洋画55本、邦画27本、あわせて82本を鑑賞し、昨年の70本を超えました。
4.5日に一本のペースで妻も呆れ顔。本人は「映画は英語のヒアリングの勉強になる。遊んでるみたいに言わんといて」とのこと(昨年もそう言ってた気が、笑)。
時々、毒舌のレビューがありますが子どもにはそう見えておりそのままいきます。
今年の映画など何でもありです。最後に主演男優・女優賞など“ふうデミー賞”を決定。
〔1964〕
ゴッホやベートーヴェン、ジョジョに囲まれた部屋で“風(ふう)”がどう成長していくか見守る日記。
1999年公開の傑作カルトSFコメディ『ギャラクシー・クエスト』を満を持して鑑賞!
『ギャラクシー・クエスト』は「スター・トレック」のパロディーであり、最近スター・トレックの
TVシリーズをガチ見していたのは、『ギャラクシー・クエスト』を五臓六腑で楽しむためだった。
ストーリーは奇想天外。星間戦争で絶滅寸前の宇宙人が、ひと昔前の地球のテレビ番組「ギャラクシー
クエスト」を観て、本当の話と勘違い!番組では地球人の宇宙船プロテスター号がどんなピンチも
知恵と勇気で突破していた。宇宙人がわらにもすがる気持ちで出演俳優たちに「救援」を要請すると、
仕事にあぶれていた俳優たちが“新しいSF番組のオファーだ!”と浮き足だって引き受け、宇宙戦争の
最前線に立たされる というもの(俳優はテレビのロケと思っている)。
(1)パロディといってもアラン・リックマン(ハリポタのスネイプ先生)やシガニー・ウィーパーと
いった名優が本気で演じており、B級映画のテイストで撮られた超A級ムービーだ
(2)スター・トレックでおなじみの転送装置や名セリフが登場し、終始笑いが絶えず(^^)
(3)最初は本当の宇宙戦争に巻き込まれて逃げだそうとする俳優たち。だが、持ち前の正義感に
火がつき、往年のテレビ番組「ギャラクシー・クエスト」のように大活躍する
(4)トカゲヘッドの科学主任は、ミスタースポックのパロディ
(5)俳優たちが乗船する『プロテクター号』。コメディでも特撮は本格的!
(6)危機に直面した俳優たちは、テレビシリーズのファンの知恵を借りながら、様々なピンチを
切り抜けていく。俳優とファンが協力して宇宙を平和にするという、心が激アツになる展開
(7)たたみかけるようなクライマックスに、身を乗り出して鑑賞
(8)「オメガ・サーティーンを始動しろ」。果たして“オメガ・サーティーン”とは何か!?
鑑賞後のふう。「どんどん話が大きくなっていって、どんでん返しもあるし、ほんと楽しかった!」
僕「地味なキャラクターもみんなに見せ場があって、練りに練られたストーリーと思う」
ふう「SFファンの男の子が、大人たちに名案を教えるのが面白かった」
これで、ふうが『映画ベスト100』を作成するだけの名画は一通り鑑賞した!さあ、まとめよう!
ふう「レオニダスのスパルタ・キック、とんでもないパワーや!」
(3)スパルタ兵「この谷は絶対に通過させない!」
ペルシャ軍100万に対するのは、わずか300名のスパルタ兵。だがレオニダスには勝算があった。
敵がスパルタの領地に入るためには、テルモピュライという狭い谷を通らねばならない。
たとえ100万の軍勢であろうと、谷を通過するときは細長い行列にならざるを得ず、先頭が数名になる。
そう、スパルタは精鋭兵でもって、ペルシャ軍の先頭を叩き続ければいいのだ。
(4)ふう「300対100万なんて、すぐに勝負がつくと思っていたけど、これならいけるかも!」
(6) テルモピュライの峡谷は海岸線にあるため、ペルシャ兵は大軍ゆえに断崖から海に落ちる者も
(8)しかしやはり多勢に無勢、次第にスパルタ兵の数が減っていく。全滅を前に部下は言う
〔覚えておきたいギリシャ神話の神々と英雄たち〕
※()内はローマ神話や英語の読み方
最も有名な神「ゼウス」が世界を支配するのは3番目の王朝。
《ギリシャ宇宙・原初の時代の神々》
●カオス…最初の神カオス(混沌)から世界は始まった。単身で大地の女神ガイア、奈落(地の底)の神タルタロス、愛の神エロス、夜の神ニュクス、闇の神エレボスの5神を生む。
●ガイア【重要】…大地の女神。ゼウスの祖母。単独で天空神ウラノス、海の神ポントス、山の神ウーレアを産んだのち、子のウラノスを夫としてさらに男神6人と女神6人のティタン(巨神)十二神を産む。十二神のクロノスとレアは夫婦になり「ゼウス」を産んだ。
※ティタン十二神…海洋神オケアノス(娘3千人)、テテュス(オケアノスの妻、ヘラの乳母)、太陽神ヒュペリオン(太陽神ヘリオス&月の女神セレネの父)、テイア(ヒュペリオンの妻)、イアペトス(アトラス、プロメテウスの父)、クレイオス(孫に西風の神ゼピュロスほか風神)、クロノス(ゼウス、ポセイドン、ハデスの父)、レア(クロノスの妻)、掟の女神テミス、追憶の女神ムネモシュネ(9人のミューズの母)、ポイベ(アポロンを産んだレトの母)、コイオス(ポイベの夫)。
