労働問題解決に役立つ情報ブログ

高知県(幡多郡)四万十市中村で労働問題解決に尽力する司法書士事務所です。 労働問題に関して様々なトラブル解決に役立つ法令や判例の情報についてQ&A形式でわかりやすく説明します。 当事務所のホームページで公開しているQ&Aをテーマ別に紹介する予定です。 紹介していくQ&Aの予定 時間外労働(残業代等)や給与・退職金の未払いの問題 派遣社員の労働基本権 休業命令 労働3権 労働契約 解雇 労働組合 就業規則 賃金の過払い 会社倒産と未払い賃金 平均賃金 有給休暇

高知県(幡多郡)四万十市中村で労働問題解決に尽力する司法書士事務所です。労働問題に関して様々なトラブル解決に役立つ法令や判例の情報についてQ&A形式でわかりやすく説明します。

みなさん こんにちは

台風の被害に遭っている地域もあるようなのですが、朝からさわやか秋の気配に少しびっくりです。

まだまだこの時期は残暑が厳しいはずですから・・・・

 

今回についても、過去相談が多かった件で、残業代未払いの問題です。

 

問答無用で「残業代」を払わない会社や(うちの会社は残業代はないといいきる法律不要・無視の立場、ある意味わかりやすく対応は単純に決まります・・・交渉テーブルにもついてくれないケースが多く(「こっちは忙しいんだ帰った帰った」と言う対応)法的手続きの対応になるケースが多いです)

 

いろんな理由をつけて「残業代とはならない」と主張する会社

 

多くはこの2つに分類されるともいえます。

 

後者の場合、法律的に微妙な(グレーの範囲や脱法的な場合)場合もあれば、法律的には明白に違法なケースがあります。

 

実は、過去の相談では、後者の種類のものが多いのです。

今回は、そのなかの典型的なものからひとつ選んでご紹介します。

 

 

Q 「君は管理職だから残業代はでない。法律で決まっているんだ」と
    言われました。本当ですか?


          

           労働基準法41条2項で管理監督の地位にある者は時間外手当ての適用外
     とされています。

     労働基準法41条2項で定められている内容
     労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者
     については適用しない。

     事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の
     事務を取り扱う者
 

     しかし、管理職の地位にあるかどうかは名目だけでなく実質性が伴わないと
     認められません。
     労働基準法では、管理監督者には(時間外手当て等の適用を)適用しない
     と定めてあるだけですが、労働基準局長通達や判例等で実質的な管理者で
     ない「名ばかり管理者」に対しては時間外手当てを認める趣旨のものが数多
     く出ています。
     (比較的最近の判例 日本マクドナルド事件 東京地裁平成20年1月28日)

     
管理者かどうかの判定

     
管理者かどうかは下記の事項を考慮して決定されます。

     1、職務内容
       経営者と一体的な立場で仕事をしているか

     2、責任と権限
       経営者から一定の指揮監督命令にかかる一定の権限を束ねられているか
       裁量で権限を行使できる範囲が狭くないか

     3、勤務態様
       自身の出退勤時間について自らの裁量によって決めることができるか

     4、待遇
       管理監督者としての待遇面優遇されているか


     これらの観点から実質的な管理監督者か「名ばかり管理(監督)者」か
     どうかを判断しましょう

 

みなさん こんにちは

現在、日本では非正規社員の割合が労働人口の4割を超え、派遣社員は非正規社員に含まれ、全労働人口の2,7%です。

当事務所でも、労働問題に関して派遣社員の方からの相談が多くありました。

私自身、司法書士を開業するまで、サラリーマンをしていましたが、司法書士受験の前後を通じて派遣社員をやっていたこともあります。

非正規のなかでも特に派遣社員の場合は、短期で契約期間が定められ(3ヶ月~)不安定な

傾向が強いイメージがあります。

今回は、派遣社員の権利について基本的な事項をQ&Aで説明します。

 

Q1 派遣社員なのですが、派遣先会社とのトラブルはどうなるのですか?               
        

