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2019年7月27日に南アルプスの女王と呼ばれる仙丈ケ岳に登ってきました。
残念ながら女王様のご機嫌を損ねてしまい、宮殿まではたどり着いたものの、その高貴なお姿を謁見することは叶いませんでした。

■準備段階のお話し

梅雨入りが遅かった2019年ですが、ようやく今週に入り各地での梅雨明けが発表。
これは長野方面の梅雨明けも近い!と勝手にウキウキし、二週間前に断念した南アルプスの仙丈ヶ岳の登山を計画してみた。甲斐駒ケ岳登山の帰りは連日3時起きだったこともあり、帰宅途中猛烈な睡魔に襲われたことから、車の移動は危険と考え、今回は公共交通機関を使った登山を検討。

具体的には
金曜日に仕事を終え、大阪から特急しなの経由で伊那市に入り一泊。翌朝「伊奈まちアルプス直行便」という乗り合いタクシー(事前予約必要)で仙流荘に入り、朝一のバスで北沢峠に入る。さらにせっかくなので、帰りは甲府側に下りて静岡経由で関西に帰る計画を組んでみた。この時点で伊那のホテルの予約、さらに名古屋からのしなの号の予約、伊那まちアルプス直行便の予約を済ませていた。

■2019年7月26日金

まさかの台風発生である。しかも土日直撃のもよう。なんてこった。

昼に天気予報等をチェックするとなんと台風の接近に伴い、27日は午後から山梨側の南アルプススーパー林道が閉鎖になるとの情報が。えええ!伊那側は大丈夫なのか?とHPを見るが空欄。伊那側の林道管理事務所に電話すると予定はないとのこと。土日は伊那市役所はHPの更新はしないので、電話してくれとのこと。(それでいいのか?)

とにかく翌日に甲府へ抜ける計画はこれで没。さらに台風の雨が心配なのでキャンプも中止。日帰りに装備を慌てて換装。伊那側が朝に閉鎖されたら伊那観光しようと腹をくくる。ローメンとかつ丼屋もチェック(笑) 宿と切符を買っていなかったら、間違いなく中止していたと思う。

業務終了後、大阪から新幹線で名古屋に移動、しなのに乗り換えて塩尻まで移動。夕食は名古屋駅で買った駅弁。すこし味は濃かった。隣席は2週間の中国出張から帰国された茅野在住のお方。お疲れ様でした。
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塩尻からワンマンの辰野行きに乗換え。が、駅を出たとたんに急停止。車内アナウンス無し。結局20分動かず。途中でアナウンス入るが、聞き取れず。みんなおとなしく席に座っている。日常茶飯事なのか、都会がイライラしすぎなのか。

運行開始を待っていると、携帯に着信。出てみると、伊那まちアルプス直行便を予約している白川タクシーのワタナベさんという方。聞けば、伊那まちアルプス直行便は私以外の客は全員キャンセルしたとのこと。どうされますか?と聞かれる。台風接近と山梨県側の林道閉鎖アナウンスでどうやら他の客はキャンセルしたようだ。いま塩尻まで来ているし、伊那市でホテル取っているので、明日は行くよ。ダメなら伊那で観光する、と返答。「では、通常のタクシーで外側に張り紙をして派出所前で待っていますね」なんだか声がうれしそうに聞こえた。なお、林道閉鎖の連絡も白川タクシーにはFAXで入るとのこと。結構このあたりの連携システムはまだまだアナログ運営のようで。

辰野で飯田線に乗り換え。
電車が綺麗なのであまりローカル線という雰囲気はなし。伊那市駅で下車。
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駅前を左に折れて宿に向かう。
駅から10メートルも離れると街路灯以外は真っ暗。
本当にこの先に宿があるのだろうか。
不安に駆られる。やがて遠くに明かりが。
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ここが今日のお宿のエビスホテル。
朝食バイキングが人気らしい。部屋は喫煙しかなかったが、やはり匂いは気になった。
大浴場で汗を流し、早めに就寝。のつもりが、ついついTVで放映されていた「ナイトミュージアム」を見てしまった。

■2019年7月27日土曜日
予想どおり浅い眠り。4時20分ごろホテルを出る。空は台風前の曇天。伊那駅交番前で直行便が待っていてくれた。ひとりとはいえ、事前予約をしたこともあり、直行便扱いなので料金は2000円。(普通にタクシーを使うと8000円になるよ)

道中はアルプス直行便設立の経緯や収支の状況、お役所とのやり取りなどここでは書けない話も含めて運転手さんに話をしてもらう。これもまた旅の楽しみだ。空が明るくなってきた。気分も高揚してくる。予定どおり仙流荘に到着。空はなんと晴れ間が!これは期待できるか?

