誇りはどこにある

ノイジーマイノリティを叩き潰し、誇り高き日本を再建しよう。

緊急事態宣言を解除すべきこれだけの理由

1°事実確認

首相は4/7の緊急事態宣言発出を決めた記者会見で、 発出時期を決めた根拠を以下のように語っています。

東京都では感染者の累計が1,000人を超えました。足元では5日で2倍になるペースで感染者が増加を続けており、このペースで感染拡大が続けば、2週間後には1万人、1か月後には8万人を超えることとなります。  

これを指数関数で簡単に検証してみましょう。4/7時点の東京の累計感染者数が1194人。これが14日後に1万人、28日後に8万人となるケースを算出します。

a^x=1194
a^(x+14)=10000

この2つの式の両辺を割ると

a^14=10000/1194

これを関数電卓にぶち込んで、a=1.1639...

27日後:a^(x+27)=1194×1.1639^27=71899
28日後:a^(x+28)=1194×1.1639^28=83684
 
なので、2週間で1万人、1か月で8万人の計算根拠は多分これですね。

ちなみにa^5=2.135...なので、5日で倍増というのも合ってます。

さて、この2週間後の数字ですが、政府専門家会議の提言では以下のようになっています。

感染から発病に要する潜伏期間の平均値は約5日間であり、発病から診断され報告までに要している平均日数は約8日間となっています。そのため、我々が今日見ているデータは、その約2週間前の新規感染の状況を捉えたものである

これはテレビや報道でも繰り返し言われている、「我々の2週間前の行動の結果が今日明らかになる」というアレですね。

つまり、首相が会見で言った「東京では2週間後に1万人になる」というのは、発言時点での感染状況を指していたわけです。

もう1万人は既定事実であり、放置すると2週間で8万人になる…これは恐ろしい…という話ですね。


で、実際はどうであったのか。

東京都の4月21日報道発表資料によるとこの日の感染者数が123人、患者数は累計で3307人。

先の指数関数に当てはめると、新規感染者数は4/21には1400人あまりとなるはずでしたが、実際はこれまでの新規感染者数は最大で4/17の201人、そこから減り続けています。

つまり、首相が会見を行った日にはすでに山を越え、減り始めていた。しかもその山自体が、最大1400人というような大きさではなかった、ということになります。

これは大変な誤算であり、数字を出した専門家の大失態ではないでしょうか。



2°緊急事態宣言の費用と利益

ではこの大失態の問題の大きさを経済面で見てみましょう。

野村総研木内登英氏の試算では7都府県の自粛により6.8兆円の個人消費が失われ、年間GDPの1.2%に相当する大損害になります。「全国民が1年間で納める消費税の3%分」というとよりイメージしやすいでしょうか。 

これで十分な人の命が救えるのなら政策目的は果たせます。当初の政策意図は30日後に11万人以上に膨れ上がる患者数を最大値1万人に抑え込むものでした。30日の累計を単純に2倍として2万人、患者数の9万人減少ですね。ちなみに東京だけの数字なので、7都府県ではさらに大きな効果を見込んでいたでしょう。

しかし、実際は今見た通り200人を頂点とし、このまま100人ずつ増えたとしても5000人弱。緊急事態宣言前にもう減っていたのだから、宣言なしでも2万人以内に収まると見ていい。

となると、上で見た6.8兆円のマイナス経済効果だけが残ってしまう、おそるべき経済破壊政策であったことになる。

少なくとも医療崩壊阻止に関してこれは全く無効であったということです。



3°緊急事態宣言の法的な問題

経済被害だけではありません。そもそもこの緊急事態宣言は新型インフルエンザ等特措法に基づくものです。その第5条には基本的人権の尊重として以下の規定があります。

(基本的人権の尊重)
第五条 国民の自由と権利が尊重されるべきことに鑑み、新型インフルエンザ等対策を実施する場合において、国民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、その制限は当該新型インフルエンザ等対策を実施するため必要最小限のものでなければならない。  

