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成年後見人が付いている認知症の方や障がいをお持ちの方(以下、ご本人という)が、もし、自分が所有するものを相場より安く売ってしまった場合のお話です。
1.自分の時計を売ってしまった場合
ある日、ご本人は、手持ちのお金がないことに不安を感じ、自身が所有する時計を、知り合いのAさんに安く売ってしまいました。その後、Aさんは、質屋へ売却してお金に換えてしまいました。
ご本人の成年後見人は、後日そのことを知り、すぐにAさんに連絡して、その売買契約を取り消しました。
さて、この「取消し」は、質屋に対しても有効でしょうか。
成年後見人が付いている場合に、した「取消し」は、この質屋に対しても原則有効で、時計は返してもらえることになります。ただし、質屋が、この時計は成年後見人が付いてる人から買ったものだったと過失なく知らなかった場合は質屋に返還する義務はありません。
後見人は、Aさんに金銭にて、差額分を不当利得返還請求することができます。
2.自分の田舎の土地を売ってしまった場合
同様にご本人が、田舎の土地を、知り合いのAさんに安く売ってしまい、その後、Aさんが、不動産業者へ売却してお金に換えてしまった場合はどうでしょうか。
土地の場合には、ご本人の成年後見人が、この売買契約を取り消せば、絶対的に取り消すことができ、不動産業者はその所有権を取得することができません。
ご本人に、土地の権利が戻ってきます。
このような場合で、もし成年後見人が就いていない場合は、契約を取り消す為に、証拠資料等をつけてこちらから、当時、意思無能力であったことを立証しなければなりません。
※文言の表現は分かりやすくするために平易なものを用いており、必ずしも法令に則した表現でない部分が含まれます。

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