6D1_a1904 昨夜は旧暦の八月十五日で「十五夜」、「中秋の名月」。 しかし、満月は今夜。

「一家(ひとつや)に 遊女も寝たり 萩と月」(芭蕉)

『奥の細道』の中でも異色の挿話。
市振の関でたまたま伊勢参りの遊女と泊まり合わせた。
遊女たちは旅を不安に思って芭蕉に同行を願ったが、芭蕉は同情しながらも断る・・・。

 市振は、新潟県西頚城郡青海町の親不知の南2㎞余りの地。
元禄2年(1689)7月12日、芭蕉は夕刻5時頃市振に到着した。

しかし、文の最後に「曽良に語れば、書きとめはべる」とあるが、曽良の旅日記には全く記述はなく、虚構であろうと。

「白波の 寄する渚に 世をつくす 海士(あま)の子なれば 宿もさだめず」
 (『新古今和歌集』雑歌下(巻十八)よみ人しらず)

 長和2年(1013)、藤原公任が漢文・漢詩・和歌を集めた朗詠集『和漢朗詠集』にある古くから人口に膾炙した歌で、芭蕉も遊女のあわれさを巧みに取り入れたと。

また、西行と江口の遊女との和歌のやり取り、謡曲『江口』でのを元にしているとも・・。
  (「要説 奥の細道」日栄社 参照)