2007年09月05日
幻のハンバーグ

もう10年程前になるだろうか、
GWの休みを利用しての浅草観光の途中、
ガイドブックに載っていた「レストラン大宮」入ったことがある。
(当時まだ私は地方都市に住んでいて、
年に一度くらいのペースで東京に遊びに来ては気になるお店を訪ねていた。)
何しろその当時から人気店。
店の前には10名以上の行列が出来ていた。
私も仕方なく最後尾に加わる。
すると、見知らぬ3人家族(お母さんと娘夫婦)が声を掛けて来た。
「一人で来てるんですか?」
「はい。」
「あなたを入れて4名のグループになると、すぐに4名のテーブル席に
案内してくれるそうなの。ご一緒してもらえませんか?」
とても感じの良い方たちだったし、
お言葉に甘えて同席させていただくことにする。
2階席はダークブラウンと白を基調とした内装に
ちょっとクラシックな感じの木製家具が置かれていて落ち着いた雰囲気。
真っ白なテーブルクロスの上に整然と置かれたフォークやナイフが
大きな窓から差し込む柔らかな外光に照らされキラキラと光っている。
それは私を「ちょっといいレストランに来た」という気分にさせてくれた。
そして運ばれてきたのは熱々のハンバーグステーキ。
口に入れた瞬間、ホロホロととろける様に柔らかな肉の食感と
ジューシーな旨味が広がる。
「美味しいー!」
同席させていただいた家族連れの方たちと、目を見合わせてしまった。
それまで食べていたハンバーグは何だったんだろう、と思えてしまうほどの感動だった。
それ以来、ずっとずっと、ここのハンバーグは「忘れられない味」となっていた。
新丸の内ビル5階への進出を知り訪ねてみたその店は、浅草の本店とは大分趣きが異なり、
落書き風のフランス語を配した赤いガラス扉がパリのビストロを思わせる小粋でお洒落な雰囲気。
席に着くと、オーダーを取りに来たのは金髪のイケメン外国人青年でさらにびっくり。
もちろん注文したのはあの時と同じ「ハンバーグステーキ」。
しかし、このハンバーグも食べてみたら、前と全然違う感じだった。
あの、口の中でとろけるような食感はまったく無くて、
がっつり「肉」を食べている気分だった。
(いえ、この時ももちろん有名店だけあってとても美味しかったのですよ。)
「ここは本店じゃないから、作り方を変えているのかも。」と思い、
店を出るときにレジの人に確認したところ、
「本店とまったく同じ作り方です。」ときっぱり答えられてしまった。
あのハンバーグは、あの感動は、何だったんだろう…。
ちょっぴり切ない気持ちで、お店を後にしたのでした。