首相は会見で「2週間後に1万人になる緊急事態」を前提にしていたのだから、そのもとで行われた施策は相当に過剰であったことになります。過剰であったことが判明した4月21日の時点から、この過剰政策を1日延期するごとに第5条に違反する行為が続けられることになる。

また、緊急事態宣言を規定している第32条5項には、以下の規定もあります。

5 政府対策本部長は、新型インフルエンザ等緊急事態宣言をした後、新型インフルエンザ等緊急事態措置を実施する必要がなくなったと認めるときは、速やかに、新型インフルエンザ等緊急事態解除宣言(新型インフルエンザ等緊急事態が終了した旨の公示をいう。)をし、及び国会に報告するものとする。

これ、完全に違法状態ではないでしょうか?


4°政治的な問題

政府といえども21日に発表される数値を7日時点で把握することは予知に属するので、間違えることもあるでしょう。その間に起きた損害は、首相に与えられた権限の行使の結果として我々有権者は甘受すべきものと思います。

しかし、これが誤った情報によるものであることが判明した以上、即座にその間違いを認め、要因の検証とともに善後策を練り直す必要があります。というか、作戦計画の中に「どういう数値が出たらどのような対応をするか」という想定と準備がなければいけません。

コロナウイルスの被害を重視する立場の人であっても、これは同じだと思います。仮に政府の見込みが全然甘くて「フタを開けてみたら感染者数が20万人を越えていた」というような場合は「もっと強硬な手段をすぐに取るべきだ」と主張するでしょう。

しかるに、21日からこのブログを書くまでの1週間に渡り、首相から政策変更に関するアナウンスがない。政権批判を期待されているはずの野党やマスコミからも、こうした観点からの批判が全くなされていない。あまつさえ、5月6日の緊急事態解除は難しいのではないかなどという全く逆方向の観測気球まで上がっています。

これは「コロナウイルス撃退のために経済を停止し人々の生活を締め上げろ」という空気に支配された翼賛体制ができあがってるのと何ら変わりありません。

首相は「解除は専門家の提言もいただきながら判断したい」と言っていますが、これは政治責任の放棄であり、また自ら数値で出した仮定が崩壊してなお作戦を変えないことこそが非科学的な政治判断であるといえます


そもそも緊急事態宣言は必要な要件が揃った時にだけ発出が許されるものであり、要件が1つでも欠けたらその効力を無効とすべきなのではないでしょうか。緊急事態をデフォルトであるかのように考え始めている空気にも非常に恐ろしいものを感じています。

前提が崩壊した緊急事態は今すぐにでも解除すべきです。


【入門マクロ経済学】名目値と実質値について

マクロ経済政策を語るのなら、名目と実質の意味を正しく踏まえて発言してほしい。本エントリはそのための基礎知識を書いておきます。

私もマクロ経済学の初学者なので間違いがあれば指摘に応じて適宜訂正していきます。よろしくお願いします。

いきなり例題から入りましょう。日本と韓国、どちらの世帯収入が多いのでしょうか? 

軽くググってみると「韓国の平均年収は3475万ウォン、日本の平均年収は432万円」という記事が見つかりました。

これを見て「おお、韓国の方が8倍も収入が多いのか」と思う人はいませんよね。通貨の単位が違うのですから。現在のレートが1ウォン=0.093円だから、韓国の平均収入は約323万円になります。通貨の単位が統一されてはじめて、どっちの収入が多いのかが明らかになりました。

マクロ経済指標を見るとき、名目値から実質値を計算するのもこれと同じことです。

では、実質値の定義を確認しましょう。内閣府のサイトには以下の簡単な説明があります。

名目値とは、実際に市場で取り引きされている価格に基づいて推計された値。実質値とは、ある年(参照年)からの物価の上昇・下落分を取り除いた値。
名目値では、インフレ・デフレによる物価変動の影響を受けるため、経済成長率を見るときは、これらの要因を取り除いた実質値で見ることが多い。

はい、なんのことだかすぐにはわかりませんね(笑)

正確さを犠牲にしてごく簡単に説明しましょう。

ある人の平成10年の給料が20万円、平成20年の給料が40万円なら、この人の収入は2倍になっているのか?