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登山者はこの時点で15名ほど並んでいた。仙流荘の宿泊か、車での移動と推定。
鋸岳がガスの切れ目から見える。これは想定外だが、もしかしてもしかして?
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バスは予定どおり出発。
車窓からは鋸岳の鹿窓も甲斐駒ヶ岳もばっちり見えた。
真っ白を想定していたのでこれも想定外のプレゼント。
山の天気はほんとうにわからない。
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北沢峠に到着。
靴ひもを結び、5時26分に登山開始。
今回はスマホのYAMAPというアプリを使って行動を記録してみることにした。
このアプリは圏外でもGPSで行動を記録してくれるという優れものらしい。
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頂上までの標準コースタイムは4時間。
日帰り荷物なので3時間半くらいだろうと想定し登山開始。
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しばらくは樹林帯の中の登行。
登山道の左から光が差し込んでくる。
前方の登山者たちは黙々と歩いているが、私はこの光景にしばし見とれてしまい、写真を撮りまくる。
コースタイムはもう関係ない。
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なかなかいい写真が撮れたと思うが、いかが?
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やわらかい光の中で樹林帯を歩けるとは想像だにしていなかった。
これだけでもキャンセルせずに来てよかったなと歩きながら思った。
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標識がしっかり整備されているし、道も大変歩きやすい。
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引き続き、白樺の樹林の中を歩いていく。
トレーニングをした効果か、足取りは信じられないほど軽い。
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三合目の看板。
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四合目
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五合目。馬の背との分岐道。今回は小仙丈ヶ岳を超える稜線コースを選択した。
おそらく山梨側から風が強いと想定されるが、谷沿いだと視界も効かないだろうと判断。

五合目までまで1時間で到着。ここから道は次第に急登になる。
前を行く登山者はアメリカのシアトルから来た方。
日本には2週間前に来てあと1週間滞在する予定とのこと。
日本のトレイルもハードだなあとの感想。
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六合目に上がると、予想どおり真っ白(笑)
山梨県側から予想どおり、強い風が吹いている。
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森林限界を超えた。風は左側から。雨はときどき霧雨。
問題なし。行動継続。
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小仙丈に着くころは風も強くなり、雨もすこし強くなる。
ここで鳥取から来た健脚の二人組に写真を撮ってもらう。
彼らとは抜きつ抜かつ山頂まで一緒だった。
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仙丈ヶ岳は南アルプスの女王と呼ばれている。
通常ならここからバーンと山容が見渡せるはずだが、残念ながら今女王さまの最大のサービスショットはここまでだった。チラリズム万歳(違う)
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仙丈小屋分岐まで到達。
もうひとふんばり。真っ白?想定の範囲無いなので問題なし。
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北沢峠から2時間49分で、無事山頂に到着。
ナイス、真っ白ぉ!!!
これで富士山以外の3000M峰をすべて登頂!(帰宅後、気づいたのであった)
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山頂は風も強かったので、岩陰で無印食品のミックスナッツをほおばり、早々に下山。
事前の想定と寸分違わぬ真っ白具合に笑ってしまったが、これもよき思い出。
晴れているだけが山じゃないよ。(半分負け惜しみかもしれないが)

せっかくだから
下山はゆっくりと歩いて、花や景色を楽しむことにした。登ってくる登山者はさすがに少ない。
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晴れていたら、見逃してしまいそうな高山植物の群生、葉に付く水滴の美しさ、歩みを止めると聞こえるのは谷から風に乗ってきこえる鳥のさえずりと雨の音だけ。これまた贅沢な時間。

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樹林に入ると、鳥のさえずりがよく聞こえる。
素敵なバックミュージック。
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朝とはまるで違う景色。振り向いてもこんなところ歩いたのだろうかと記憶が混乱する。
天候が変わると登山道も印象がまるで変わる。
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雨で登山者が少ないのでこの樹林帯をまるで独り占めしているような気分になる。
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北沢峠には11時50分に到着。
13時10分のバスの乗車を考えていたので、予定よりもかなり早く下りることが出来た。
これで昼食を取る時間を確保できたので、こもれび山荘を利用してみることにした。