●タルタロス…カオス(混沌)に次いでガイア(大地)とともに生じ、ガイアと交わり最強の怪物テュフォンやエキドナ(ケルベロス、スフィンクス、キマイラの母)をもうけた。タルタロスが支配する領域は冥界よりもさらに深い最下層の暗黒界。神々への反逆者が落とされる底なしの奈落(ならく)であり、タルタロスの名前はそのまま奈落の牢獄を指すものとなった。
●エロス(キューピッド)…愛の神。カオスの息子。男女両性を結びつける力として万物に先だって存在し、神々のうちで一番若く、翼を持ち弓と矢を携える。時代が下ると悪戯好きの幼児の射手や、アフロディテ(ヴィーナス)の子とされるようになった。美少女プシュケーを愛している。
●ニュクス…夜の女神。兄であり夫のエレボス(闇の神)との間に、「昼の女神ヘメラ」、「天上の輝く大気の神アイテル」を産む。他にも、ニュクス単独で「優しい眠りの神ヒュプノス」、「死の神タナトス」(英雄の魂はヘルメスが、凡人の魂はタナトスが冥府に運ぶ)、「復讐(義憤)の女神ネメシス」、「災いの女神エリス」(トロイア戦争を引き起こす)ら、15神を超える神を生む。
※ニュクスと娘ヘメラが夜と昼の対、エレボスと息子アイテルが天上の光明と地下の暗黒の対、表裏一体になっている。
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《ウラノス王朝》
●ウラノス【重要】…最初に世界を支配した最高神。大地の女神ガイアとの間にティタン十二神をもうける。続けて一つ目の巨人キュクロプスや、百腕の巨人ヘカトンケイルが産まれると、ウラノスは彼らの容姿を嫌って地の底タルタロスに幽閉した。これに怒ったガイアは息子たちに報復を呼びかけ、末っ子のクロノスが応えた。クロノスは大鎌で父ウラノスを去勢&退位させ、自身が宇宙の支配者となる。
●オケアノス…水の神。ウラノスとガイアの子。ティタン神族の長兄。同じティタンの妻テテュスとの間に、あらゆる河川の神々と三千人の娘を生む。長姉は冥界の大河の女神ステュクス(勝利の女神ニケの母)、他にクリュメネ(プロメテウス母)やカリロエ(エキドナの母)など。オケアノスはオーシャン(Ocean)の語源となった。
●ヘリオス…太陽神。4頭の馬の引く戦車で毎日東から西へと天空を横切り、夜間には黄金の杯に乗って大地のまわりを流れる大河オケアノスを渡り東へ戻るという。ティタン神族。
●キュクロプス(サイクロプス)…ひとつ目の巨人、ブロンテス、ステロペス、アルゲスのこと。クロノスによりウラノスの性器が切り取られた際に滴り落ちた血をガイアが受胎し産み落とされた。
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《クロノス王朝》
●クロノス(サトゥルヌス/サターン)【重要】…2代目の最高神。ティタン神族。姉である大地の女神レアを妻とする。クロノスは父ウラノスから玉座を奪ったが、父に「お前も自分の息子に王位を奪われるだろう」と予言され、この言葉を恐れるあまり、レアとの間にできた子供を次々と飲み込んだ。これを嘆いたレアは密かにクレタ島の山中で末っ子「ゼウス」のお産をすませ、夫には産着に包んだ石をゼウスの代わりに飲ませた。その後、ゼウスはクレタ島のニンフ(精霊)に育てられる。
成長したゼウスは食べられた兄姉たちの仇を打つため父クロノスに戦いを挑み、ゼウスを盟主としたオリュンポスの神々と、クロノス率いる巨神族ティタンとの史上最大の戦い『ティタノマキア』が勃発し、10年に及ぶ激戦となった。
この際、ゼウスが祖母ガイアからもらった嘔吐薬を、ゼウスの最初の妻メティスがネクタール(神酒)に混ぜてクロノスに飲ませたことから、ポセイドン、ハデス、ヘラ、デメテル、ヘスティアと、飲み込んだ際とは逆の順で吐き出した。彼らは兄弟の力を合わせてクロノス率いるティタン神族の王朝と戦った。ゼウスはガイアの助言を受けて、奈落(冥界のさらに下、タルタロス神の領域)に幽閉されていた三人のキュクロプス(一つ目の巨人)と三人のヘカトンケイル(百手巨人)を解放。キュクロプスは御礼としてゼウスに最強の武器「稲妻」を、ポセイドンに「三叉の矛」を、ハデスに「隠れ帽」を与えた。ゼウスの雷火で地球は焼き尽くされ、天界は崩れ落ち、ポセイドンは三叉の矛で地球を揺らし、ハデスは隠れ帽で姿を消して敵の武器を奪った。こうしてオリュンポスの神々は勝利し、クロノスら不死のティタン神族はタルタロスの奈落へ封印された。
※同名の「時間の神クロノス」とは別の神。
●レア(レイア)…クロノスの妻。ティタン神族。クロノスとの間にオリンポス十二神の半数となる、長女ヘスティア、次女デメテル、三女ヘラ、長男ハデス、次男ポセイドン、三男ゼウスをもうける。レアは大地の女神キュベレーと同一視されることもある。
●ギガス/ギガンテス…巨人、複数でギガンテス。大地の女神ガイアは、息子クロノスが率いるティタン神族と、孫ゼウスが率いるオリュンポスの神々の大戦『ティタノマキア』ではゼウスを支援したが、勝者となったゼウスがティタン神族を地獄タルタロスに幽閉したため反発。ガイアにとってはティタン神族も愛しい我が子。ガイアはタルタロスから彼らを解放するため、たくさんのギガスを生み出して戦をけしかけ『ギガントマキア』を起こすが、ゼウス側に敗れる。
