13 「北斗の拳」は「漢の聖書(バイブル)」、「漢たちの伝説」とされ、ユリアは「南斗最後の将」と。

中国で天の川は「銀漢」と呼ばれ、天の川の南の中天低いあたりにある”いて座”の中には「南斗六星」がある。
「北斗の拳」では、「漢」は「男の中の男」として用いられているようだ。

「南斗六星」は、その形状から天の川の”ティー・スプーン”とも呼ばれている。
一方日本では、古くはその小さな四辺形の部分を、農具として用いられた「箕
(み)」に見立てて「箕星」と呼ばれていたとも。

 「北斗七星」と「南斗六星」については、中国に次のような伝説がある。
ある昼下がり、ある農夫と子どもが畑仕事に精を出しているところに、人相見の男が通りすがり、
「気の毒だが、この子は20才まで生きられないだろう」と予言。
どうしたらよいか農夫が尋ねると、「この先の桑畑で碁を打っている老人に黙って酒と肉を差し上げよ」と。

言われるままに、子どもが肉と酒を持って畑に向かうと、二人の老人は黙々と碁を打っている。
子どもに気を止めることもなく、差し出した肉を食べ酒を飲むばかりだった・・。

やがて碁を打ち終わり、子どもに気が付くと、
北側の老人は怒りだし、「お前はなぜここにいるのだ!」と、
南側の老人が、「まあまあ、ごちそうになったことだし・・」となだめ、懐から帳面を取り出した。

そして、「これでどうじゃな」といって”十九歳”とあった子どもの寿命の数字を、ひっくり返し”九十歳”と直して子どもにくれた。

子どもが大喜びして帰ってくると、
人相見の男は「北側の老人は死を司る仙人、南側の老人は生を司る仙人で、人の寿命を二人が相談して決めるのじゃ」と・・。
 
(藤井旭著「星座と星座神話 夏」参照)