いまビジネス書でベストセラーになっている「キリンビール高知支店の奇跡」(講談社)。
この本は、いまから20年くらい前、アサヒスーパードライに押されていたキリンビールのなかで、全国でも最低ランクだったキリンビール高知支店が業績を急上昇させるお話。
当時、高知支店長だった著者の田村さんは、この高知支店だけでなく四国全体や東海地方でも業績を上げて、ビールのシェアをキリンビールがアサヒから奪回する立役者となり、のちに副社長まで上り詰める。
まずはじめに負け犬意識におおわれていた高知支店のスタッフ一人一人の意識改革をし、彼らを仕事の喜びに目覚めさせる。
読む「プロジエクトX」という感じ。
「結果のコミュニケーション」「現場主義」などを徹底し、「バカでもわかる単純明解」な方針を打ち出し、部下たちに徹底的な行動を促す。
成功体験を重ねさせるなかで支店メンバーは失われていた誇りを取り戻し、高いモチベーションで働くようになる。
組織が活性化して業績を上げていく、絵にかいたような実話。
組織力アップのためのエッセンスがぎゅっと詰まっていて、業績回復のヒントが満載といえるのではないでしょうか。
気になるのは、118ページあたりから、徳島県のコンビニ全体に営業をかけるあたり。
コンビニでビールの陳列棚のフェイスを確保するためにすべてのコンビニを訪問するキリンビールの営業マンたち。
しかし徳島県のコンビニは、当時、人手不足でオーナーは夜間にシフトに入っている人だらけ。
日中コンビニに営業をかけてもオーナーがいないため、徳島支店の営業マンは、夜の零時から午前四時の深夜にコンビニを訪問し、オーナーさんと話してキリンビールを置いて貰うよう頼みこんだのだとか。
結果は吉と出て、徳島県のコンビニのキリンビール売上は前年比125%まで伸びたとか。
「ウ〜ム、20年前の徳島のコンビニオーナーはほとんど深夜シフトに入っていたわけか 。
いまじゃあもっと人手不足だから、夜間シフトを埋めるオーナーさんは、徳島県だけじゃなくて全国的に増加しているのは間違いない(;_;)」
キリンビールの成功譚ではなく、ついついコンビニフランチャイズ地獄の一面の真実として読んでしまった次第です。
藤原