2007年01月20日

「天保異聞 妖奇士」説十五

謎の遊女殺しの続きです。
小笠原放三郎が、吉原にやってきました。ちょっと赤面しながらのれんをくぐり、おうまこと、アトルが使えているうれしの花魁の元を訪ねます。そこにアトルと宰蔵が匿われていました。小笠原は、「アトル、急いでここを出るんだ」と指示しますが、うれしの花魁に「おうまでありんす!」と叱咤されてしまいます。
そうこうしているうちに、岡っ引き達が立て札を立てています。本庄らが企てたのか、「遊女殺しは異国の女の仕業。その異国では選ばれた者の心の臓を喰らうそうだ」とか「流行病を保っている」だとか、好き放題言っています。アトルに嫌疑をかけ、蛮社改所を解体してしまおうという意図があるようです。

立て看板の前に、竜導、アビ、元閥がいます。そこに河鍋狂斎が現れ、「おうまを救い出せたら、俺がもらうよ!」と宣言します。うれしの花魁の部屋に、河鍋がやってきて、障子にあれこれ立てかけてバリケードを作ります。そして、「おうま、この世の極楽も地獄も、教えてあげる」と言います。そこに役人の集団と、竜導達がやってきます。役人はアトルを捕らえようとしますが、竜導は河鍋が描いた遊女の絵を示しながら、「この蝶の彫り物の謎を解く方が先だろう!」ととどめようとします。その隙に、河鍋はアトルを抱えて、二階から飛び降りて逃れます。さすがに、飛び降りたとき、衝撃を受けたようで、河鍋の走り方が辛そうでしたね。

「なぜ狂斎に任せた!」と責める宰蔵に、「あいつは、アトルにこの世の極楽も地獄も教えてあげると言った。アトルは異界にひかれているから、あいつに任せた」というような事を言います。何故かふて腐れ、アビに突っ込まれて、宰蔵は困ってしまいました。同じくらいの年頃の、河鍋やアトルのやりとりにどぎまぎしているのでしょうか。宰蔵さん、シャイだから。

役人の一人、先週登場した、火盗改めの市野が、まじまじと河鍋が描いた遊女の絵を見つめていました。

一人のかむろがよろめいて路地で倒れます。役人が取り囲み、捕らえると、それはアトルではなく、女装した河鍋でした。アトルは、吉原を囲む壕の一角で、雪輪を呼んでいますが、雪輪は現れません。代わりに気の強い遊女、清花が現れました。「この壕は渡れないよ」と、自分の住まい兼商いの部屋にアトルを匿います。破れた壁の向こうには、遊女の遺体。清花が言うには、遊女の遺体は近くの寺に預けて供養してもらう事になっているようです。そして、寺に運び込まれる遊女の平均年齢は二十二、三。アトルは「でも、二十八になれば、年季が明けて吉原を出られるって・・・」と口を挟みますが、「年季が明けても、行くところがない遊女は、こういう町外れで商いを続けるのさ。ここは羅生門河岸っていうんだよ。年取った遊女が恐い顔で客を引き留める」と清花。「わっちは、てめえの才覚だけで、花魁に上り詰めるのさ。男に寄っかかって生きるのは嫌だね」と強い思いを吐き出します。
蝶の折り紙が、死んだ遊女の部屋に落ちています。「蝶は嫌いだね」と清花は言い捨てます。

奇士の一行は、遊女の遺体を改めています。氷を置き、その後ろから団扇を組み合わせて作った、手動の扇風機で扇いでいます。扇風機を回しているのは、竜導とアビと元閥。「遺体が、まるで泥のようになっている」と放三郎。「そりゃ、腐ればそうなるさ」「いや、骨も肉もみんな同じになっている」と放三郎。そこに宰蔵がやってきますが、悪臭に顔をしかめます。「言われたものを持ってきたが」と宰蔵が差し出した物は、蝶のさなぎでした。さなぎを放三郎が切ると、中はどろどろの液体。「さなぎになると、このように一度形が無くなる」と放三郎。アビは不気味がります。「妖夷は、遊女の身体を乗っ取り、さなぎにしているのか」と竜導。「恐らく」と放三郎。建物を出るとき、放三郎は竜導に「あの馬には近づくな」と言いますが、竜導は「俺が妖夷になるってか?」と言い返します。「その時は、俺が斬らねばならない」と放三郎。竜導は何も言わずに出て行きます。
「女は吉原に三千人だぞ?」「河鍋が言っていたように、急に目立ってきた者に絞れば良いだろう」そうはいっても、奇士、今回は大変です。

アトルを匿った清花の元を、あの役人、市野が訪れます。清花を身請けしようと言うのです。清花は「わっちは一人でやっていくって決めたのに、市野様に言われると、温かい気持ちになる」と切なげに呟きます。「初めての女だと言うだけなのに」と清花。役人の手入れがあり、清花の部屋にもその騒ぎが迫ってきます。市野は、清花の首の付け根に蝶の彫り物があるのに気が付いてしまいます。遊女殺しの疑いが清花にかけられてしまいます。と、その時、隣の部屋で物音が。市野は壁の破れ目からアトルを引きずり出し、斬ろうとしますが、そこに清花が飛び込みます。清花は背中を斬られてしまいます。あわてて清花を抱き留める市野。しかし時既に遅く、清花の顔は昆虫のそれになってしまいました。そして、背中の切り口から羽が生え、部屋から飛び去ります。アトルは役人に追われますが、光る謎の回転物体、雪輪が現れます。馬型になった雪輪に跨って、蝶になった清花を追います。そこに縛られたままの河鍋が現れ、「すごい馬だね」とアトルを引き留めようとしますが、アトルは雪輪に跨ってさらに清花を追います。

吉原の人々がみんな見守る中、蝶の形の妖夷は何処かへ行こうとしますが、迷っているようです。アトルは、「どこかに行きたいのだけれど、どこに行きたいのかわからない・・・」と、自分の心に重ねます。奇士の一行の前に、市野が現れますが、様子がおかしい。蝶型妖夷になってしまっていました。竜導は、放三郎から刀を受け取り、市野に斬りかかりました。そして、市野から漢神を取り出し、斬りました。その直後、蝶は吉原の外に向かって飛び始めます。「外に出たかったんだね」とアトル。しかし、蝶型妖夷は、夕日の下、たくさんの人々が見守る中、バラバラになって、儚く消えてしまいました。ここが本当に美しかった。哀しかった。夕日の逆光の下で、羽根からどんどんと崩れてゆき、最後にちりぢりになってしまうのでした。

「竜導、市野の漢神は・・・?」と宰蔵が問います。「人が、後ろを振り返って、そこに心が・・・」と竜導。竜導が立ち去った後で、放三郎は、帳面に、「愛」の文字を書いて見せました。

死んだ市野が遊女殺しの全ての罪を背負うことになりました。そして、妖夷のことと、市野の死の真相は伏せることになりました。
うれしの花魁が吉原の街を歩いています。かむろのおうまが傍に付き添っています。そこに河鍋が現れ、「まだそんなことをやっているんだ」と問います。「ここが好きになったか?それとも赤い風景に焦がれているのか」と河鍋。「想い続けることは、そんなに罪か?」とアトル。

遊女は、やっぱり悲しすぎます。清花の、自立と市野への思いの間で揺れていた心が、哀しいです。そして清花を想い続けた市野も。
雲七&雪輪、アトルに、河鍋狂斎という、異界がらみのレギュラーが加わりました。来週は、「機の民」。どうやらアビがらみのお話みたいです。

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