この月も間民俗学ブームが続いているが、さらに世界史関連など、日本以外に目を向けてみた。とくに魔女や異端とキリスト教関係の本が多かった。また海外の小説もいくつか。
【評価の印】
○読みやすいし、楽しめた
●読み応えがあり、ちょっと難しいが楽しめた
☆おもしろい、夢中になる。これは人に薦めたい
★内容はすばらしいと感じるが、自分の頭がついて行かなかった…
◎とくに役に立った上、読み応えがあった!

評価の印はわたしのな感じたままで、それがないものがとくにつまらないわけではありません。また感想の有無や長さもそのまま内容の良さを比例しているわけでもありません。
読んだ順に


○朝日新聞be編集グループ編『サザエさんをさがして その2』(朝日新聞社 2006.12)【評価】○
【感想】その1は持っていますが2が出ていたのに気付きませんでした。4コマを読んでわたしが感じた感想より、さらに突っ込んでいてサザエさんってほんとにシュールだなとつくづく感じました。戦後〜高度経済成長時代の日本がよくわかります。

○ミシュレ著 篠田浩一郎訳『魔女(上)』(岩波文庫 1983.3)
【評価】★

○藤井悦子 オリガ・ホメンコ編訳『現代ウクライナ短編集』(群像社 2005.11)

○岡倉登志『「野蛮」の発見 西欧諸国のみたアフリカ』(講談社現代新書 1990.12)

○パヴェル・ヘイツマン/田才益夫訳『鋼鉄の罠』(実業之日本社 1996.3)
【評価】☆
【感想】読んだことのない国の知らない作家の小説を読んでみようと思ってチェコ人作家のこの作品を。造船工場で働いていた青年が乗り込んだ船が、実は原子爆弾の原料にも使われるウランが秘密裏に搭載されていることに気付き、決死の覚悟で船から脱出。そしてたどり着いた未知の国・南アフリカでの逃亡劇をスリリングに描く。はじめはテンションが上がらなかったのですが、一緒に逃げていた仲間が殺されたあたりから、いよいよ物語が動いた!と感じて面白くなりました。アパルトヘイト政策撤廃前のかの国の社会がよく出ています。ただの冒険小説というだけでなく、白人か黒人か、信頼できるかできないか、生か死かと常に二極の世界で、日や時間どころか分単位で希望と絶望の繰り返しの逃亡のなか、人間とはなにか?と主人公にも読み手にも考えさせる哲学的小説とも感じました。

○ポール・ニューマン著 田中雅志訳『恐怖の歴史 牧神からメン・インブラックまで』(三交社 2006.11)
【評価】◎
【感想】所謂学術書の部類に入ると思いますが、海外の学者は単なる研究書として優れているだけでなく、読み物として面白く書く才能も持ち合わせているのかなと感じました。訳し方も上手いのかもしれませんが。

○宮田登『宮田登 日本を語る13 妖怪と伝説』(吉川公文館 2007.2)
【評価】●
【感想】「池袋の女」について知りたかったので。何か気になる方はこの著書を読むか、「つぶて」あるいは「石打」とあわせて池袋の女を検索してみて下さい。何か出てくると思います。(池袋云々と関係ないけど、うちも不思議な現象があって何だかこういうの気になります)民俗学って面白いです。

○鶴見俊輔 齊藤慎爾編『サザエさんの〈昭和〉』(柏書房 2006.8)
【評価】○
【感想】ちょっと下世話な内容も中にはあり、今の時代この内容では問題ありかもと思うものも(何十年も前のエッセイもある)ありますが…。斜に構えた見方を楽しめたらそれでいいと思います。

○浜本隆志『魔女とカルトのドイツ史』(講談社現代新書 2004.2)
【評価】○
【感想】タイトルの印象よりずっと軽く読めました。

○フレイザー著 永橋卓介訳『金枝篇(一)』(岩波文庫 1972.6)【評価】★
【感想】以前新聞の書評でみて気になってはいましたが、最近読んだ本によく出てきたので読んでみました。古代イタリアのあるところで、一人の祭司が昼夜を問わず自分を殺しに来る敵から守っているのが「黄金の木」。この地ではその木の枝を切り取り祭司を殺した挑戦者が新たに祭司となり、次の挑戦者に殺されるまで森の主として君臨できるという…。『金枝篇』はその奇妙な風習が何故生まれるに至ったかを、世界中の風俗習慣、あらゆる神話・伝説を集めて考察していくもの。これを聞いただけですごく興味を書き立てられましたが、非常に膨大な量のフレイザーの論文を世間一般向けに何十分の一かにまとめたという、この文庫全5巻の量の、一冊目を読んだだけですがなかなか頭ついて行けない。

○齋藤孝著『読書力』(岩波新書 2002.9)【感想】高校生から大学生にかけて読んでおくべき本の目標数は、まず文庫100冊・新書50冊だそうで、これだけの数をこなせばたいてい読書力は身につくはず、とのこと。それは近年痛感します。若いうちにやっておくべきだったと言っても始まらない、もう十数年前には戻れないわたしはコツコツと。齋藤先生のリストアップした文庫100冊はひとつの目安になります。

○春江一也『プラハの春』上・下(集英社文庫 2000.6)
【評価】◎
【感想】妹に薦められ。1968年のチェコの民主化運動を、筆者自らの体験を元に描いた小説。専門的な部分もありますが、読み応えたっぷり。続編の『ベルリンの秋』『ウィーンの冬』もいずれ。

○ピーター・スタンフォード 大出健一訳『悪魔の履歴書』(原書房 1998.6)
【評価】●
【感想】古代から現代までの西欧世界における人々の捉えた「悪魔」像の変遷を追っています。先にある『恐怖の歴史』に近い感じです。

○ジャン-ミシェル・サルマン著 池上俊一監修『魔女狩り』(創元社 1995.5)
【評価】●
 10年ほど前にとくに古代文明などを続々と出していて、カラー写真資料が満載の「絵で読む世界文化史」シリーズのひとつです。

○宮田登『宮田登日本を語る12 子ども・老人と性』(吉川公文館 2007.1)
【評価】●
 シリーズで10数冊出ていますが、(論文を集めた著作集のような形なので)13巻とも一部重複していて、「池袋の女」はここでも登場。

○薩摩秀登『プラハの異端者たち 中世チェコのフス派にみる宗教改革』(現代書館 1998.8)
【評価】★
【感想】『プラハの春』で触れられていた15世紀に殉教したフスについて知りたかったのですが、素人にはなかなか太刀打ちできない内容で…。

○ヴォルフガング・ハルトゥング著 井本こう二 /鈴木麻衣子訳『中世の旅芸人 奇術師・詩人・楽士』(法政大学出版局 2006.11)
【評価】★
【感想】やはり訳も大事ですね。文体が好きです。しかしこれまたついていくのが難しかった。訳者の鈴木麻衣子かんがわたしより一つ若いようで、同年代の人もこういう著書に携わっているのかと思うと…。(原書はドイツ語だと思う)本当に世の中賢い人ばかりだ。


と最後の方は感想にもなっていませんが、ただ読むだけでは(数をこなせば)良いという問題ではないことをよく自覚しています(^_^;)