更新が止っていました。
書きたいネタは山積みなのですが、これだけ。今月読んだ本と、簡単な感想(「評」と呼べるものではなく)を書きます。自分のための覚書のようなものです。

昔ほとんど読まなかった分、1冊でも多くの本に出会いたくて、なるべく速く読んでいるのですが、本ってじっくり読んだ本があとあと心に残るものだなと気づきました。わたしの場合は。
感想のあるものが特に何かを感じたもの。それが長ければ長いほど面白かったということです。感想を省いているものもあります。

梅棹忠夫文明の生態史観』(中央公論社)
この本の存在はずっと前から知っていましたが、昨年末から正月にかけてやっと読みました。もとは中央公論社から出ていますが、『梅棹忠夫著作集 第5巻 比較文明学研究』に所収されている方を読みました。ある程度予想していたとおり、これを10年前に読んでいたら(そのとき果たして、書かれていることに対してどう受け止められたか知らないけれど)、人生が変わっていたんじゃないかといっても過言ではない内容でした。「文明の生態史観」なんていうタイトルは難しそうな印象を受けますが、(梅棹先生の本だと知らなくて、きっとタイトルだけ見たら読まないと思う)、大変わかりやすい文章で読み易いです。
「文明の生態史観」の各章のタイトルは以下のとおり− 『梅棹忠夫著作集 第5巻 比較文明学研究』 〜P230
 東と西のあいだ、 東の文化・西の文化、 文明の生態史観、新文明世界地図−比較文明論へのさぐり、 生態史観からみた日本、 東南アジアの旅から−文明の生態史観つづき、 アラブ民族の命運、 タイからネパールまで−学問・芸術・宗教、 比較宗教論への方法論的おぼえがき、 あとがき、 文明の生態史観−追記
これは手元に置いてもう一度じっくり読みたいものです。いつか感想をゆっくり書きたいのですが…


朱川湊人都市伝説セピア』(文藝春秋)
先月『花まんま』(直木賞受賞作)を読んで面白かったので次にこれを。こういう作風は好きです。字の如く、都市伝説に興味ある人におすすめ。

水谷驍ジプシー 歴史・社会・文化』(平凡社新書)
妹が正月に帰郷した際に持参していた本で、新書は最近ぜんぜん読んでいなかったのですが面白そうだったので借りました。ジプシーについて一般的に言われている説は、実は学術的に論証されるものではないことがわかりました。まだまだ研究の余地がたくさんあるようですね。

浅田次郎天国までの百マイル』(朝日新聞社)
伯母に薦めされて、母が読んで感動していたので、次にわたし。さくさく読んでしまって心にあまり残らなかったのが残念。

礫川全次サンカと三角寛 消えた漂泊民をめぐる謎』(平凡社新書)
上の『ジプシー』の最終章に「サンカ」といわれる人々について言及されていて、そこではじめてその言葉を知りました。サンカの研究と「山窩小説」で知られる三角寛(みすみかん)も。「説教強盗」の件、説教強盗とは、盗みに入った家人に戸締りが悪いとか云々と、防犯について諭していく強盗のことで戦前に都内でこの手の号と事件が多発したようですが、4コマ漫画の『サザエさん』にこんな強盗が出てこなかったかな?と思ったのですが記憶違いかな。

朱川湊人かたみ歌』(新潮社)
東京の下町を舞台にしたほのぼの系の短編集。同じ町が舞台で、主人公や時代が変わるのですが、それぞれの作品で関わりあってくるのでそのあたりも面白い。

朱川湊人水銀虫』(集英社)
朱川湊人が続きますが、こちらはあまり気持ちのよい話ではありませんでした。

青木新門定本 納棺夫日記』(桂書房)
富山市在住の、死者の湯灌をなさっている方の、自伝的小説(とでもいうのか?)。普段なかなか聞くことのない仕事の内容から、その職業とさまざまな人との出会いから得た体験談や、それらを通して自ら考えた死生観を交えながら描かれています。古今東西葬いにかかわる職業の人々は差別されてきたようですが、数十年前までまだそういった賤民意識が世間一般の人々に残っていたのだなと思うと…。わたしなんかは「清い」感じがしますが。
後半は詩も載っています。雪国に暮らす人なら情景が感じられやすいのではないでしょうか。それから、「つららの坊や」という童話も所収されていて、軒下にぶら下がる氷柱たちをひとつの家族に見立てて展開されている話ですが、最後はちょっぴ悲しさを感じつつも、ほんわかして心が温かくなりました。
地元の出版社から出ているようなので、他県ではお目にかかりにくいかもしれないkれど、死をまだ身近に感じていない(わたしを含め)若い人にもおすすめです。


朱川湊人赤々煉恋』(東京創元社)
『水銀虫』がお好きの方は、こちらもいいと思います。

浅田次郎霞町物語』(講談社)

浅田次郎王妃の館』上・下(集英社)
浅田氏の本は、作品によって全く作風が異なるので、つくづく感心します。これはハリウッド映画的に可笑しいのと感動するのが半々。(まだまだ一部しか読んでいないけど)浅田作品の中では、『蒼穹の昴』『シェエラザード』に続いてよかったです。ルイ14世紀時代と現在のうまく織り交ぜられていて、わたしは小説を読んでよく感情移入する方ですが、これを読んでいるとパリに行きた〜くなりました。フランス語ももう一度しっかり勉強したくなったし。

筒井功漂泊の民サンカを追って』(現代書館)
どうもその世界ではサンカ・ブームらしく、近年さまざまな研究書が出ていて、この本もそのうちの1冊のようです。
そのわりには『日本史辞典』に載っていないのが意外な気がしますが…


津村節子瑠璃色の石』(新潮社)
著者の自伝的小説。学習院時代の話では、当時新進気鋭の作家として注目されていた三島由紀夫が登場したのはうれしい。しかも後輩の面倒見のよい明るい好青年です。 文壇にデビューするまでの苦労がよくわかりました。芥川賞を受賞して終わるのかなと思ったら、結末が唐突な感じがしました。あのあとの続きが気になります。津村作品は最近ちょくちょく読んでいましたが、昨年亡くなった夫の吉村昭氏の小説も読んでみたいです。

家島彦一イブン・バットゥータの世界大旅行―14世紀イスラームの時空を生きる』(平凡社新書)

朱川湊人わくらば日記』(角川書店)

宮本常一日本民衆史 2 山に生きる人々』(未来社)

○KAWADE道の手帖『サンカ 幻の漂白民を探して』(河出書房新社)

五木寛之日本人のこころ4』(講談社)

(短編)
○田村泰次郎「肉体の門」
○深沢次郎「楢山節考」
どちらも『日本の文学80 名作集(四)』(中央公論社)より。昭和45年発行。
編者は谷崎潤一郎、川端康成、大岡昇平、D・キーンら、蒼々たるメンバーです。そして三島由紀夫もいます。割腹自殺の数ヶ月前に発行された本なんだな〜と思うとなんだかしみじみ…