…ここで、先ほどの日韓の比較と同じ問題が出てきます。もし、この10年間で物価が2倍に上がっていたら、平成10年の円(H10)と平成20年の円(H20)はあたかも他国の通貨のように扱う必要がある。この場合は1円(H10)=2円(H20)というレートになります。すると、20万円(H10)=40万円(H20)だから、この人の収入は全く増えていません。

このレートを計算するための数値を「デフレーター」と呼んで統計部局が算出しています。

経済統計を取るときは現実に「何円の取引があったか」で推計するしかないのですが、同時にデフレーターを確定するために別途「物価水準はいくら変動したか」も推計し、2時点間の比較を正しく行おうとしてるわけです。「何円の取引があったか」が名目値で、それをデフレーターで換算したのが実質値です。

ここまで理解したところで、実際の日本のGDPの動きを世界経済のネタ帳から拾ってみましょう。

まず、名目GDPから。数値は概数でいきます。

1997年:534兆円
2017年:545兆円 

はい、たったの2%しか成長してない、と言う人はもういませんね。なぜなら、1円(1997)と1円(2017)はそれぞれ別の国の通貨のようなものですから。ここからわかるのは、「もし、この間の物価変動がなければ2%」ということです。

ここで、物価水準を把握するための「GDPデフレーター」が登場します。

1997年:117.27
2017年:102.82 

これで各年度の名目GDPを割り算したのが(基準値100だから100倍で戻したのが)実質GDPです。

1997年:455兆円
2017年:530兆円 

これでみると、20年で日本経済は16%以上成長しています。ウォンより円の方が価値が高いのと同様、1997より2017の円の方が価値が高いのですね。

このように、「実質的にこの金額にどんな価値があるのか」 を知るのが実質値なんです。(そのまんまやないかい。)



いや、円の価値が上がっちゃダメなんだ、デフレでは私は不幸なんだ、インフレでないと幸福感が得られないのだ、というのならその価値観はあなたのものとして大事にしてください。ただし、マクロ経済学ではこの実質GDPが大きくなることを「経済成長」と呼んでいます

従って、GDPは実質を無視して名目だけで評価するという立場はマクロ経済学と別の体系で語るべきです。そもそも実質を見る必要がないなら、デフレーターなど無用の長物ですね。物価が上がっても取引量が増えてても名目は上がるんですから要因分析も不要。先ほど説明した統計の手間を半分にすることができます。 

もちろん私は実質値を重視します。年収500万円より50万ドルの方が嬉しいから。 

ドーマー条件を四則演算だけで説明してみた

モバイル用サイトでは数式が表示されないことがあります。PC版でお読みください。

■ドーマー条件って何?

ドーマーさんが考えた定理。政府が財政破綻しないためにはどうすればいいか、という一つの考えです。(先にお断りしておきますが、ここで出てくるGDP等は全て名目GDP等となります)

「政府債務残高の対GDP比」が計算上で無限大になってしまうと、政府の信用が崩壊して財政破綻とみなされます。そうならないための条件です。

「政府債務残高の対GDP比」とは、政府債務残高を\(D\)として、GDPを\(Y\)と置くと、 \( \frac{D}{Y}\) ですね。百分率で見るには100倍して”%”つければいいです。

ここでは政府債務残高が増えていく中での \( \frac{D}{Y}\) を見たいので、今年の残高を\(D_0\) 来年の残高を\(D_1\)  としましょう。同じくGDPも今年が \(Y_0\) で来年が \(Y_1\) とする。
\( \frac{D_1}{Y_1} > \frac{D_0}{Y_0}\) ・・・(1)

なる状態が続く(だろうとみんなが思う)とアウト、というわけです。


■政府の借金はどうなると増えるの?

