ニューヨーク近代美術館やロサンゼルス現代美術館にも作品が所蔵されている、現代美術作家の奈良美智(なら・よしとも)さんは弘前市の出身です。奈良美智さんは昇天教会に近い吉井酒造煉瓦倉庫で過去三度の個展を開いてきました。特に2006年に開いた個展・奈良美智+graf「A to Z」は、4000平方メートルの煉瓦倉庫の中に44の小屋を作って展示するという大がかりなもので、2億5000万円もの経費がかかったといいます。
しかし約850人のボランティアが参加し、最終的には2400万円の黒字を出すことができ大成功に終わりました。実行委員会は、恒久的に残る作品の制作を奈良美智さんに相談したところ、ノーギャラで「作品」を作ってくださり弘前市に寄贈されました。それが、展覧会場だった煉瓦倉庫の前の吉野町緑地公園に置かれた「AtoZメモリアルドッグ」です。
この作品は、柵で仕切られることなく直接触ることができるトップ美術作品で、人によっては「犬」の背中まで登り記念写真を撮ると聞いたことがあります。しかしどうもそれは行き過ぎだったようです。 昨日、その「AtoZメモリアルドッグ」が設置されている吉野町緑地公園から撤去され、塗装し直しのために「ドック入り」しました。犬の背にハイヒールなどをはいて登ろうとしたために足もとなどが傷ついてしまったからです。
秋には塗装し直され、またこの場所に戻って来る予定です。ぜひ今までのように、登ることは論外にしてもさわれる作品のままであってほしいと願っています。これだけすばらしい作品に直接さわることがきたからこそ、「AtoZメモリアルドッグ」がすぐそばにある保育園の園児をはじめ市民に愛される存在となっていたからです。
※追記 今朝、「AtoZメモリアルドッグ」を移動したあとの吉野町緑地公園に行くと、次のようなメッセージが記された看板が設置されていました。
「AtoZメモリアルドッグはちょっと旅行中です‥‥ AtoZメモリアルドッグは、背に登ろうとする心無い行為によって塗装が傷つけられたため、場所を移して修復を行います」
「AtoZメモリアルドッグ」の帰還
私たち力のある者は、力のない人たちの弱さをになうべきです。自分を喜ばせるべきではありません。私たちはひとりひとり、隣人を喜ばせ、その徳を高め、その人の益となるようにすべきです。キリストでさえ、ご自身を喜ばせることはなさらなかったのです。