「この映画は一日24時間、寺院で上映されるべきだ」(ジョン・レノン)
ふうは奇才キューブリック監督の映画を初体験。
『2001年宇宙の旅』が公開されたのは1968年、人類が月面に立ったのは1969年、つまり本作の
超リアルな宇宙空間の表現は、人間が月に行く“前”に制作されたもの!驚異としかいいようがない。

※未見の方はぜひ予告編を!
〔予告編〕https://www.youtube.com/watch?v=hOlrxxPoyn4 (2分24秒)

SF映画の金字塔でありながら極めて難解・哲学的な当映画。
まだレンタルビデオ屋が普及する前は、この作品を観る機会はあまりなく、高校時代に「阪大の
学園祭でSF研が『2001年』をオールナイト映画祭でやる」という情報をエルマガジン(関西の
情報誌)でキャッチした僕は、当時は大人に見えた大学生のお兄さんたちに混じってこの映画を観た。
上映後、ポカーンとなった後にドッと笑いが起き、「なんじゃこりゃあ!?」「傑作なのは確か!
でも、わけわからん!」という声が飛び交ったのを覚えている。異様な熱気が会場に満ちていた。

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(1)ふう「この音楽知ってる!“しまじろう”で流れてた」。幕開けに流れる音楽はリヒャルト・
シュトラウス作曲の『ツァラトゥストラはかく語りき』。この映画で知名度があがりCMにも使用。
※映画史に輝く冒頭シーン!月、地球、太陽が一直線に並ぶ荘厳なカット!
(2)物語は“人類の夜明け”、400万年前のお猿さんの時代から始まる。ある日、猿の群れの前に
謎の黒い石板「モノリス」が現れる
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(3)やがて勇気のある猿がモノリスに触れると、その猿は骨を掴み道具として利用し始める
ふう「すごいやん、この猿、道具を発明したで!」
僕「でもなぁ、その後の、“道具”の使い方がな…ちょっと観ててみ」
ふう「うわ、骨で別の猿を殴り殺した」
僕「そうやねん。道具を発明したのはいいけど、武器として使ってるねん。考えさせられるわ」
(4)そして猿が骨を空に放り投げると、次のシーンにこの人工衛星に変わる
ふう「骨が宇宙船になった!びっくり!」
僕「これなぁ、宇宙船じゃないねん。核ミサイルを搭載した軍事衛星やねん。つまり武器はここまで
“進化”したということ」
ふう「なんか怖いね。音楽、めっちゃきれいなのに。これドナウのなんとかっていう曲やろ?
ちっちゃい時に寝る前にかけてた、“ねんね用CD”に入ってた」
僕「“美しく青きドナウ”っていう曲な」

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(5)宇宙空間に響き渡るクラシック音楽。キューブリック監督のセンスが光る
※『美しく青きドナウ』が流れるシーン https://www.youtube.com/watch?v=0ZoSYsNADtY
(6)人類は月面でモノリスを発掘する。猿はモノリスに触れて“道具”を発明した。では、人間が
モノリスに触れるとどうなってしまうのか…?モノリスは木星に向けて信号を送っており、探査船
ディスカバリー号が木星へ飛び立つ。物語は徐々に緊迫していくが…。
ふう「お父さん。お母さんが寝てるわ」
僕「ほんまやな。もう前に観てるからな。っていうか無理もないで、既に『王の帰還(ロード・オブ・
ザ・リング)』を3時間21分も観て、そのまま『2001年』やからな。この映画も2時間半あるから、
ここまでにしよ」
そういうわけで、スクリーンを片付けて翌日にテレビ画面で続きを観た。

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(7)宇宙探査船ディスカバリー号に搭載された人工知能“HAL(ハル)9000”型の目。この作品の
準主役だ。
当映画は木星近辺にモノリスらしきものが現れ、これを調査に行くディスカバリー号が主な舞台。
HAL9000は木星に近づくにつれ、機能に異常をきたしていく。最新型AIの“HAL9000”もまた、
人が作った道具の象徴。
(8)暴走するHAL9000を破壊する相談しているボーマン船長と副船長。防音の密室で会話していた
はずが、HAL9000に唇の動きを読まれていた…!

※以下、ふうとの会話の関係上、完全ネタバレになります!


