みなさん こんにちは
今回は、当事務所でも相談が多かった「残業代」についてのQ&Aです。
当事務所の残業代に関する相談事例のなかから、
「労働契約時には残業代支給と説明されていたところ、
給与明細に「残業代」がありませんでした。会社に聞くと
「営業手当て」に含まれているので支給済みだ。と言われました。」
というご相談についてご紹介したいと思います。
会社が支給する賃金(給料)の基本給や手当て等に予め一定の時間外手当
てを含ませることについては、判例等で認められています。 ※1
しかし、実際に働いた時間外手当ての金額が固定の手当ての金額を上回れば
(時間外手当てを)請求できます。
例えば、毎月固定の手当てが3万円だった場合に、(実際に時間外に働いた)時
間外手当ての金額が3万5000円だった場合は5000円の残業手当分を請求で
きます。
会社があらかじめ残業代を手当てとして定めている場合の時間外労働
会社がある一定の時間外労働に対して、予め「月○時間までの時間外手当ては
残業代を支給するが、それ以上は支給しない」
または「月○時間未満の時間外労働は時間外手当て(残業代)を支給しない」
若しくは「時間外労働をしてもしなくても、月○円の一定額の残業代を支給するが
それ以外の残業代は支給しない」
という会社のルールが定められている場合、いずれにしろ実際に行った時間外
労働の時間外手当て(残業代)を請求できます。
例えば「月10時間までの残業(時間外労働)は残業代(時間外手当て)を支給す
る」とする上限設定で11時間時間外労働をして10時間分の時間外手当てを支
給された場合、支給されなかった1時間分の時間外手当て(残業代)を請求でき
ます。
また、「月10時間未満の時間外労働は時間外手当て(残業代)を支給しない」と
する下限設定の下で3時間の時間外労働(残業)をした場合、3時間分の時間外
手当て(残業代)を請求できます。
そして月5万円の一定額の手当てを「残業してもしなくても」支給するとのルール
がある会社の場合、残業しなかった場合は月5万円の支給を受けます。
月12万円分の時間外労働(残業)をした場合には5万円しか(残業代として)支
給されませんから、支給されなかった7万円分の請求をすることができます。
※1残業代が基本給や他の手当てに含まれている場合に最高裁昭和63年7月
14日判決では、「割増賃金を基本給に含める旨の合意がされたとしても,
その基本給のうち割増賃金に当たる部分が明確に区別されて合意がされ,
かつ労基法所定の計算方法による額がその額を上回るときはその差額を当該
賃金の支払期に支払うことが合意されている場合にのみ,その予定割増賃金
分を当該月の割増賃金の一部又は全部とすることができるものと解すべき」
と判示していて、残業代を基本給等に含まれることを認めながらも、基本給
と時間外手当てを明確に区分して具体的金額を把握できるようにしなければ
ならないとしています。
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