●イアペトス…ティタン十二神の1柱。オケアノスの娘クリュメネとの間に、アトラス、プロメテウス、エピメテウス、メノイティオスをもうけた。『ティタノマキア』でゼウス側に敗れタルタロスの領域に落とされる。
●アトラス…巨神のティタン神族の一人。オリンポスの神々との戦い『ティタノマキア』に敗れ、罰として世界の西の果てで、天と地が接触しないよう天球(天界)を支える役を課せられた。ティタン神族オケアノスの娘プレイオネとの間にプレアデスと称される7人の娘をもうけた。そのうち長姉マイアはゼウスとの間に伝令神ヘルメスを産んでいる。マイアの祭日である5月1日は供物が捧げられ、メーデーの起源となった。ちなみに、プレアデスの7人は狩人オリオンに追われて星になり、 “首飾り”という意味の昴(すばる)に。その美しさから清少納言も枕草子で「星はすばる」と歌っている。
★プロメテウス【重要】…ティタン神族の一人。水と泥土から人間を創り、知恵と技術を教えた。イアペトスとクリュメネの子。アトラスの弟で、エピメテウスの兄。プロメテウスはティタン神族であるが、神々の大戦『ティタノマキア』ではゼウス側の勝利を予見してゼウスに味方した。それゆえ敗者のティタン神族がタルタロスの牢獄に投げ込まれても、彼だけは天界や人間界を自由に移動することを許された。人間愛の強い彼は、ゼウスへの捧げ物(牛の部位)を決める際、人間の味方をしてゼウスの裏をかき、神には骨が捧げられ、美味な肉は人間の食べ物にした。怒ったゼウスは人間から火を奪って使えなくするが、プロメテウスは天上の火を人間のために盗み与える(もしくはこのとき初めて人間は火を得たとも)。ゼウスは激高し、プロメテウスはカフカス山の岩に鎖で繋がれ、大鷲に肝臓をついばまれるという刑期3万年の責め苦に毎日あう(不死ゆえに肝臓は夜中に再生)。旅の途中のヘラクレスが大鷲を射落としてプロメテウスを救い出した。
●パンドラ…ギリシャ神話の「人類最初の女性」。天の火を盗んだプロメテウスを罰するためにゼウスが鍛冶神ヘファイストスに粘土で造らせた。ゼウスはプロメテウスの弟エピメテウスの妻となるパンドラに「全ての悪と災い」を封じこめた小箱(壺 とも)を持たせた。パンドラは「開けてはならない」と警告されていたこの箱を好奇心から開けてしまい、あらゆる疫病や災いが飛び出す。急いで蓋をすると、箱の底に希望だけが残った。
その後、人間が武器を手にして争うようになり、アルカディア王とその子らが、不信心なうえゼウスに人肉を食べさせようとした事件が起きる。ゼウスは人間に愛想を尽かし、いったん滅亡させて新しい種族を作る決断を下す。そして大洪水を起こしほとんどの生物を滅ぼした。事前にプロメテウスから警告を受けていた、プロメテウスの息子デウカリオンとその妻ピュラー(プロメテウスの弟エピメテウスとパンドラの娘)は、箱船を造って生き延びる。彼らは9日間水上を漂い、中央ギリシャのパルナッソス山に漂着した。この地でデウカリオンが投げた石から人間の男が誕生し、ピュラーが投げた石からは人間の女が誕生し、再び地上には人間があふれるようになった。
※「デウカリオンの洪水」や聖書「ノアの箱舟」の元ネタは紀元前3000年ごろのメソポタミアの大洪水とみられる。
●アシア(Asia)…オケアノスの娘。プロメテウスの妻になったという説がある。地名アジアの由来とも。
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【ゼウス王朝~オリュンポス十二神】
★第一世代~クロノスとレアの子どもたち
(1)ゼウス(ユピテル/ジュピター)【重要】…最高神、雷神。気象を支配。2代目最高神クロノスの息子で母はレア。ハデス、ポセイドンの弟。女性が大好き。最初の妻はティタン神族の「知恵の女神メティス」(アテナの母。オケアノスとテテュスの娘)、二番目の妻は「掟の女神テミス」(ウラノスとガイアの娘)、三番目の妻が結婚の女神ヘラ(ゼウスの姉。クロノスとレアの娘)。ゼウスは父クロノスに飲み込まれた兄姉たち(ハデス、ポセイドン等)を救出し、父が率いるティタン神族との大戦『ティタノマキア』に勝利。従来の支配者(ティタン神族)を追い出した後、ゼウス3兄弟は支配地を決めるクジ引きを行い、天はゼウスが、海はポセイドンが、地下の冥界はハデスが治めることとなった。続く巨人族ギガスとの戦い 『ギガントマキア』にも勝ち、最凶の怪物テュポンには一度敗北するがリベンジした。女神や人間と交わる際は、妻や相手の配偶者に見つからないよう変身し、ダナエには黄金の雨、レダには白鳥、エウロペには白い牡牛、イオには雲の姿で近づいた。天体は木星。
(2)ヘラ(ジュノー)…クロノスとレアの娘。ゼウスの姉であり妻。婚姻の神、女性の守護神。アレスやヘパイストスを産む。嫉妬深く、夫の愛人やその子供たち(ヘラクレス等)を徹底して迫害、ときに命まで奪った。
