従業員から、知っている業者があるのですが、と言われたら要注意です。
とにかくお金を払う場合は、細心の注意を払わなければなりません。
賄賂とキックバック、厳密には異なるのでしょうが、簡単に考えれば、お役人がもらうのが賄賂であり、庶民がもらうのがキックバックです。
購買価格には、往々にして、その購買担当者に対するキックバックが含まれています。
中国人の考えでは、購買担当は一つの権利、権限だと考えています。
私は実力があるから、購買担当になった、私には購入するものを選ぶ権利がある、何を購入するかは私の自由だ、だからキックバックをもらうのは当然だ、悔しかったら購買担当者になればいい、という理屈です。
よって、セールスが、購買担当者にある程度の利益を還元するというのは、もうこの国の「ルール」になっています。
信号や禁煙などのルールは一切守りませんが、お金が絡むこのルールだけは絶対に守ります。
別に、極一部の企業だけで行われていることではありません。
どこでも普通に行われていることです。
私がいつも航空券を購入しているチケット屋から聞いた話です。
こういうところは、顔なじみになると、いろいろ裏話をしてくれるものです。
ある日系企業もここでチケットを取っているそうですが、チケットを手配する担当者には、5%程度のキックバックをやっているということでした。
チケット屋が提案した訳ではなく、先方から要求してきたそうです。
5%くれるかどうか、くれればここから購入する、くれなければ他をあたる。
簡単なことです。
よって、従業員にキックバックを取らせないためには、ボールペン1本買う場合でも、少なくとも3社から見積もりを取り、価格調査をし、一番安いところから購入しなければなりません。
ただ、その3社見積もりも怪しいものです。
「懇意」の1社から見積もりを取り、その他の2社は、この「懇意」の会社にインチキの見積書を手配させるなんてことは、ここでは日常茶飯事、よくあることです。
すべてが信じられないのでどうしようもないのですが、こんなことをしていてはとても身が持ちません。
よって、ある程度の「諦め」が必要です。
従業員に手配させ、代金の10%程度は従業員へのキックバックだな、そこまでは許そう、とでも考えない限りとてもやっていられません。
まあ、10%ならましな方です。
解雇した従業員はとんでもない奴でしたが、残っている従業員も、残念ながら完全に信じることはできません。
疑いながらも、騙されたふりをして使い続けるしかありません。
人を信じることができないというのは、何とも苦しいものです。
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