June 22, 2007
■ちょっと遅いけど、今回のアフタの四季賞に関して感想をば。総評としては、ここ何回かの四季賞の中で、一番アフタっぽいので非常に安心したと言う感じ。設定のフィクションさとか、物語の進み方とか、ともかく漫画全体に流れる温度とかトータルでみてアフタっぽくてこれはとても大事なこと。
■今回収録の３作品は個人的に大きく差がない、と言うのがぼくの感想。なので、今回は３作品をぼくなりに順位付け、その理由を書いてみる。それで書評になればなぁ。
■３位『囚われクローン』太田モアレ （四季賞受賞 実質２位）
３作品の中では、意欲的に設定にこだわるタイプの漫画。死刑制度が廃止され、２００年とかの懲役を全うするために、囚人のクローンが服役を引き継ぎますよ、というお話。結局、臓器移植のための内臓工場なんだ、とか、クローンっていっても別人で、知識として犯罪を犯したことを引き継ぐから、そこらへんにクローンたちはさい悩まされますよ、とか。実は大きな設定から引き出される小さな問題がちりばめられている。が、個人的にはそれらの要素が全然利いていないと感じました。
コンテストなので、長編にはできないので、実はその時点で設定に凝って漫画を描く派の人は不利なのかもしれん。
かといって、この設定で漫画を連載できるかと言ったら「？」
でも、キャラの強い登場人物なしで読ませるのだから、絵とかコマワリとか、言葉遣いとかは割と上手なんだと思います。
■２位『東日人民よ！』山口甚八 （四季大賞 実質１位）
いわゆるセカイ系。セカイ系を語るときには、よく最終兵器彼女が引き合いに出されるけれども、結局のところセカイ系の流れの走りは、実はスターウォーズです。スターウォーズからガンダム→エヴァ→エウレカとか最終兵器で、セカイと個人の関係はクライマックスに達し、それ以降のセカイ系のストーリーはセカイと個人の反転が起きてるのではないかと思います。つまり、セカイは結構どうでもよくて、個人の成長とか日常がストーリーになって、重要設定としてのセカイがある。
今回の作品はその極地ではないかと。東西日本に分断されてて、東の高校生が映画を撮るのを夢見ながら、恋した相手が西側からのスパイでした。と。話は、極々日常生活の視点で描かれる。西の絵なんか一枚も出てこなくて、世界の状況は実は何も説明されてないんだけど、圧倒的な設定としての東西日本が個人の高校生に降りかかってくる、と。
東西日本みたいな設定も別に新しくないし、セカイ系にも飽きてきたっていう感じで、２位。
でも、絵はダントツで「アフタっぽい」んだなぁ。俺から言わせるとね。
絵も間の取り方も上手です。
■１位『黄色い家』新田章 (うえやまとち特別賞 実質３位)
なぜこれが１位かというと、完全に俺の趣味にはまったから。結局のところ、僕の漫画の愛読書は「神戸在住」なわけでして、この漫画は基本的に１０人に貸しても一人面白いって言ってくれるけど、あとの９人はつまらない、って言うですよ。「普通」じゃなくて「飽きる」って。それもそのはず、神戸在住は神戸の大学生の生活を淡々と描くだけの漫画ですからね。クライマックスもないし、見所も（あるんだけど）ないように思わせてしまうと言うか。ちなみに、連載は終了していて、最終巻が秋に発売する予定。キャッチコピーは「一生、読み続けられる本」漫画でこのコピーがぴったり当てはまるのは神戸以外に考えられません。
で、本題に戻ると、今回のこの話には、読みやすさというか、さらーっと読みすすめての心地よさとかが神戸と通じるものがあったのですよ。実はいろいろ設定に無理はあるし、親戚のくだりとかいらねんじゃね？とかいろいろ思うところはあるのですが、「心地よさ」のひとことに尽きると言うか。ん、もうそんだけです。おれ、この人連載持つ気がする。と久々に感じたのでした。
絵も上手。ベタと書き込み量のバランスが絶妙。ベタで絵にあんなに色気を感じたの初めてだ、ってな具合に上手でしたね。
■久々に気合いれて書いたぜ。相変わらず、読み返さないでアプー。たにちゃんのコメントを待って見るテスト、と、煽ってみるテスト。たにちゃんの漫画の好みなんて、半分も把握してないから、今回の四季賞の評価が聞きたいところ。
■今回収録の３作品は個人的に大きく差がない、と言うのがぼくの感想。なので、今回は３作品をぼくなりに順位付け、その理由を書いてみる。それで書評になればなぁ。
■３位『囚われクローン』太田モアレ （四季賞受賞 実質２位）
３作品の中では、意欲的に設定にこだわるタイプの漫画。死刑制度が廃止され、２００年とかの懲役を全うするために、囚人のクローンが服役を引き継ぎますよ、というお話。結局、臓器移植のための内臓工場なんだ、とか、クローンっていっても別人で、知識として犯罪を犯したことを引き継ぐから、そこらへんにクローンたちはさい悩まされますよ、とか。実は大きな設定から引き出される小さな問題がちりばめられている。が、個人的にはそれらの要素が全然利いていないと感じました。
コンテストなので、長編にはできないので、実はその時点で設定に凝って漫画を描く派の人は不利なのかもしれん。
かといって、この設定で漫画を連載できるかと言ったら「？」
でも、キャラの強い登場人物なしで読ませるのだから、絵とかコマワリとか、言葉遣いとかは割と上手なんだと思います。
■２位『東日人民よ！』山口甚八 （四季大賞 実質１位）