(3)ポセイドン(ネプチューン)…クロノスとレアの息子。海神。ゼウスの兄、ハデスの弟。誕生時に、父クロノスに飲み込まれたが、のちにゼウスの機転で吐き出された。兄弟で父を倒した後、世界の支配をくじで分割し、海の支配権を得る。ポセイドンは三叉(さんさ)の槍「トリアイナ」を持ち、これで天変地異を起こす。青銅のひづめと黄金のたてがみを持つ馬が引く戦車に乗って海原を駆け巡る。ポセイドンの子に、深海の神トリトン(半人半魚)や狩人の巨人オリオン、単眼の巨人ポリュフェモスなどがいる。傲慢な人間を懲らしめるため巨大海獣ケートス(ティアマト)を作り出し、アンドロメダ姫を襲わせたが、ペルセウスに阻止された。天体は海王星。
※オリオン…巨人で美男の狩人オリオンはポセイドンの子。クレタ島で月の女神アルテミスと恋に落ちたが、彼女の兄アポロンは「純潔を司る処女神アルテミスに恋は許されない」として2人を罠にはめ、毒サソリから海中に逃げたオリオンをアルテミスはそれと知らずに射殺す。嘆き悲しんだアルテミスはゼウスに頼んで彼を天上の星座にしてもらう。オリオンは月に一度会いに来るアルテミス(月神)を楽しみに待っているという。
※ポリュフェモス…ポセイドンの子。キュクロプス(一つ目の巨人)の1人で、同族では最も体が大きく洞窟に住む。トロイア戦争の帰途、この洞窟に踏み込んだオデュッセウスはポリュフェモスに食べられそうになるが、ワインで眠らせ目を潰して脱出に成功した。怒ったポセイドンはオデュッセウスの艦隊を嵐で妨害し、海上を放浪させた。ポリュフェモスの母とメドゥーサは異母姉妹。
※メドゥーサ…ゴルゴン3姉妹の三女で海神ポセイドンの愛人。髪は無数の毒蛇で見たものを石に変える能力を持つ。メドゥーサは美少女であったが、海神ポセイドンとアテナ神殿で交わったためにアテナの怒りをかい、醜い怪物にされてしまう。英雄ペルセウスはアテナから借りた盾アイギスを鏡のように使ってメドゥーサに接近して首をはね、あふれ出た血から羽を持つ天馬ペガサスとクリュサオルが産まれた。クリュサオルはオケアノスの娘カリロエとの間に3頭6足の怪物ゲリュオン(ヘラクレスに退治)と、下半身が蛇のエキドナを生んだ。エキドナはケルベロス、キマイラ、スフィンクスなど多くの怪物を生む。
(4)デメテル(ケレス/セレス)…クロノスとレアの娘。穀物豊穣の女神。デメテルはゼウスとの間にできた愛娘ペルセフォネを冥府の神ハデスにさらわれ、行方を探して神の役割を放棄したため、地上は穀物が実らず荒れ地となった。ゼウスからペルセフォネを地上へ返すよう頼まれたハデスは、彼女にザクロの実を3分の1食べさせて返した。一度でも冥府の食べ物を口にした者は冥府の住人となる掟があり、ペルセフォネは1年の3分の1は冥府で生活しなくてはならず、デメテルが娘と一緒に過ごす期間は大地が豊かに実り、娘が不在の冬は嘆きによって作物が実らない。
(5)ヘスティア(ヴェスタ)…クロノスとレアの娘。長女でありゼウスの姉、のんびり屋。竈(かまど)の火を司る女神、家庭生活の守護神であり、食前食後の祈りは彼女に捧げられた。ヘスティアは常に家庭の炉端にいるため、神々の戦争に参加することはない。
★第二世代~ゼウスの子どもたち
(6)アテナ(ミネルバ)…ゼウスの娘。知恵・技芸・戦争の神。母はゼウスの最初の妻である知恵の女神メティス(ティタン神族)。パルテノス(処女)であり、彼女を祀る神殿はパルテノン(処女宮)と呼ばれる。フクロウ(知恵の象徴)を伴う。ちなみに、アテナの随神ニケ(ヴィクトリア)は勝利の女神であり、ニケの英語読みはナイキ。ナイキ社のトレードマークは有翼の女神ニケの翼をイメージしたもの。
※巨人戦争『ギガントマキア』では、アテナはギガス(巨人)の中で最も強力なエンケラドスと戦い、シチリア島を投げつけて圧殺した。トラキア(現ブルガリア)でもヘラクレスと一緒にギガスを打殺す。ギガスのパッラースの皮で盾を作りパラス・アテナと名乗った。
(7)アフロディテ(ヴィーナス)…ゼウスの娘。愛と美の女神。母はティタン神族のディオネ(ウラノスとガイアの娘)とされるが、名の「アフロディテ」は“泡から生まれた”の意であり、クロノスに切られたウラノスの性器を浮かべる海の泡から生まれ、キプロス島に流れ着いたとも。「鍛冶神ヘファイストス」の妻となったが軍神アレスを恋人にしている。天体は金星。
(8)アポロン(アポロ)…ゼウスの息子。音楽・芸術・予言・医療の神。若い男性の守護神。母はティタン神族のレト。レトはゼウスの妃ヘラの嫉妬により陸地でアポロンを出産できず、デロス島でアポロンと妹アルテミスの双子を産んだ。
※ダプネ…アポロンがエロス(キューピッド)の持つ小さな弓を馬鹿にしたことから、エロスは仕返しに、愛情の虜になる「黄金の矢」でアポロンを撃ち、愛情を嫌悪する「鉛の矢」でダプネを射た。アポロンはダプネを追い、彼女は逃げ続ける。ついにアポロンが追いついたとき、彼女は月桂樹に姿を変えて逃れた。絶望するアポロンを哀れに思ったダプネは、月桂樹の葉を頭に落とす。この故事により技芸の優勝者に月桂冠が与えられることになった。
