よく言われることですが、ベトナム人には、グエンさんが多いのだそうです。

このグエン、漢字では「阮」(ruan3/ルアン)と書きます。
もともとは、中国の姓でした。

「阮」という姓の有名人には、竹林の七賢の一人であり「白眼」で有名な、阮籍(ruan3 ji2/ルアンジ)がいます。


白い目で見る

魏晋南北朝の時代、北方の異民族が攻めて来ました。

すると、これまで、俺たち中華だぜ!と威張っていた中原の人たちは、その多くが南へ逃げたと言われます。

そして、阮籍の孫である、阮放は、今の広東、広西とベトナムの北部を含む地域である、交州(jiao1 zhou1/ジアオジョウ)の刺史となりました。

ということで、阮氏は地元の名士となり、ベトナムの貴族になったと言われます。

ベトナムでは、十世紀頃から独立政権が出来、丁朝、李朝、陳朝など興りました。

ただ、政権が倒されると、今まで威張っていた人たちが殺されてしまうのは世の常です。

よって、丁さんや李さんや陳さんは、多くが、阮さんに変えたのだそうです。

例えば、1225年に、陳朝が李朝に代わったときは、多くの李さんが、阮さんになりました。

これにより、阮さんが増えたと言われます。

更に、1887年、フランスがベトナムに侵略し、植民地にした際、ベトナム人には姓のない人が多いことに気づきました。

そこで、侵略国フランスは、すべてのベトナム人に姓を持つことを強制します。

その際、これまで姓の無かった人を、すべて阮にしたのだそうです。

これにより、多くのベトナム人が、阮さん、すなわち、グエンさんになってしまいました。

どうも、ベトナム人にグエンさんが多いのは、侵略国フランスの乱暴な政策が原因だったようです。