2014年06月09日

WHOガイドライン:病態に起因した小児の持続性の痛みの鎮痛薬による治療の和訳刊行(2)

基本原則
小児の病態に起因した持続性の痛みの最適な治療には、非オピオイド鎮痛薬、オピオイド鎮痛薬による戦略的アプローチが必要である。このような包括的なアプローチは、資源に制約がある地域においても実施可能である。鎮痛薬の正しい使用が、病態に起因した小児の持続性の痛みの大多数を除去する。鎮痛薬の正しい使用は鍵となる次の考え方に基づいて行う:
  • 二段階除痛ラダー(階段図)の考え方を守る(by the ladder)
    (訳者注:コデイン、トラマドールなどの弱オピオイドの投与は推奨せず、非オピオイドを第一段階、強オピオイドを第二段階とする二段階除痛ラダーを採用している)。

  • 時刻を決めて規則正しく鎮痛薬を反復投与する(by the clock)

  • 適切な投与経路はである経口投与を用いる(by mouth)

  • それぞれの小児に適合する個別的な量を用いる(by the individual)


臨床に対する勧告
  1. 病態に起因した小児の持続性の痛みの強さに応じ、二段階除痛ラダーによって鎮痛薬を選択して投与する。

  2. アセトアミノフェンまたはイブプロフェンが第一段階の選択薬(軽度の痛みに用いる鎮痛薬)である、本ガイドラインでは、アセトアミノフェンとイブプロフェンのうち、どちらか一方を優先して選択するようには勧告していない。両者は共に等しく位置付けられる鎮痛薬である。

  3. 第一段階の鎮痛薬としてアセトアミノフェンとイブプロフェンを共に使用可能な状態にしておく。

  4. 病態に起因した小児の持続性の中等度から高度の痛みから小児を解放するには、第二段階の強オピオイド鎮痛薬を用いて治療すべきと勧告する。

  5. 病態に起因した小児の持続性の痛みが中等度から高度の強さのとき、モルヒネを強オピオイド鎮痛薬の第一選択薬とするよう勧告する。

  6. 強オピオイド鎮痛薬としてのモルヒネを超えると推奨できるエビデンスのある他の強オピオイド鎮痛薬はない。

  7. モルヒネの代替薬としての他のオピオイド鎮痛薬を選択するときには、それぞれの患者の状況因子への適合性と共に、薬の安全性、供給体制、薬価に配慮して決めるべきである。

  8. 病態に起因した小児の持続性の痛みの治療には、経口モルヒネの速放製剤を使用するよう強く勧告する。

  9. 小児に適用できる経口モルヒネの徐放製剤が入手可能ならば、その使用も勧告する。

  10. オピオイド鎮痛薬が不十分な鎮痛しかもたらさなかった小児では、オピオイド・スイッチング(オピオイド鎮痛薬の切り替え]を行う。そうではなく、耐え難い副作用をもたらした場合は投与量を減量する(本ガイドラインの方針)。

  11. モルヒネに加えて、モルヒネを代替しうる他のオピオイド鎮痛薬を医療担当者が入手できるようにしておくべきである。

  12. オピオイドローテーション(予め取り決めておくオピオイド鎮痛薬の慣例的切り替え)は行うべきではない。

  13. オピオイド鎮痛薬は経口投与すべきと勧告する。

  14. 経口投与が不可能な場合の代替的投与経路の選択は、臨床上の判断、製剤の入手のしやすさ、実施のしやすさ。患者の好みに基づいて行うべきである。

  15. 小児に対しては、筋肉内注射を回避すべきである。

  16. 次回分投与時刻の直前に起こる痛み、体動時痛、医療処置に伴う痛み、突出痛は、注意深く鑑別すべきである。

  17. 持続性の痛みを持つ小児は、時刻を決めて規則正しい投与を受け、また突出痛に対して適切な臨時追加投与も受けるべきと強く勧告する。
    小児における突出痛に対して、あるオピオイド鎮痛薬およびその投与経路を勧告するためのエビデンスは未だ不十分である、臨床的判断、入手性、薬理学的判断、患者の好みに基づく適切な選択肢を準備する必要がある。

  18. 病態に起因した小児の持続性の痛みに対してコルチコステロイドを鎮痛補助薬として使用することは推奨しない。

  19. 小児の骨の痛みに対してビスルホネートを鎮痛補助薬として使用することは推奨しない。
    現時点では、次の事項について勧告することは困難である:
    • 小児の神経障害性の痛みの治療における鎮補助薬としての三環系抗うつ薬および選択的セロトニン再取り込阻害薬(SSIRs)の適否について。

    • 小児の神経障害性の痛みの治療における鎮補助薬としての抗けいれん薬の適否について。

    • 小児の神経障害性の痛みの治療における鎮補助薬としてのケタミンの適否について。

    • 小児の神経障害性の痛みの治療における鎮補助薬としての局所麻酔薬の全身投与の適否について

    • 小児の神経障害性の痛みの治療における鎮補助薬としてのベンゾジアゼピン系薬およびバクロフェンの適否について


保健医療機関網に対する勧告
  1. 病態に起因した小児の持続性の痛みの標準化された治療法、そのために必要な薬、とくにオピオイド鎮痛薬の取り扱い方についての医療担当者の教育強化を勧告する。

  2. その専門的免許が許す範囲に置いて医療担当者が、付加的な免許を必要とせずに、オピオイド鎮痛薬を取り扱えるように考慮すべきである。

  3. 加えて、国はその状況に応じて、柔軟性、効率性、適用の拡大、およびケアの質の向上・拡大および/またはクオリティ・オブ・ライフ(QOL)改善のために、他の(医師以外の)医療担当者にも痛みの診断、オピオイド鎮痛薬(麻薬)の処方、調剤を許容するよう考慮するとよい。

  4. このように許容する条件は、医療行為にかかわる適格性、的確な能力、十分な研修、職業上の行為に対する個々の説明責任などを基盤とする。


この項おわり

fumikazutakeda at 00:37│Comments(0) 連載 

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