(9)アルテミス(ディアナ/ダイアナ)…ゼウスの娘。狩猟・純潔の神。若い女性の守護神。また、誕生・多産の守護神でもある。アポロンの双子の妹。のちに月の女神セレネ(ルナ)と混同された。天体は月。
(10)アレス(マルス/マーズ)…ゼウスの息子。軍神。母はヘラ。戦いのときにはデイモス(恐れ)とフォボス(驚き)が従者となる。天体は火星。
(11)ヘファイストス(バルカン)…ゼウスの息子。火と鍛冶の神。母はヘラ。妻は愛の女神アフロディテ。
(12)ヘルメス(メルクリウス/マーキュリー)…ゼウスの息子。神々の使者をつとめる伝令神。死者の魂を冥界に導く役目を持つ。また幸運と富の神であり、商売・盗み・賭博・旅人の守護神でもある。母はアトラスの娘マイア。翼のついたサンダルと帽子、2匹のヘビが巻き付き翼がついた魔法の杖カドゥケウスを持っている。ヘルメスが“盗み”の守護神になったのは、ゼウスが妻ヘラの熟睡中にマイアと関係を持ったことによる。天体は水星。
※古代ギリシア人は他界後にまずヘルメスによって冥界の入口まで導かれ、死者の国との境界の川ステュクスを渡し守の老人カロンに運ばれたあと、猛犬ケルベロスの番するハデスの館で裁きを受ける。真の英雄は西の果て「エリュシオン」の野に送られ至福の生を営む。極悪人は奈落のタルタロスへ押しこめられ永遠の責め苦にあう。
(13)〔十二神にカウントされることがある神〕ディオニュソス(バッカス)…ゼウスの子。豊穣と酒の神。人間にブドウの栽培とワインづくりを教えた。ディオニュソスは毎年冬に死んで春に甦ることから、人々は春に再生を祝う祭礼を催し、それがギリシャ演劇を発達させた。アテネでは5日間にわたって祭りが開催され、三大悲劇詩人ソフォクレス、アイスキュロス、エウリピデスらも、この祭礼のために傑作を生みだした。
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《冥界/冥府の神》
★ハデス(プルート)…冥界の王。ゼウスとポセイドンの兄。ティタン神族のクロノスとレアの子。厳格で冷酷な神だが、根は邪悪ではない。オリュンポス山ではなく冥府にいるため十二神にカウントされない。姉の女神デメテルの娘ペルセフォネをさらって妃としたが、1年の3分の2は地上への帰省を認めた。天体は準惑星の冥王星。
●ペルセポネ(プロセルピナ)…ハデスの妻で冥界の王妃。季節の神。ゼウスとデメテルの娘。母デメテルは豊穣の神であり、娘が里帰りすると嬉しさから季節が春になり、冥府に戻ると寂しさから冬になる。
●ヘカテ…暗黒の女神。ティタン神族のペルセスとアステリア(アポロン、アルテミスを産んだレトと姉妹)の娘。夜の暗闇、恐怖、妖術をつかさどり、魔術師や魔女は彼女を崇拝した。冥界の地位はハデス、ペルセポネに次ぐ。
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《ゼウスゆかりの者たち》
●イオ…ゼウスの妃ヘラの女神官。ゼウスの愛を受け、ヘラの嫉妬を避けるためゼウスはイオを白い牝牛(めうし)に変えた。イオはヘラの送った虻(あぶ)に追われてエジプトまで逃れた。人間に戻ったイオはナイル河の側でゼウスとの子エパポスを産み、エパポスはエジプト王となって古代エジプトの首都メンフィスを創建した。
●リビュエと子孫たち…エジプト王・エパポス(ゼウスとイオの子)の娘。古代アフリカは彼女の名にちなみ「リビュエ」と呼ばれ、のちに範囲が狭まり「リビア」となった。リビュエはポセイドンとの間に双子の兄弟アゲノル(フェネキア王/現レバノン)とベロス(エジプト王)を産む。
(1)フェネキア王アゲノルは妻テレパッサとの間に娘エウロペ(クレタ王ミノスの母、ヨーロッパの語源)、息子カドモス(フェニキア王子)らをもうける。
(2)エジプト王ベロスはナイル河の河神ネイロスの娘アンキノエとの間に4人の息子をもうけ、そのうちのアイギュプトスは占領地を自身の名にちなんでアイギュプトス(Aegyptus/エジプト)と呼んだ。別の息子ケフェウスの妻子が有名なカシオペイアとアンドロメダ姫。
●アスクレピオス…医術の神。アポロンの子。母は軍神アレスの孫コロニス。ケンタウロス族の賢者ケイロンに育てられ、同時に医術を学び名医となる。だが、人を救うことに熱心なあまり死者までも蘇らせたため、冥界の死者が減ることを危惧した冥府王ハデスが「世界の秩序を乱すもの」とゼウスに強く抗議し、アスクレピオスはゼウスの稲妻で殺された。ゼウスは医業を讃え、へびつかい座として天に迎えた。世界保健機関(WHO)のシンボルマークは、国連旗の中心に医療の象徴であるアスクレピオスの杖(蛇の巻き付いた杖)をあしらったもの。
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《地獄タルタロスに墜ちた者》
