2010年10月05日

成年後見制度普及のために

 10月2日(土)〜4日(月)まで,「2010年成年後見法世界会議」が横浜で開かれていました。
 Twitterでおなじみの,「青い鳥社会福祉士事務所」(@hirorinn05さん)や鹿児島国際大学の古瀬徹先生(@bonn1979),そして10月1日のオフ会ではじめてお目にかかった高齢者施設勤務の@Rosedx23さん等多くのおなじみの方も参加されておりました。
 私は,残念ながら他用(スクールソーシャルワークの勉強会)と重なってしまったこともあって,参加を見合わせたのですが,とても盛大な会だったようです。


 10月5日付神奈川新聞記事で,学会についてこんな紹介がなされていました。


初の成年後見法世界会議、「横浜宣言」を発表し閉幕


 認知症や精神疾患などで判断能力が不十分な人を支援する成年後見制度について、法曹関係者らが話し合う世界初の「2010年成年後見法世界会議」が4日まで、横浜市西区のパシフィコ横浜で開かれ、同制度の適切な利用を訴える「横浜宣言」を発表して閉幕した。

 同会議は2日に開幕、16カ国から約500人が参加した。

 最終日の4日には、八つの分科会が議論の結果を報告。子どものいない単身高齢者らを地域住民が支える市民後見人のあり方、後見人への公的支援組織の必要性など、さまざまな課題を指摘した。

 最後に成年後見制度の適切な利用を訴える横浜宣言を発表。日本に関しては、成年後見に関する市区町村長申し立ての積極的な実施や、後見人が本人の代わりに医療行為に同意できる権利を求めるとともに、後見開始決定に伴う選挙権のはく奪など権利制限が多すぎるとして、現行成年後見法の改正や運用改善を求めた。

 また、国連の「障害者権利条約」とハーグ国際私法会議の「成年者の国際的保護に関する条約」の早期批准も日本政府に要望した。


(引用ここまで)


 非常にシンプルな記事ですが,日本においては「市区町村長申し立ての積極的な実施や、後見人が本人の代わりに医療行為に同意できる権利を求めるとともに、後見開始決定に伴う選挙権のはく奪など権利制限が多すぎるとして、現行成年後見法の改正や運用改善を求めた。」と,多くの改善点があることが指摘されています。


 実は本日(10月5日),横浜市のある区の区長申立ケースの後見人候補者として,家庭裁判所に出向いてきました。
 9時15分からの約束だったのですが,参与人(失礼ながらアルバイトのような方です:恐らくもと裁判所職員なのでしょう)の方に区役所のワーカーとともに呼ばれたのが10時少し前,終わったのが11時と,申立だけで2時間仕事でした。
 しかも,担当書記官が,鑑定費用の納付について,これまで(私が公務員時代に当時の訟廷管理官と打ち合わせをし区の申立マニュアルに記載したこと)と全然違う対応をしたため,区のワーカーとともに従来の対応をお願いし,ちょっと悶着したりしました。
 私たちでさえ戸惑う裁判所の対応ですから,一般の方が「気軽に」使える制度ではない,と改めて実感です。


 そんな使い勝手の「悪さ」があることや,行政特有の「前例主義」により「前例がない」と取り合ってくれない等で,市町村長申立も全国的に見れば,まだまだ非常に少ないのが現状です。

 最高裁判所のホームページに,成年後見制度の関する統計情報が出ており,「成年後見事件関係事件の概況」(平成21年1月〜12月)によると,市区町村長申立件数は,東京・横浜・大阪・千葉・さいたまの各家裁が100件以上ある他は,各裁判所とも決して多いと言える数ではなく,中には盛岡家裁3件,函館・宇都宮の家裁が6件,鳥取が7件と一桁という裁判所もあります。
 件数が多いからよい,ではありませんが,あまりにも格差が開いてしまっています。

 もっと市区町村が積極的に申立の関われるようになる仕組み,例えば戸籍取得事務を司法書士や行政書士にお願いする,相続人との関係調整等は社会福祉士にお願いする等により,自治体職員の事務負担を軽減すること等が,一つの方法として考えられるでしょう。(当然何らかの報酬は支払います:被後見人の方の資力があれば,後見開始審判後に自治体に返還してもらうようにする制度とすればよいのです)


 医療同意についても,やはり後見人による同意行為を法的に根拠のあるものとする等が必要でしょう。


 そして何より,私たちソーシャルワーカーや,法律の専門職(弁護士・司法書士・行政書士等)が手を取り合って,制度普及を目指した地域活動を行うことが,当面は必要なのかと思っています。


 高齢者はますます増加していきますし,障害者の方の「経済的搾取」が成年後見制度の中でも行われている現状を考えた時に,今回の大会決議を速やかに実施に移し,同時にもっと広めていく努力を現場が行う,という「2人三脚」が必要なのだろうと感じています。


 私も今日付で法定後見人となり,保佐人受任も可能性があります。これからは,後見人実践者としての目線から,成年後見制度を見つめていきたいと思っています。
fukushi_ashi at 23:16│Comments(2)TrackBack(0)ソーシャルワーク 

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この記事へのコメント

1. Posted by hirorinn05   2010年10月05日 23:33
法定後見人に今日なられたのですね。

受任してから1〜2ヶ月は事務も多く大変だと思いますが、勉強になります。

私も市長村長申立ては数件持っていますので。色々ありますが。

成年後見法世界会議の「横浜宣言」が実現していくことを願うとともに、国連の「障害者権利条約」とハーグ国際私法会議の「成年者の国際的保護に関する条約」の早期批准して欲しいと思っています。

2. Posted by Maa-chan   2010年10月05日 23:47
hirironn様:

 コメントありがとうございます。また改めまして,学会参加お疲れさまでした。

> 法定後見人に今日なられたのですね。
 9月中旬に審判があり,2週間を経て今日が受任日となりました。

> 受任してから1〜2ヶ月は事務も多く大変だと思いますが、勉強になります。
 そうですね。書類等の手間は行政以上だと感じますが,法律の知識等を活用しながら,ワーカーらしい後見活動ができるようにしたいと思います。

> 私も市長村長申立ては数件持っていますので。色々ありますが。

 横浜市は今,生活保護の方の区長申立が急増しています。
 幸い利用支援事業で報酬は出るのですが,たくさんの課題を抱えている方の支援となるため,そもそも一人でできるのか,ということが今後問題になってくるような気がします。


> 成年後見法世界会議の「横浜宣言」が実現していくことを願うとともに、国連の「障害者権利条約」とハーグ国際私法会議の「成年者の国際的保護に関する条約」の早期批准して欲しいと思っています。

 横浜宣言の実現は最低限で,その上条約の批准や,そもそも高齢者や障害者(当然こども達や犯罪更生中の方等も)が生活しやすい社会であることを祈るとともに,微力ながらそんな社会ができるような力になりたいですね。

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