フトアゴヒゲトカゲ・マニュアル出版ブログ

The Bearded Dragon Manualの翻訳・出版に関する情報を記載します

2011年07月

カルシウムのサプリメント

カルシウムはアゴヒゲトカゲにとって、健康的な骨の成長に欠かせない栄養素です。トカゲにカルシウムを多く含む餌を与えることはもちろんですが、餌の内容に関わらず、カルシウムのサプリメントを加える必要があります(ただし、栄養的にバランスの取れた完全な乾燥ペレット飼料のみを与えている場合には、サプリメントを使用する必要はありません)。ほとんどのサプリメントはビタミンとミネラルを重視し、トカゲの必要に見合った充分なカルシウムを供給できていません。そのため、多くの場合には、2種類のサプリメントが必要になります。ビタミンおよびミネラル(少量のカルシウムを含む)を含んだものと、カルシウムが主成分のもの(炭酸カルシウム、骨粉、イカの甲など)です。 
最もカルシウムを必要とするのは、幼体と、産卵を控えたメスです。サプリメントの適切な量は、トカゲの年齢、大きさ、飼育環境(室内または屋外)、カロリー摂取量、餌から摂取できるカルシウムの量、そして餌に含まれているリンやビタミンD3などカルシウム以外の数種の栄養素の量によって変わります。一般的には、幼体のトカゲには毎日あるいは1日おきにカルシウムのサプリメントを与え、成長して体が大きくなるにつれてその頻度を減らします。
アゴヒゲトカゲは、摂取する餌の乾燥重量に対し1〜1.5%のカルシウムと、およそ0.5〜0.9%のリンを必要とします。餌中のカルシウムとリンの比には、常に注意が必要です。カルシウム対リン(Ca:P)の比は、1:1から2:1の間でなければなりません。しかし、比よりも、餌から得る食餌性のカルシウムおよびリンの量が重要です。例えば、餌に含まれるカルシウムが0.4%、リンが0.2%だったとすると、カルシウムとリンの比は2:1ですが、量的には不足しており、この餌を与えられたトカゲはカルシウム欠乏が進むかもしれません。
一般的に手に入るカルシウムのサプリメントを見ると、カルシウム含有量のうち40%は炭酸カルシウム、38%は石灰石、18%は乳酸カルシウム、9%はグルコン酸カルシウムの形で含まれています。カルシウムとリンの含有量は、骨粉ではそれぞれ24%と12%、第二リン酸カルシウムではそれぞれ24%と18%です。

サプリメント(栄養補助剤)の重要性

アゴヒゲトカゲの餌のほとんどには、栄養サプリメントを加える必要があります。餌の中には、栄養的に完全な、あるいはバランスの取れたものがほとんどないからです。無脊椎動物(コオロギ、ミールワーム、スーパーワーム、ワックスワーム)には骨格がないため、カルシウムが欠乏しています。また、数種のビタミンや微量ミネラルも不足しています。植物性の餌(葉野菜、ニンジン、バナナなど)には、カルシウムや特定のアミノ酸、脂肪酸、微量ミネラルなどの様々な必須栄養素が不足しています。
一般的に、幼体のアゴヒゲトカゲには、毎日サプリメントを与える必要があります。成長したら、徐々にサプリメントを加える率を減らしていき、毎週あるいは隔週で与えるようにします。
アゴヒゲトカゲに必要なサプリメントの種類と量は、様々な要因によって異なります。例えば、屋外で、地面に接触できる環境で飼育されているトカゲは、日光に当たることでビタミンD3を生成し、土に接することで多数の微量ミネラルを摂取します。しかし、室内で飼育されているトカゲには、こうした必須栄養素を餌に含まれる形で与える必要があるでしょう。この章では、サプリメントの使用に関する最も一般的な方法を取りあげます。

餌と水を与える頻度

幼体のアゴヒゲトカゲには、通常、1日に2〜3回と頻繁に給餌をします。トカゲが成熟するにつれて給餌の頻度は徐々に少なくなり、若い成体では1日1回となります。より高齢の成体には、1日に1回、または1日おきの給餌でよいでしょう。
成功しているブリーダーの中には、アゴヒゲトカゲには1週間に3回しか水を与えていない人もいます。また、常に水を供給しているブリーダーもいます。このうちどちらの方法が、適切でしょうか?アゴヒゲトカゲは、オーストラリアの内陸の乾燥した地域で進化し、乾燥した環境と、限られた水分量に適応しています。さらに、トカゲの餌として我々が推奨する無脊椎動物や野菜などの多くには、水分が含まれています。一部の飼育方法で飼われている場合、特に屋外で飼育されている場合などは、毎日水を与える必要はおそらくないでしょう。ただし、室内で、特に暖房された家で飼育されているトカゲや、乾燥ペレット飼料を食べているトカゲには、毎日水を飲める状態にしておくと有益です。ペットとして室内で飼育されているトカゲは全て、浅い容器に入れた清潔な水が飲める状態にしておくことをお勧めします。

高品質な餌

アゴヒゲトカゲに与える餌は、全て健康的なものでなければならず、また、新鮮であるか、適切な保存処理が施されたものでなければなりません。コオロギ、ミールワーム、その他の餌用無脊椎動物には、バランスのとれた餌を与える必要があります。ブリーダーはこうした餌用無脊椎動物の餌として、細かく砕いたドッグフードかげっ歯類用または家禽用飼料、さらに、新鮮な果物、葉野菜、スライスした果物を与えてきましたが、現在では、コオロギ専用の配合飼料も販売されています。餌用昆虫の消化管内にバランスの取れた餌が入っていれば、アゴヒゲトカゲがそれを捕食した後に、吸収されてアゴヒゲトカゲの栄養の一部となります。なお、ワックスワームには、グリセリン、蜂蜜、細かく挽いた穀物、ビール酵母などの特別な餌が必要です。餌用無脊椎動物の飼育容器は、定期的に掃除しなければなりません。

植物性の餌に除草剤や殺虫剤が使用されている可能性がある場合、与える前に洗っておいてください。市場で購入した農作物は、ビニールワイヤーやプラスチック片、輪ゴムなどの危険な物が付いていないか、よく確かめてください。こうした物は、トカゲにとって致命的となる消化管の異常につながる可能性があります。リンゴやナシなどの表面のシールは、はがしておいてください。人間の食用として現在市販されている冷凍野菜は、良好な状態で保存されており、ビタミンやその他の栄養素の損失がほとんどありません。冷凍食品は解凍してから与えます。

農作物で人間が食べると考えられる部位は、食用にされず捨てられる部位と比較して、除草剤や殺虫剤の濃度が低くなっています。そのため、メロンやキーウィの皮など人間の食用にはならないとされる部分を餌に使う場合は、特に注意してください。

ペレット飼料や干し草を原料とする製品は、光、空気、あるいは熱にさらされると、栄養価が比較的急速に劣化します。例えば、ビタミンAの前駆体であるベータカロチンの含有量は、収穫後6ヵ月までに50%以下に低下します。しかし、市販されているペレット飼料や干し草を原料とする製品のほとんどは、店に入荷されるまでに少なくとも収穫から数ヵ月は経過しています。我々は、アルファルファかクローバーを主にした製品で、緑色を失っていないものを選んでいます。

サプリメントには、品質保持期限があります。多くのビタミンは、光、空気、熱にさらされると分解してしまいます。微量ミネラルとの接触によって、酸化するものもあります。有効期限が表示された製品を選び、サプリメントは少なくとも4ヵ月毎に買い替えることをお勧めします。

 

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