●テュポン(テュフォン/Typhon)【重要】…ギリシャ神話中、最大最強の怪物で一時的にでもゼウスを破った唯一の存在。ティタン神族の大地神ガイアが、ゼウスらオリュンポスの神々を打倒するために産んだ最後の子。『ティタノマキア』『ギガントマキア』に連勝したゼウスは、敗れたティタン神族を地獄(タルタロス)に閉じ込めたが、ガイアにとってはティタン神族もギガスもかわいい我が子であり、ゼウスの非情さに立腹した。ガイアはタルタロスと交わりテュポンを産み、最後の戦いを挑む。テュポンは天にも届く背丈があり、両腕は世界の東西の崖に達し、百の竜の頭、火を放つ目を持ち、両脚はとぐろを巻く毒蛇という大巨人だ。テュポンがオリュンポスの天空に突進すると、迫りくるテュポンに神々は恐慌状態になり、動物に変身してエジプトへ逃亡した。牧神パンは、あまりに焦って上半身が山羊、下半身が魚になってしまい、「パニック」の語源になったとも。
テュポンは猛攻をかけてゼウスから武器を取り上げ、手足の腱(けん)を切ってギリシャ・デルポイ北部の洞窟に幽閉した。ヘルメスとパン神がテュポンの留守中にゼウスを救出し、力を取り戻したゼウスはテュポンと再び激突。テュポンの火炎とゼウスの雷が発する熱で大地は炎上し、海は沸騰した。テュポンはゼウスから投げられたエトナ火山の下敷きになり、灼熱が大地を熔解させ、そのままタルタロスに放り込まれた。テュポンは今も火を吐き続けているため、もがくと噴火が起きるという。
テュポンは不死の怪女エキドナ(下半身が蛇)との間に、ケルベロス(冥界の番犬、ヘラクレスに退治)、オルトロス(双頭犬、ヘラクレスに退治)、キマイラ(キメラ/ライオンと山羊と蛇の合成)、ヒュドラ(猛毒の水蛇、ヘラクレスに退治。うみへび座)、ラドン(黄金の林檎を守る百頭の竜、ヘラクレスに退治。りゅう座)、エトン(プロメテウスを襲った巨大鷲)、パイア(牝の猪。テセウスが退治)などをもうけた。
※エキドナは子である双頭犬オルトロスとの間に、ネメアーの獅子(ヘラクレスに退治。獅子座)、スフィンクス(テーベのオイディプスに敗北)を産んだ。
※テュフォンは骨が鉄でできていたといい、ギリシアの神殿では鉄を持ち込むことが禁忌とされた。
※タイフーン(typhoon)の語源とも。
●イクシオン…テッサリア(中部ギリシャ)のラピテス族の王子。妻の父をだまし討ちにし、血縁の人間を殺した最初の人物。人々は親族殺しという重罪を犯した彼を避けたが、ゼウスは父クロノスを倒した自分と重ねたのか、イクシオンを天上界の食事に招き、ネクタル(飲物)とアンブロシア(食物)を味わわせ、不死とした。ところがイクシオンは大胆にもゼウスの妻ヘラを誘惑する。彼を懲らしめるためにゼウスがヘラそっくりの雲の固まり「ネペレ」を作ると、イクシオンは知らずにこれと交わった。ゼウスは激怒し、イクシオンを地獄タルタロスに放り込み、燃えさかる火の車に縛り付けて回転させた。イクシオンは不死身ゆえに、永遠にこの責め苦を受けている。ちなみに、イクシオンと雲のネペレとの間に産まれた子が、半人半馬のケンタウロス族だ。
●シシュフォス(シーシュポス)…アテナイ、スパルタと並ぶ都市国家(ポリス)コリントスの創建者。神ゼウスをも欺き、最もずる賢い人間とされる。シシュフォスは「河神の美しい娘の誘拐犯はゼウス」と暴露し、立腹したゼウスはシシュフォスを冥府に送るべく死神タナトスを家に遣わした。ところが、シシュフォスは言葉巧みにタナトスを騙して縛り上げた。次に軍神アレスに捕らえられ冥府に送られたが、冥府の王妃ペルセポネを騙して地上に戻り、まんまと長寿をまっとうした。彼は死後にタルタロスの地獄へ投げ込まれ、神々を愚弄し続けた罰として、頂上に運ぶと転がり落ちてくる岩を何度でも山の上に押上げる苦役に服すことになった。
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《英雄伝説ゆかりの者》
●ペルセウス…ギリシャ神話の英雄。ゼウスとダナエ(アルゴス王女)の子であり半神半人。ゼウスは黄金の雨に化けてダナエと交わった。ペルセウスはゴルゴンのメドゥーサを退治し、そのメドゥーサの首を掲げて海の怪物ケートス(ティアマト)を石に変え、生け贄にされていた王女アンドロメダを救い妻とした。アンドロメダはエレクトリュオン(ヘラクレスの母)、ペルシア王家の祖となるペルセスをはじめ7人の子をもうけた。
●アンドロメダ…エティオピア(アフリカのエチオピアとは別で中東にあった)の王ケフェウスと王妃カシオペイアの娘。カシオペイアは「海の精霊よりも娘(アンドロメダ)は美しい」と自慢したため、怒った海神ポセイドンが海の怪物を放った。恐怖したケフェウス王は娘アンドロメダを生け贄として海岸の岩に鎖で繋いだが、通りかかった英雄ペルセウスに救われた。
●ヘラクレス…ギリシャ神話中最大の英雄。ゼウスとアルクメネ(勇者ペルセウスの孫)の子で半神半人。ゼウスはティタン神族との大戦『ティタノマキア』に勝利した後、ティタン神族を奈落に幽閉したが、ゼウスの祖母ガイアにとってはティタン神族もまた我が子であるため、ガイアは巨人族ギガス(複数形ギガンテス)を産んでティタン神族の救出を頼んだ。ギガスは大軍でオリュンポスの神々に戦いを挑み、巨人戦争『ギガントマキア』が勃発。ギガスは「神に殺されない」能力を持ち、怪力で山を引き剥がし投げつけた。ゼウスはギガスを倒すため、人間の女性アルクメネと交わって半神半人のヘラクレスを味方に付ける。ヘラクレスは次々とギガスを弓で射殺し、ゼウスの勝利に貢献した。ヘラクレスはミュケナイ王エウリュステウスから12の難業を命ぜられ、ネメアのライオン退治、レルネー湖のヒュドラ退治、黄金の林檎の獲得、冥界の番犬ケルベロスの捕獲など武勇伝を持つ。妻の嫉妬により非業の最期を遂げる。