     A1
      基本的に派遣社員と派遣先の会社とは労働契約を締結していません。
      しかし、指揮命令関係を伴う労使関係は存在しますからこの限りにおいて
      派遣先会社を勤務している会社として請求や主張ができます。

      労働者派遣法第44条が派遣社員と派遣先会社との関係において労働基
      準法の適用を認めています。

      労働者派遣法第44条
      ~中略~派遣中の労働者が派遣されている事業もまた派遣中の労働者を
      使用する事業とみなして、労働基準法第3条(賃金・労働時間に対して差別的
      取り扱いの禁止)、第5条(強制労働の禁止)及び69条の規定(徒弟関係)
      (これらの規定に係わる罰則の規程も含む)を適用する。  

 

Q2 契約社員や派遣社員には労働基準法の適用はあるのですか?

 

    A2         
    
    労働基準法第9条で「この法律で「労働者」とは職業の種類を問わず、
      事業又は事務所(以下「事業」という)に使用される者で、賃金を支払
      われる者をいう」と定められていますので、派遣社員や契約社員にも
      適用されます。

      また、労働契約法第2条で「この法律において「労働者」とは使用者に
      使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう」とされていますので、
      労働契約法も適用されます。

      また、派遣社員と派遣先の関係は指揮命令関係を伴う労使関係は存
      在しますからこの限りにおいて派遣先会社を勤務している会社として
      請求や主張ができます。
      {
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に
    関する法律(労働者派遣法)第44条}

          みなさん こんにちは

     今回は、当事務所でも相談が多かった「残業代」についてのQ&Aです。

     当事務所の残業代に関する相談事例のなかから、
    「労働契約時には残業代支給と説明されていたところ、
     給与明細に「残業代」がありませんでした。会社に聞くと

    「営業手当て」に含まれているので支給済みだ。と言われました。」

     というご相談についてご紹介したいと思います。

 

     会社が支給する賃金(給料)の基本給や手当て等に予め一定の時間外手当
     てを含ませることについては、判例等で認められています。 

     しかし、実際に働いた時間外手当ての金額が固定の手当ての金額を上回れば
    (時間外手当てを)請求できます。

    例えば、毎月固定の手当てが3万円だった場合に、(実際に時間外に働いた)時
    間外手当ての金額が3万5000円だった場合は5000円の残業手当分を請求で
    きます。


     会社があらかじめ残業代を手当てとして定めている場合の時間外労働

    会社がある一定の時間外労働に対して、予め「月○時間までの時間外手当ては
    残業代を支給するが、それ以上は支給しない」
    または「月○時間未満の時間外労働は時間外手当て(残業代)を支給しない」
    若しくは「時間外労働をしてもしなくても、月○円の一定額の残業代を支給するが
    それ以外の残業代は支給しない」

    という会社のルールが定められている場合、いずれにしろ実際に行った時間外
    労働の時間外手当て(残業代)を請求できます。

    例えば「月10時間までの残業(時間外労働)は残業代(時間外手当て)を支給す
    る」とする上限設定で11時間時間外労働をして10時間分の時間外手当てを支
    給された場合、支給されなかった1時間分の時間外手当て(残業代)を請求でき
    ます。

    また、「月10時間未満の時間外労働は時間外手当て(残業代)を支給しない」と
    する下限設定の下で3時間の時間外労働(残業)をした場合、3時間分の時間外
    手当て(残業代)を請求できます。

    そして月5万円の一定額の手当てを「残業してもしなくても」支給するとのルール
    がある会社の場合、残業しなかった場合は月5万円の支給を受けます。
    月12万円分の時間外労働(残業)をした場合には5万円しか(残業代として)支
    給されませんから、支給されなかった7万円分の請求をすることができます。



    ※1残業代が基本給や他の手当てに含まれている場合に最高裁昭和63年7月
      14日判決では、「割増賃金を基本給に含める旨の合意がされたとしても,
      その
基本給のうち割増賃金に当たる部分が明確に区別されて合意がされ,
      かつ労
基法所定の計算方法による額がその額を上回るときはその差額を当該
      賃金の
支払期に支払うことが合意されている場合にのみ,その予定割増賃金
      分を当
該月の割増賃金の一部又は全部とすることができるものと解すべき」
      と判示し
ていて、残業代を基本給等に含まれることを認めながらも、基本給
      と時間外手
当てを明確に区分して具体的金額を把握できるようにしなければ
      ならないとし
ています。

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