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(9)ふう「お父さん、HAL9000怖すぎなんやけど…」
HAL9000は自分を守るため、乗組員の皆殺しを開始。まず副船長が宇宙空間で命綱を切られた。
(10)人工冬眠中の乗組員の生体反応が次々と消えていく。睡眠カプセルの中で眠ったまま絶命…
ふう「このグラフって、いのちのグラフ?」
僕「そう。波線が真っ直ぐになった人は死んでしまったという意味」
ふう「カプセルの人、みんなグラフが真っ直ぐになったよ…」
僕「お父さんな、このシーンって血は一滴も流れないけど、どんなホラー映画の殺人シーンよりも
怖いと思うで」

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(11)「ドアを開けてくれHAL」。船外活動から戻るボーマン船長(唯一の生存者)を「できません」
と中に入れないHAL9000
僕「ふう、他のSF映画とどこが一番違うかわかる?」
ふう「え~、なんやろ」
僕「音やで。この映画はチョ~静かやろ。宇宙は空気がないから音が伝わらないねん」
ふう「そういえば、音があるのは宇宙船の中だけやね」
(12)ボーマン船長は「Open the pod bay doors!」と繰り返すがHALに会話を打ち切られる

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(13)ある方法で船内に戻ったボーマン船長は、怒りに燃えてHAL9000を停止(殺害)する。
HAL9000は思考回路を次々と切断され、最初に覚えた歌「デイジー」を歌いながら果てる
※『2001年宇宙の旅』の素晴らしい日本語吹替え版、ボーマンVSハル、そしてデイジー
https://www.youtube.com/watch?v=mCiLxKeFbUc (5分)

ふう「なんか、HALがかわいそうになってきた。どうして、HALはおかしくなってしまったん?」
僕「“乗組員と協力しろ”という命令と、“乗組員にモノリスの調査は秘密にせよ”という反対の
命令を入れたから、“乗組員が死ねば秘密を言わずに済む”と考えたみたい」
(14)木星でモノリスと遭遇してからの超展開に、ふうはどんな反応をするのだろうと顔を見たら…

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(15)寝てた!(爆)妻が「ふう!木星に着いたよ!ラストの大事なシーンだよ!」体を揺すっている
(16)ふうが寝始めたところまで巻き戻して再鑑賞。「僕、寝ないように、立って観るわ」。
退治を経て、生まれ変わって地球に帰還したボーマン船長。
ふう「なんか怖い。これはハッピーエンドなの?バッドエンドなの?」
僕「どっちとも解釈できる。地球を救いに来たのか、破滅させに来たのか。お父さんは、最後の宇宙の
シーンにミサイル衛星が映ってないから、平和の使者と考えたいけど、キューブリック監督って
他の映画(『博士の異常な愛情』)で世界を滅亡させているから、ヤバイ方のラストの可能性が高い
かも。最初に猿がモノリスに触るシーンで流れてた曲はリゲティのレクイエム(鎮魂曲)だから、
モノリスが黒いお墓だとするとレクイエムも流れてるしバッドエンドかもなぁ」

※この映画はアーサー・C・クラークの小説を原作にしたのではなく、キューブリックとクラークが
共同で脚本を書き、映画の後で小説版が出ている。だから、小説版の説明が正解とはいえないけれど、
クラークはラストについてこう解説している。「地球外生命体の“遺物”モノリスにより、人間は太古の
昔より進化をしてきた。今度は人間(ボーマン船長)が肉体を離れて「精神」のみの生命体へと
さらなる進化をする。宇宙にいる多くの種族がそうして進化をしてきたように、人類もようやく
その仲間入りをし、宇宙の一部になったのだ。それが地球外生命体の目的だった」
つまり、スターチャイルドは精神エネルギーだけの存在に進化した人間とのこと。
小説版は続編として『2010年宇宙の旅』『2061年宇宙の旅』『3001年終局の旅』があるけど、
すべて『2001年宇宙の旅』と違う世界=パラレルワールドの出来事とされており、本作は単体で
完結している映画と僕は受け止めている。

ふう「世の中にはこういう謎の映画もあるんやね。訳が分からないけど観て良かった」
僕「何が一番記憶に残りそう?」
ふう「HALが唄っていたデイジーの歌」
僕「あれは…残るなぁ。ところで、ふうはこの映画の小説を書いたアーサー・C・クラークのお墓に
行ってるんやで、スリランカに」
ふう「スリランカ!あのトゥクトゥク(三輪バイク)で行ったお墓が2001年の人だったんや」

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(17)2014年、スリランカの首都コロンボにて。「あった!これ!これがクラークさん!」
(18)トゥクトゥクの運転席に入れてもらったふう。ドライバーさんがパッと手を離し、5秒間ほど
ふうが運手、僕は腰を抜かしそうになった(汗)普通に車が走ってる公道っす!ふうは誕生日前だから
まだ4歳、日本ではあり得ず、僕は思わず「ノー!ノー!」と叫んでしまった。(^^;)

※レプリカのHAL9000を自宅につけて遊んでいる1分半のパロディ動画(海外)