私(朝岡)の好きな『ONE PIECE』にはこんなシーンがあります。絶望の縁に追いやられたルフィ。「自分は無力だ」「なにが海賊王だ」「おれには誰も救えない」と嘆き、自分自身を傷つけます。あのルフィだってネガティブになるんだと驚きました。
ポジティブとネガティブという言葉を聞いたことがあると思います。ポジティブは積極的であることを、ネガティブは消極的や否定的であることを表します。例えば、コップに半分水が入っているのを見てある人は「半分もある」と思いますが、別の人は「半分しかない」と思います。あなたはこの2人を比べてどちらの考え方がいいと考えますか?
もう一例あげてみます。アメリカの高校生の話です。チアリーディング部に所属している女の子がいました。アメリカでチアリーディング部というと女の子の憧れの部活動でどこの高校でも部員数は多く、この子は母親の熱烈なすすめもあり、チアリーディングの名門高校で部員数300人の学校に入学しました。母親は「あなたはNo.1になれるわ!」と小さな頃から声をかけていました。自分自身でも「必ずNo.1になってみせる!」と言い聞かせていました。名門ですから、選りすぐりの300人です。競争の激しい中、彼女はチアリーディングのコンテストで活躍し、めきめき実力をのばしていきました。
彼女の夢に手が届きそうな時、絶好のチャンスが訪れました。高校の文化祭でチアリーディング部の人気投票が行われたのです。この投票には全校生徒が参加する大変注目度の高いイベントです。「この人気投票で本当にNo.1になれるかもしれない、いや絶対になれる。」投票結果を待ちました…結果は5位。名門高校で300人中の5位ですから、レギュラーメンバーの中でもトップです。全校生徒が彼女を賞賛しました。しかし、彼女はこの夜自ら命を絶ってしまいました。だれもがうらやむ名門高校のチアリーディング5位になれたのにです。
ネガティブはだめなのでしょうか。コップ水を見て「半分しかない」と思うようなことは私たちにはたくさんあります。「テストが50点」「あと10分で帰らなきゃ」「1点差で負けてる」あげれば切りがありません。確かにこれをポジティブに「50点も成績を上げる可能性がある!」「まだ10分ある」「2点取れば勝てる」と考えることもいいですが、そればっかりで自分に満足できない状態が続いてしまいます。ネガティブでもいいんです。もしこの考えをチアリーダーの子が知っていたら、同じような結末になることはなかったでしょう。無理にすべてをポジティブにする必要はないのです。それでもポジティブに考えた方が人生たのしいのは確かです。(ポジティブ心理学では幸せになれる考え方の比率を【ポジティブ:ネガティブ=3:1】と表しています。)
ポジティブになりたい人、その第一歩は「ネガティブな自分を認める」です。ネガティブでもオッケーなんですよ。