「弄巧成拙」(nong4 qiao3 cheng2 zhuo1/ノンチャオチョンジュオ)とは、うまくやろうとして、小賢しく立ち回った挙句、かえってまずい結果になることを言います。
何かやる際には、誰でもうまくやろうとします。
この時、人の意見をちゃんと聞いたのにもかかわらず、失敗してしまった場合には、この言葉は使いません。
小賢しいことを「小聡明(小聪明)」(xiao3 cong1 ming2/シャオツォンミン)と言います。
当然、いい意味ではなく、「貶義(贬义)」(bian3 yi4/ビェンイー)です。
策士策に溺れる、に近いかもしれません。
「弄」(nong4/ノン)は基本的にはいじるの意味ですが、何かをするという意味でも使えます。
食堂で、店員さんにテーブルを拭いてもらうときや、何かが壊れてちょっと修理してもらいたいとき、「弄一下」(nong4 yi1 xia4/ノンイーシア)と言えば、やってもらえます。
テーブルを拭くは「擦」(ca1/ツァー)、修理をするは「維修」(wei2 xiu1/ウェイシウ)などと言いますが、これらの言葉が出てこなくても使える、大変便利な言葉です。
「巧」(qiao3/チャオ)は巧みであり、うまいということです。
「巧」の反対が「拙」(zhuo1/ジュオ)です。
拙(つたな)い、ということで、「弄巧成拙」は、うまくやろうとして拙くなるということです。
拙者(せっしゃ)は拙い者ということで、自らをへりくだって言う言葉ですが、現代中国語で「拙者」(zhuo1 zhe3/ジュオジャ)は言わないようです。
西晋(xi1 jin4/シージン)の文人潘岳(pan1 yue4/パンユエ)の「閑居賦(闲居赋)」(xian2 ju1 fu4/シェンジューフー)の中に「是亦拙者之為政也」という一節があります。
拙者の政(まつりごと)となす、ということで、原文の前後の意味から、ここで田畑を耕して隠居するという意味になります。
蘇州(su1 zhou1/スージョウ)で有名な庭園「拙政園(拙政园)」(zhuo1 zheng4 yuan2/ジュオジョンユェン)の名前の由来ともなりました。
うまくやろうとして、いろいろ考え、やってみたものの、うまくいかないこと、よくあることです。
物事は、そう簡単にうまくいくものではありません。
また、「弄巧成拙」の次には、普通「為蛇画足(为蛇画足)」(wei4 she2 hua4 zu2/ウェイシャーフアズー)と続けることが多いようです。
日本では、蛇足(だそく)として知られていますが、中国語では「画蛇添足」(hua4 she2 tian1 zu2/フアシャーティェンズー)とも言われます。
恐らく、「蛇足」(she2 zu2/シャーズー)と言っても、「ハイッ?」と言われるだけだと思います。
これも、小賢しく振る舞って、結局お酒が飲めなくなってしまったのでした。
それにしても、勝った人がお酒を飲むという、変なゲームでした。
いや、負けた人がお酒を飲むという、現代の方が、変なのかもしれません。
お酒は飲みたいから飲むもので、罰として飲むものではありません。
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