従業員たちはみな若く、エスニック料理店の店員みたいな恰好を皆していた。
定番カレーライスは無いらしい。ごはんものが食べたかったので、タコライスを注文。
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じゃーん!タコライス来ました。1100円なり。
量が大変多いゾ!しかも、サルサソースはホット。
パクチーも入っている。なかなかイケるが、辛いぞ。タバスコの出番は無し。
満腹になったwww
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ここで濡れた体をしばし休めて、13時10分発仙流荘行のバスに乗車。
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林道の途中では猿や鹿を見かけた。
2週間前はここで熊を見たな、そういえば。

戸台大橋を渡るころにはすこしだけ晴れ間が。
あれ?と思ったがやはりその後天気は崩れた。
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仙流荘で500円支払い、風呂に入る。
ただ、ここのお風呂は正直なところ大変普通である(笑)
外来の食事も14時までしか出来ない。
これも大変残念である。
広河原も同じような感じなのだろうか。

なお。持ち込みは禁止されているが、仙流荘の無料の休憩室はありがたい!
贅沢は言えないね。
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仙流荘の無料休憩室。ここで帰りの列車をチェック。

仙流荘から公共交通機関を使って伊那側に出ようとすると路線バスを乗り継いで伊那市に出るしかない。しかし、このバスは大変不便。高遠で乗り継ぎをしないといけないし、2時の次の便はなんと6時。とても実用的ではない。
せめて伊那か塩尻への直通便が一時間に一本あればよいのだが。

結局、しなの号の出発時間と連動したパノラマライナーを利用することにした。木曽福島まで2000円。
JR関東バスが運行。乗ったのは私を含めて2名。一人はこれから福岡に帰るという60代の女性。「山と食欲と私」に出てくる鯰江さんのような素敵なマダムだった。木曽福島に行くまでいろんな山の話をしてもらい、楽しい時間を過ごすことが出来た。大先輩のお話しを聞いて、まだまだ山は楽しめそうだと実感した。

雨はいよいよ本降りになった。
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木曽福島には予定どおり10分前に着いた。
窓口でしなのの切符を購入。駅弁は販売していないとのこと。
駅前のお土産屋にも弁当はなく、仕方無くサンドイッチを購入。
名古屋か大阪で食べるしかなさそうだ。
仙流荘が14時で食事の提供を止めるので、このバスを利用する人はみんな私と同じ運命をたどることになると思う。パノラマライナーをご利用のみなさん、木曽福島駅には弁当屋は無いぞー!食べる時間は無いぞー!

実は仙丈ヶ岳からの下りで、今日は伊那市で一泊して明日帰ろうと考えた。
が、仙流荘から伊那市の宿に電話してもどこもかしこも満室。
何かイベントがあるのかと聞くと地元の伊那北高校が大同窓会を開催するとのこと。
なるほど。父に聞くと伊那北はスポーツも出来る進学校で、団結も強いとのこと。
ここは地元優先ということで諦めた。
ちなみに、木曽福島の宿も駅から遠いところしか空いてなかった。今回は縁がなかったな。
次回またトライしてみよう。下山後に温泉&畳の布団&おいしい店のセットでいきたい。
ああ、しかし頭の中がローメンやかつ丼でいっぱいだっただけにちょっと凹んだよ。まじで。

木曽福島から5分遅れで18:35に乗ったワイドビューしなの22号は途中の遅れを解消し、予定通り20:05に名古屋に到着。新幹線の乗り継ぎは少しずらして予約をしておいたので、新幹線ホームできしめんを5分でかっこむ。温かくておいしかった!
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新大阪に下りると何やらホームが混んでいる。
どうやら近江八幡の人身事故の影響で新快速が遅れているらしい。
かなり混んでいたが、なんとか22時前に帰宅することが出来た。

はじめての山、はじめての公共交通機関の旅、しかも台風接近で臨機応変が求められた
今回の山旅。乗り継ぎが多くてドキドキしたが、やはり公共交通機関の旅はなかなかどうして疲れる。次回は再考の余地ありだ。

参考までに今回のYAMAPのデータを貼り付けてみる。
花を撮影していた時間は休息時間とカウントされている様子。
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