いわゆるセカイ系。セカイ系を語るときには、よく最終兵器彼女が引き合いに出されるけれども、結局のところセカイ系の流れの走りは、実はスターウォーズです。スターウォーズからガンダム→エヴァ→エウレカとか最終兵器で、セカイと個人の関係はクライマックスに達し、それ以降のセカイ系のストーリーはセカイと個人の反転が起きてるのではないかと思います。つまり、セカイは結構どうでもよくて、個人の成長とか日常がストーリーになって、重要設定としてのセカイがある。
今回の作品はその極地ではないかと。東西日本に分断されてて、東の高校生が映画を撮るのを夢見ながら、恋した相手が西側からのスパイでした。と。話は、極々日常生活の視点で描かれる。西の絵なんか一枚も出てこなくて、世界の状況は実は何も説明されてないんだけど、圧倒的な設定としての東西日本が個人の高校生に降りかかってくる、と。
東西日本みたいな設定も別に新しくないし、セカイ系にも飽きてきたっていう感じで、２位。
でも、絵はダントツで「アフタっぽい」んだなぁ。俺から言わせるとね。
絵も間の取り方も上手です。
■１位『黄色い家』新田章 (うえやまとち特別賞 実質３位)
なぜこれが１位かというと、完全に俺の趣味にはまったから。結局のところ、僕の漫画の愛読書は「神戸在住」なわけでして、この漫画は基本的に１０人に貸しても一人面白いって言ってくれるけど、あとの９人はつまらない、って言うですよ。「普通」じゃなくて「飽きる」って。それもそのはず、神戸在住は神戸の大学生の生活を淡々と描くだけの漫画ですからね。クライマックスもないし、見所も（あるんだけど）ないように思わせてしまうと言うか。ちなみに、連載は終了していて、最終巻が秋に発売する予定。キャッチコピーは「一生、読み続けられる本」漫画でこのコピーがぴったり当てはまるのは神戸以外に考えられません。
で、本題に戻ると、今回のこの話には、読みやすさというか、さらーっと読みすすめての心地よさとかが神戸と通じるものがあったのですよ。実はいろいろ設定に無理はあるし、親戚のくだりとかいらねんじゃね？とかいろいろ思うところはあるのですが、「心地よさ」のひとことに尽きると言うか。ん、もうそんだけです。おれ、この人連載持つ気がする。と久々に感じたのでした。
絵も上手。ベタと書き込み量のバランスが絶妙。ベタで絵にあんなに色気を感じたの初めてだ、ってな具合に上手でしたね。
■久々に気合いれて書いたぜ。相変わらず、読み返さないでアプー。たにちゃんのコメントを待って見るテスト、と、煽ってみるテスト。たにちゃんの漫画の好みなんて、半分も把握してないから、今回の四季賞の評価が聞きたいところ。
(01:46)
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この記事へのコメント
1. Posted by ヨシミ June 22, 2007 20:07
さっすがあ。マンガは、私の知らないまっつのぶぶんですな。
と、下手な日本語で言ってみる。
と、下手な日本語で言ってみる。
2. Posted by tani June 23, 2007 10:51
僕の好みだって？
男ならフンドシ締めて、黙って『ONE PIECE』読んどけ！！
さて。適当に雑感しまっす。
今回の四季賞は良かった。素直に全部読めました。
全体的に「優」。「特優」はナシ。
■『囚われクローン』
2〜3ページ読んだ段階で「おおっ！」と思いつつ。。「囚人のクローンが服役を引き継ぐ」て設定が強すぎることと、物語がとても小さく個別的な感情を取り扱っていること、この二つをつなぐことに若干無理があるのではないかと。読んだ後に物足りなさが全開です。（まっつと似た感想かな）
男ならフンドシ締めて、黙って『ONE PIECE』読んどけ！！
さて。適当に雑感しまっす。
今回の四季賞は良かった。素直に全部読めました。
全体的に「優」。「特優」はナシ。
■『囚われクローン』
2〜3ページ読んだ段階で「おおっ！」と思いつつ。。「囚人のクローンが服役を引き継ぐ」て設定が強すぎることと、物語がとても小さく個別的な感情を取り扱っていること、この二つをつなぐことに若干無理があるのではないかと。読んだ後に物足りなさが全開です。（まっつと似た感想かな）
3. Posted by tani June 23, 2007 10:51
■『東日人民よ！』
絵がとても魅力的です。「このような設定＝こじんまりした古臭い街」という決まりごとのような習慣が嫌です。あとは全体的に上手かと。3人のキャラ設定や、やり取りなんかは模範解答のようです。
■『黄色い家』
僕もこれが一番良かった。なんたって読んだあと気持ちがよい。オカンがとてもいい。絵も良し。
そうそう。
最後にアドバイスを一つ。
「ピッピは先を読むべからず」たよ。
絵がとても魅力的です。「このような設定＝こじんまりした古臭い街」という決まりごとのような習慣が嫌です。あとは全体的に上手かと。3人のキャラ設定や、やり取りなんかは模範解答のようです。
■『黄色い家』
僕もこれが一番良かった。なんたって読んだあと気持ちがよい。オカンがとてもいい。絵も良し。
そうそう。
最後にアドバイスを一つ。
「ピッピは先を読むべからず」たよ。
4. Posted by まっつ June 23, 2007 17:47
おお！気合の入ったコメントありがとー。全体的に同じような感想で変に安心。じんまりした古臭い街イメージは、なんなんだろうね。AKIRAあたりの町のイメージに囚われてるのかしら？誰もが。
と言うわけで、次回は前回「虫と歌」を選んだ谷口ジローが審査員と言うことで、夏の四季賞にも期待期待！
と言うわけで、次回は前回「虫と歌」を選んだ谷口ジローが審査員と言うことで、夏の四季賞にも期待期待！
