古谷禎朗 -木美求真-

Japanese kogei furniture

 第44回日本伝統工芸近畿展-古谷禎朗


創作の要の一つとしている「指物と刳り物の調和的融合」をふんだんに活用した作品。

いくつか試作を重ね、脚の開きや貫の位置、最も大切な脚から天板先端まで続くラインを練り悩み、原寸大のモックアップでも検討し、このカタチに収まった。

それぞれの部材の厚みは25~30ミリあったが、仕口の加工が終わり、曲面に削り出すと元の厚みを感じさせない程薄くなる部分もある。

4つの部材を接合後、自然に流れて見えるように削り出していく「摩り」の工程になる。
その際、特に貫と脚の接合部は角材から板の面に溶け込む様に留意してラインを出す。この場所は小刀でも届きにくいので忍耐を要するが、慎重に進めるほかない。

こうした苦労もあり出来上がった今作だが、ウォールナットの細かな縮み杢も明瞭に出てくれて一連の作の中でも気に入っている一品。

例えば、青磁の香炉などを置いてしつらえて貰えればと思う。




FURUTANI-09-c



仕事始めや終わりによく散歩をする。山の変化や川の流れ、鳥や虫を観たり、ケモノの足跡を見つけてみたり。

この時期の楽しみはなんといっても野花を観ること。
名は知らなくても、いいなと感じる花があればこういった「花入れ」に入れて愉しむ。

このカタチは僕が作るモノの中では有機的で、奇抜ともとれるかもしれない。
着想はどこからというと空にかかる虹だったり、ツノゼミやヘラクレスだったりと自然物に導かれて頭の中でずっと眠っていたカタチだった。

幾つか同じタイプは作ったが、型は一切使わず、このカタチに合う材に直接、即興的に線を走らせ、荒取った後は目と手を頼りに整えていく。

材の献保梨は杢が詰まり刃の受けも良く、気持ち良く加工できた。

磁器の筒は知人の陶芸家に依頼している。






SINSYO-3d


叶えられたかどうかは別として、今まで作品制作に掲げる理念は常に「普遍の美と品格」だった。しかし時間が経つにつれ、少し心境が変化していた。
そこで今作では「インパクト」というものを意識し、自分なりに挑戦と実験を試みることにした。


翼を広げて羽ばたく様をイメージして天板を大胆に伸ばした。その下に少し空間を持たせ、浅いものから深いものへと抽斗を連ねる。
平面的になりがちな箱物に奥行きを感じられる構成を取り入れた。

自分なりの挑戦となるポイントは他にもある。まず天板に大きな節穴が入った材を使用した事。下段に飾ったモノに光が斜めから当たる事を狙っての事だが、そんな都合の良い材はそう見付からない。
取りかかる数年前からこの構想が有り、ようやくその条件に合う材と出会うことで実現出来た。

そして、今回最も挑戦的な部分となる取っ手。
抽斗前板の厚みを半分削り、残した中央を掴む削り出しの取っ手。
形の選択肢に自由度があったので、剣やクチバシ等を思わせる象徴的な形状とした。

これらが功を奏したのか出品した展覧会では高評価を頂き、連続の受賞となり驚いた。






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