●ケイロン…半人半馬のケンタウロス族で射手座となった賢者。父はクロノス。ケイロンはアポロンから音楽、医学、予言の技を、アルテミスから狩猟を学んだ。そしてヘラクレスに武術や馬術を教え、アキレウスの教育係となり、アスクレピオスに医術を授けた。一般にケンタウロス族は野蛮で酒好き、好色な一族として知られるが、ケイロンはその例外であり、薬草を栽培し病人を助けながら暮らした。ヘラクレスの放った毒矢が誤って命中し、死を惜しんだゼウスが星座にした。。
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《クレタ島にゆかり》
●ミノス…ゼウスの子。クレタの王。母はエウロペ(ヨーロッパの語源)。エウロペはフェニキア(現レバノン)王の娘だったが、白い牡牛(牡牛座)に姿をかえたゼウスにクレタ島までさらわれ、そこでミノスを生んだ。ミノスはパシパエ(太陽神ヘリオスの娘)と結婚しアリアドネが生まれる。また、パシパエはポセイドンの呪いで牡牛との間にミノタウロスを産む。ミノスは最古の海軍を組織し、海賊を追い払ってエーゲ海域を制覇、クレタに法を制定し善政をしいた。死後は冥界の裁判官。
●テセウス…ギリシャの国民的英雄。伝説的アテナイの王。名工匠ダイダロスの建てたクレタ島の迷宮ラビュリントスで人身牛頭の怪物ミノタウロスを退治し、ミノス王の娘アリアドネの助力で脱出に成功した。その後、古代ローマ建国の父ロームルスと共にアテナイを建国。晩年はペルセポネに恋して冥界に長居した結果、アテナイの王位を奪われ、スキュロス島に身を寄せる。そこでテセウスの権力欲を警戒した現地の王に崖から突き落とされ、あっけなく死ぬ。
※テセウスはクレタ島から戻る際、船に生還を示す白い帆を張り忘れ、出発時の黒い帆のままにしていたため、父王アイゲウス(Aegius)は息子が死んだと勘違いし、絶望から海へ身投げした。この故事からアイゲウスの海、エーゲ海(Aegean Sea)になったとされる。
●ダイダロス…ミノス王に命じられてクレタ島の迷宮(ラビュリントス)を造ったあと、迷宮の秘密を漏らすことを恐れた王によって、息子イカロスと共に塔に幽閉された。父子は人工の翼を作って逃亡を図るが、イカロスは太陽に接近しすぎて、 翼の蜜蝋が溶け墜落死してしまう。
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《伝説の冒険とトロイア戦争》
●イアソンとアルゴ船の冒険…アルゴ船の冒険で知られる英雄イアソン。ギリシャ東部イオルコスの王子。父は叔父ペリアスに王位を奪われ、幼いイアソンはケンタウロス族の賢者ケイロンのもとに送られ養育される。大人になったイアソンは叔父に王位の返還を求めるが、黒海東端の国コルキス(グルジア)にある金の羊毛を持参するよう要求される。イアソンはギリシャ全土から50人の勇者をつのり、隊長となって巨船「アルゴ」(アルゴーは“快速”の意)でコルキスに向かう。この50人は「アルゴナウタイ」と呼ばれ、メンバーにヘラクレス(半神で怪力の英雄。水汲みに行ってさらわれた随者を探すため序盤で下船)、オルフェウス(アポロンに竪琴を与えられた音楽家。毒蛇に咬まれて死んだ妻エウリュディケを冥界から連れ戻そうとする)、テセウス(ミノタウロスを退治)、ペレウス(アキレウスの父。婚礼時の騒動がトロイア戦争に繋がる)、カストル&ポルックス兄弟(双子座の兄弟)などがいた。イアソンは様々な危険を乗り越えて金羊毛を手に入れ、コルキスの王女メデイア(太陽神ヘリオスの孫)を伴って帰国し、叔父を倒して父の復讐をとげた。その後、イアソンはメデイアと結婚する約束を破ったことから非業の死を遂げたという。
※ギリシャ神話の英雄の最後はみじめな場合が多い。めでたしめでたし、とならないのはこの神話の特徴か。
●トロイア(トロイ)戦争…テッサリア地方の王ペレウスと海の女神テティス(アキレウスの母)の婚礼には、「争いの女神エリス」以外のすべての神々が招待された。これを恨んだエリスは、「最も美しい女神へ」と記した黄金のリンゴを婚礼の席に投げ込んだ。それをヘラ(ゼウスの妻)、戦の女神アテナ(ゼウスの娘)、愛の女神アフロディテ(同じく娘)の3女神が奪い合ったため、ゼウスはトロイア(トルコ西岸)の王子パリスに判定を命じた。女神たちはパリスを買収しようとして、ヘラは権力のある支配者にするといい、アテナは軍事において偉大な名声をあたえるといい、アフロディテは世界で一番美しい女性をめとらせると告げた。パリスはアフロディテを選び、スパルタの美しい王妃ヘレネ(ゼウスの娘、母はレダ)との結婚を望んで彼女を誘拐した。ヘレネ奪還のため、スパルタ王の兄アガメムノンを総大将とするギリシア軍が編成され、トロイア戦争が勃発する。ヘラやアテナはギリシャ側に、アレスはトロイア側に味方した。ギリシャ軍は10年間の包囲戦を行い、巨大な木馬に兵を潜ませるというオデュッセウスの奇計を用いた。木馬は“戦利品”として城内に引き込まれトロイアは陥落した。ホメロスの詩「イーリアス」に記す。