さて、来年の債務残高はどうやって計算するかってのは、小学生でもわかりますね。

(今年の残高)ー(収入)+(支出)=(来年の残高)

です。借金なのでプラスマイナスに注意。

ドーマー条件では上の「支出」を「利払い費」とその他の「政府支出」に分類します。「利払い費」は借金の利息なので、国庫から出ていくけど直接には何の役にも立たない。「政府支出」は政府の事業目的のために支払われるものです。

そこで、収入を\(T\)、利払い費を\(I\)  、政府支出を\(G\)とおくと、次の式になります。

 \(D_0 - T + I + G = D_1\) より、
 \(D_1 = D_0 + I - ( T - G ) \) 

この \( T - G \)  が、よく言われるプライマリー・バランス(基礎的財政収支)ですね。平たくいうと、「その年の収入で国家の事業ができますか?」ということ。簡単のために、これを\(P\)とおきます。

  \(D_1 = D_0 + I - P \) ・・・(2)

当然、利払い費\(I\) が多いほど借金は増えていき、プライマリー・バランス\(P\)がマイナスになるほど借金が増えます。ちなみに平成30年度一般会計予算では \(I\) がおよそ9兆円、\(P\) がおよそマイナス10兆円。


■分母のGDPも変わるよね?

次に、GDPについて考えましょう。来年のGDPを今年のGDPで割り算すると成長率が算出できますね。成長率を \(g\)  %とすると、
  \(Y_1 = Y_0 (1 + \frac{g}{100}) \) ・・・(3)

(2),(3)の式を(1)に代入して、

\(\frac {D_0 + I - P}{Y_0(1+ \frac{g}{100})} > \frac {D_0}{Y_0} \)

 分母を払って整理すると、

\( 100(I-P) > D_0g\) ・・・(4)

だいぶスッキリしてきました。


■税収と支出を一旦棚上げしよう

さらに簡単のために \(P = 0\) の場合を考えてみましょう。いわゆるプライマリー・バランス0、基礎的財政収支が均衡した状態で、それでも財政破綻するのはどういう時か。

ここで、利払い費 \(I\) の性質を考えます。借金の利息は、借金の残高に金利を掛け算したものですね。だから金利を\(r\)  %とおけば、

\( I = D_0 \cdot \frac{r}{100} \) ・・・(5)

式(4)に\( P = 0 \)と(5)を代入すると、
\( r > g\)

おお、ついに出ました。ここから導き出されるのは、

【命題】(金利)>(成長率)だと基礎的財政収支が均衡していても政府債務の対GDP比は発散する。

逆に、(金利)<(成長率)ならば基礎的財政収支が均衡しているだけで政府債務は年々軽くなっていく、というわけです。


■マクロ経済学者はなぜ金利を重視するの?

世間には「プライマリー・バランスなんてくそくらえ、あんなの竹中のデマだ」と言う人もいますけど、標準的なマクロ経済学のあいだでは「プライマリー・バランスを0にしてもなお、金利が問題になる」という極めて慎重な(?)意見が出てくるわけです。

金利とは簡単にいうと「今年の100円は、来年の100円に金利を足した分と同じ価値ですよ」ということだから、(金利)=(インフレ率)なら損得なしになるわけです。

要するに、インフレになるほど金利は上がりやすいわけです。

先ほどの命題と合わせると、インフレが起きた時にそれ以上の成長率がないと財政破綻のリスクが上がるね、ということ。経済学者が「異次元緩和の出口戦略はどうなってんの?」というのもこれで、緩和政策に失敗した時(デフレ)のことよりも、成功して金利が上がった時の問題を議論してるわけ。

変動金利で住宅ローン組めばみんな「金利上がるな!下がれ!」と念じたくなるでしょ。それと同じことです。

また、リフレでインフレにできると豪語した人たちがあっさり遁走した事実からもわかるように、インフレ率も金利も思い通りにできないことを考えれば、金利がちょっとぶれただけで大やけどしないよう、\(D\)の値をなるべく小さくしておくというのが常識的な安全策だと思いますよ。
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新人類世代、3児の父です。
都内で建設業関連の商売をしています。

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