変な動画が紹介されていましたんですが、つっこみ満載です。

水から火をおこす機械が発明され、エネルギー問題解決に一歩前進
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20070530_water_ignite/

僕は研究者でもありますから思いつく限りつっこんでおきましょう。
つっこみどころをはずすかもしれませんが、それはまた自分の勉強不足がなすものですから甘んじますが、すぐにこれだけつっこみ要素が出る時点で怪しいです。

つっこみ0
まず、無編集で動画を公開してほしいですね。
そんで、水を飲むところまでやってほしいです。

次からは科学的なコメント。
(5/31 一部、初期掲載時より用語の勘違いなどを修正しました)
つっこみ1
ラジオ波でエネルギー注入して水が燃焼しているのを見せられても。

エネルギーをすでにこの系に与えている時点でアウトと思うんですが。。。
与えたなら、それより余計にエネルギーを出さなければいけません。
燃えるという現象を強調してデモしている時点で、論理的にザルです。
ローンと同じで収支バランスを徹底的に検証するべきでは。
そこでまぁつっこみ2へつながる話ですが。


つっこみ2
水が燃えたとしたら生成物がかなり怪しい。

燃焼=酸化です。 H2OのHはこれ以上酸化しえませんから、Oが酸化することになります。あとは塩のNaClのClが酸化の候補 。海水なら他の微量成分は無視できるでしょう。
そうすると塩水(NaCl aq.)からできる化合物候補 ………
O2, H2O2, HClOn(n=1~4)でしょう。 あとはラジカルとかイオンか。
H2O2。過酸化水素水。加熱で H2O+O2になります。この時点で不適。
HClOn, 塩素酸ができる反応ってなんですか。試しにH2O+NaClが1:1で反応したら、すごいのができます。Na++H-+HClO。すごい。ヒドリドイオンなんてそうはできません。これも不適です。
イオンだと酸化数は減りませんし、結局上のような酸・塩基になるしかないように思う。
ラジカルだとしたら最初に解離が起こるんでしょうが、結局再結合するのでエネルギー的には行って帰ってくるだけ。したがって収支0。仮に最終生成物に違いがあるならエネルギー収支が0ではないですが、上のどれかが生成するはずです。
まぁ、このあたり、正確に議論するなら化学便覧引っ張ってきて、発熱反応か吸熱反応かを検証すればいいことですが、面倒なので概説しました。
生成物がH2+O2の可能性もありますが、それは次のつっこみ3で。


つっこみ3
燃え方が怪しい。

燃え方が花火っぽいです。少なくともアルコールなどの有機溶媒っぽい。
煤はさすがに出てませんでしたが、低炭素数な感じですよね。
誰もが思いつく、水がラジオ波で電気分解でH2+O2になって、水素が燃えるって言うのも、僕はそうは見えませんでした。
中学校の実験で先生が水素を燃やすのを見せてくれたのを思い出します。
水素がある程度たまっていたらヒュン、といって爆発し、炎は一瞬で消えます。
だとしてあの現象を信じるなら、じわじわ水素が発生しているのかもしれませんが、こんな燃え方にはならないでしょう。
というのも、炎を上げて燃えているのは、ろうそくをイメージすると分かりますが、ろうが熱で溶けて気化して上昇→上昇中に燃焼反応→明るい光 という経過をたどらないといけません。
じゃー都市ガスとかはどうなんだってんですが、あれが炎をあげているのは圧力をかけて燃焼ガスを送り出しているからです。
水素がじわじわいい具合で、しかも上方向に吹き出すように出てあのように燃えるのはあの装置だとかなり不自然です。
水素以外に他に燃えそうな分子は他にありませんから、かなり怪しげです。


つっこみ4
1650度ごときなら、従来の電気力学・熱力学で余裕で説明可能なはず

もちろん、未発見の原理・論理・法則による、という主張もできるでしょう。
しかし、核融合などの数億度くらいのものならともかく、1650度っていうのは十分実験的にも到達可能な温度です。まして、金属加工業とかで余裕でカバーできる温度領域と思います。
是非とも証明されるなら、これまでの理論、あるいは、これまでの理論に矛盾がないような形で展開された包含的な理論で説明されたい感じです。


つっこみ5
ラジオ波で反応するとしたら熱くらいかなぁ。

ラジオ波は手術用のメスにも使われています。まぁ電子レンジみたいなもん、と考えていいのですが、物質と相互作用するとしたら加熱くらいのもんです。電気分解すらおこんないんじゃないかなぁ。
この加熱だけでも1650度を実現するのは大変です。まして炎を上げるなんてのは。出している強度と周波数が気になります。しかしそんな強度出したらエネルギー収支あうのかっていう問題も起こるので、なんだかほころびも見えています。


つっこみ6
人の身体は結構塩水。近づくととっても危険なはずだが。

海から生まれた人間だから、人の成分は海に近いなんて話をどっかで耳にしたことはありませんか? まぁ、それが本当でないとしても、塩のNaClが電気的な作用しか及ぼさない以上は、電解質だらけの人間の身体だって結構な塩水扱いです。
ラジオ波がそんな塩水で燃焼なんて作用を及ぼすとしたら、人の身体も燃えますって。
彼らはかなり無造作ですが。大丈夫なんでしょうか。


まだありそうですが、疲れたのでこんなもんにしといたらぁ、ってとこですが、小学生の知識でもあの炎の挙げ方はおかしいし、そもそも電気分解だとしてもまた燃やされて水になってエネルギー収支0ですから、そこに気づくべきでしょうね。


まぁ、もちろん彼らが真の結果を出している可能性もありますから、それは今後の年月が証明するでしょう。もし、ホントなら論文出してくださいってことで。