【後日談】総大将アガメムノンは故国に凱旋した際に妻とその情夫に暗殺され、アガメムノンの子どもたちが成長後に父の仇である母と情夫を討った。息子はトロイア戦争のきっかけとなった美女ヘレネを「家族崩壊の原因を作った不義の女」として殺す(ヘレネは誘拐の被害者だが…)。
●アキレウス(アキレス)…トロイア戦争におけるギリシャ軍の英雄で、ホメロスの叙事詩「イーリアス」の中心人物。母により冥界の川に浸されて不死身となったが、かかとだけは浸されずに残った。アキウレスはトロイアの総大将ヘクトルを討ったが、トロイアの王子パリスに弱点のかかと(アキレス腱)を射られて死んだ。
●オデュッセウス(ユリシーズ)の冒険…ギリシャ西岸イタケ(イターキ)島の支配者オデュッセウスは、アテナに守護された知将でトロイの木馬作戦を提案した。トロイア戦争の帰途、オデュッセウスと部下たちは「一つ目の人食い巨人ポリュフェモス」を退治したが、巨人の父が海神ポセイドンであったため怒りに触れ、ポセイドンが嵐を起こして海をさまよい、帰路に10年もかかることになる。オデュッセウスは故郷の目前で遠くの島に吹き戻され、イタリア西岸の島では魔女キルケに部下が魔法で豚にされた。美しい歌声で船乗りを海にひきこむセイレンの海域を通るときは、体を帆柱に縛りつけ耳栓をして切りぬけたが、6本首の怪物スキュラのいる海峡では6人の船員が食べられた。その後、イタリア南岸の島で休息した一行は、無風で一ヶ月も出航できず食料が尽き、空腹のあまり部下が太陽神ヘリオスが所有する牛を食べてしまい、ゼウスの神罰で船は粉砕された。オデュッセウスは流木にしがみついて漂流し、部下は全員死亡した。彼は海の女神カリュプソの住むオーギュギア島(マルタ)に流れ着き、彼に一目惚れをしたカリュプソに7年間もひきとめられた。オデュッセウスはカリュプソから「夫になれば不死にする」といわれるが誘惑を振り切り、スケリア島(ケルキラ島)では純粋無垢な王女ナウシカアに救われ、出征から20年ぶりにイタケ島に帰還した。ホメロスの叙事詩「オデュッセイア」(前8世紀成立)の主人公。
《番外編~神話の語り部》
●ヘシオドス…紀元前8世紀前半の古代ギリシアの詩人で、ギリシア神話の宇宙生成物語=1022行の叙事詩『神統記(しんとうき)』の著者。原題は「テオゴニアー(神々の誕生系譜)」。ウラノス、クロノス、ゼウスの三代にわたる政権交代劇を描き、ギリシア神話の宇宙観の原典となった。
●ホメロス…紀元前8世紀後半のギリシャの詩人。盲目の吟遊詩人としてギリシャ各地を遍歴した。二大英雄叙事詩「イリアス」「オデュッセイア」の作者とされる。古来最高の詩人。
《黄道十二星座・豆知識》※どの説も諸説あり。
やぎ座…変身に失敗した牧神パンの姿(上半身はヤギ、下半身は魚)がゼウスにバカウケ、その姿のまま星座にしてしまった。
みずがめ座…トロイの美少年ガニメデスが水瓶を持つ姿。羊飼いだったが美しさに目をゼウスが、鷲に化けて天上界にさらい酒宴のお酌係に。
うお座…愛と美の女神ビーナスと息子キューピットが怪物から逃げるため2匹の魚になり、はぐれないよう互いの尾を結んでいる。
おひつじ座…天を翔ける金色の羊。生贄に選ばれた2人の子ども(兄妹)を助け出し、背に乗せ舞い上がったが、妹がめまいを起こして海に落ちたため後ろを振り返っている。
おうし座…ゼウスが人間の王女エウロパ(ヨーロッパの語源)をさらう為に、純白の雄牛に化けた姿。エウロパは雄牛の優しげなまなざしに心を許し手中に落ちた。
ふたご座…スパルタ王妃レダの息子カストルと弟のポルックス。厳密には父が異なり、弟だけがゼウスの子で不死。弟は死んだ兄と不死を分かち合いたいと願い、ゼウスは二人を天にあげた。
かに座…ヘラクレスが海ヘビと戦った時、親友の海ヘビ君を助けようとしてヘラクレスに踏み潰された蟹。友情を讃えられ星座に。
しし座…凶悪人喰いライオン。弓も棍棒も効かず、ヘラクレスに絞め殺された。この「ネメアーの獅子」の毛皮に包まれた者は不死を授かる。
おとめ座…正義の女神アストレイア。正義を大切にしない人間たちに失望し、地上を去り天に昇った。
てんびん座…正義の女神アストレイアの持つ天秤で、天国へ行く者と、地獄へ行く者とを振り分けている。
さそり座…狩人オリオンが自惚れて世界最強を名乗ったことから、ゼウスの妃ヘラが放った刺客。蠍座は最古の星座のひとつで、B.C.1200年頃の絵に早くも登場。
いて座…ケンタウルス族の賢者ケイロン。蠍(サソリ)のすぐ横で、弓の狙いを蠍の心臓につけている。
以上、「簡単な」ギリシャ神話まとめでした!(笑)
fuu2009