな無い感は出ている。

バランス意識が徹底していると感じるのが速攻に行けなかった時。
速攻の場面でもむやみに出て行かないのだが、遅行で押し上げる時には1枚駆け上がったからあわてて使うのではなく前も後ろもバランスが取れてちゃんと攻められる、かつカウンターへの対処も出来ている形に整ってから攻めていく。
プレスをかけて形が崩れたまま全体が駆け上がって行くと相手にとっても対応は難しいのだが自分たちにとってもボールを失った時の対処が出来ないリスクを孕む。
そういったカオスを武器にする戦い方もあるのだが佐野日大はリスクを冒さない戦い方が徹底していた。


ボールを持ちながら思い通りにいかない一条はミスからDFラインでボールを奪われ素晴らしいミドルを叩き込まれ失点。
ただ、一条のパスワークは抑え込まれているものの、時折大雑把に裏へ入れたボールなどに佐野日大のDFも脆さを見せていた事からまあわからないかなと。
同点ゴールは左サイドに持ち出しクロスにヘッドで合わせたもの。
細かいところへの対処は良い佐野日大だが大きく早く力強い展開を防ぎきる強さみたいなものはそこまででもなさそう。

佐野日大もサイドからのクロスで勝ち越したものの、後半39分には一条がCKのチャンスにGKまで前に上げて総攻撃を仕掛けるとゴール前の混戦の中5〜6本のシュートを打ちまくって押し込んだ。


内容的にほぼほぼ思い通りに試合を進めた佐野日大の戦術遂行能力が光ったのだが、一条もうまく行かなくても得意のパスワークをやり続ける事で時折織り交ぜる長いボールが生きている面もあり、何より終盤の猛攻は気持ちが見える良い戦い振りだった。

同点にされて初めて攻め残って勝ち越しの意欲を見せた佐野日大の10番長崎もそうだがやっぱり気持ちがこもっているプレーというのは心に響くし、こういう試合後はどちらも勝たせてあげたかったなぁという無意味な感想をいつも覚えてしまう。