セックス・ヘルパーの尋常ならざる情熱 (小学館101新書)
セックス・ヘルパーの尋常ならざる情熱 (小学館101新書)坂爪 真吾

小学館 2012-06-01
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【モリコウスケ書評】

ホワイトハンズにNPO法人格取得を許可しない行政、
童貞&処女卒業合宿を許可しない警察、
とのリアルな奮闘は特に読み応えがあります。

行政、警察のみならず、世間からの相当なバッシングにもへこたれることなく、
理想を掲げ、パイオニアとして活動する著者には敬服します。

一方で、内容に関しては批判、疑問も残ります。
私は介護業界も風俗業界も明るいですが、
その観点からも意見を述べてみたいと思います。

1)社会学のフィールドワークの成果はどこまで反映されているのか

著者は東大で社会学を専攻しており、在学中に行った性風俗研究が、
ホワイトハンズを始めるきっかけになったと述べています。

障害者はどんな性的介助を求めているのか、
ホワイトハンズの提供するサービスに対してどれだけ満足していて、
今後どのようなサービスが求められているのか。

著者のバックグラウンドからすれば、フィールドワーク、インタビュー、アンケートなどを
通じて、障害者の生の声を数多く収集していることでしょう。

それについて、本書ではほとんど記載がなかったのが残念でした。

2)風俗産業を悪者扱いしすぎ

風俗産業=悪と断定すれば、議論はわかりやすいですが、風俗産業に関わる者全員が不幸になるというのは言いすぎではないでしょうか。

・風俗の利用を通じて肉体のみならず精神的にも癒されている(救われている)お客様がいます
・風俗があることにより犯罪の抑止につながっているという一面もあります
・風俗という仕事で生計を立てているたくさんの女性たちがいます
(風俗がなくなったら彼女たちはどうやって生きていけばよいのでしょうか。ただでさえ生活保護受給者が増大している日本にあって)
・もちろん全てのお店とは言いませんが、利益を出して税金を納めることは国益にかないます

さて、ここで一つの疑問です。

障害者の中には、ホワイトハンズのサービスもよいが、風俗店のサービスも受けたいという(健常者同様の)欲求はないのでしょうか?

「生理現象としての性」に対する介助がホワイトハンズであれば(性機能の健康管理・低下予防が目的)、
「性的娯楽(エロス)としての性」に対する介助は風俗店の役割です(性的な快楽の最大化を目的)。

つまり、
介護業界でいうケアマネージャー的な(あるいは、コンシェルジュ的な)サービスこそが、
障害者が一番求めているサービスのような気がしてなりません。

介護、ホワイトハンズ、風俗、
そして、現場で奮闘するヘルパー、風俗嬢、
お互いが敵視し合うのではなく、
(人事交流や知識・経験の共有化を通じて)
利用者(お客様)の尊厳と幸福の最大化に向けて草の根から努力することこそが重要なのではないでしょうか。

その担い手の一つとしてホワイトハンズには益々頑張って欲しいと思います。


追伸)
介護事業者は3年に1度の報酬改定に振り回される。
4月に介護報酬が実質減額となった。
高齢化で市場は拡大するが、国の判断によって売上高や利益率が左右される「制度変更リスク」がつきまとう。
最大手のニチイ学館の13年3月期の介護保険外サービスの売上高見通しは125億円。
まだ介護事業全体の1割にも満たないが、将来は25%に引き上げると斎藤社長は言う。

ホワイトハンズが提供する射精介助が介護保険適用対象となるハードルは極めて高いが、
介護保険適用外サービスとして需要を掘り起こす余地はかなりあると思われる。