フードライターの中島久枝さんが甘味の世界を伝えるコーナー
読売新聞 (首都圏判) 「甘味主義」で、当店の冨来小判が紹介されました。
店の歴史、冨来小判へのおもいを記載して下さいました。
詳しい内容は下記をクリックしてご覧下さい。
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冨来(ふく)小判 近江の素朴まんじゅう
滋賀県東近江市の和菓子店「冨来郁」の冨来小判は、小豆の風味たっぷりの薄皮まんじゅうだ。大きく、軟らかな北海道産大納言小豆をふっくらと炊き上げて粒あんにする。それを、近江米と丹波の山芋で作った風味のいい皮で包んで蒸し上げ、香ばしい焼き目をつける。薄い皮から中のあんが透けているのもあん好きにはたまらない。
素朴で何のてらいもない、だからこそ、素材の良さやあんの風味、皮とあんのバランスが決め手になる。実はこういうシンプルなおまんじゅうが一番難しいのかもしれない。
冨来郁は1872年(明治5年)に近江商人発祥の地の一つとして知られる五個荘(ごかしょう)で創業。屋号は、3代目になってから「馥郁(ふくいく)とした香りのお菓子を作りたい」との願いを込め、つけ替えられたものだ。今は4代目の南万寿夫さんが当主を務める。
冨来小判は2002年、南さんが考えたものだ。近江商人ゆかりの地にちなんで小判形に整え、近江米を使った。大納言小豆の粒を残すように大切に炊き上げ、風味を生かすために甘みを少し控えた。くどくなく、しかも物足りなくならないよう、何度も試作を重ねたそうだ。「地元の方に普段のおやつ菓子として楽しんでいただけたらと思います」と南さん。
京都などで修業し、洗練された茶席菓子の良さも熟知しているが、この地にふさわしいのは、田舎風で素材感のある和菓子だと思う。近江の旬の素材を使い、この地ならではの和菓子を作って行きたいと思っている。(フードライター)
5個入り630円
冨来郁(ふくいく)
(電)0748・48・2919
〒529・1404 滋賀県東近江市宮荘町419
(2012年4月21日 読売新聞)