第235回 芦沢央 『許されようとは思いません』秀逸な5つのどんでん返し

第235回 芦沢央 『許されようとは思いません』

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内容

「これでおまえも一人前だな」入社三年目の夏、常に最下位だった営業成績を大きく上げた修哉。上司にも褒められ、誇らしい気持ちに。だが売上伝票を見返して全身が強張る。本来の注文の11倍もの誤受注をしていた―。躍進中の子役とその祖母、凄惨な運命を作品に刻む画家、姉の逮捕に混乱する主婦、祖母の納骨のため寒村を訪れた青年。人の心に潜む闇を巧緻なミステリーに昇華させた5編。




5つの短編が収められていて、どれも粒揃いの作品集です。

どんでん返しのストーリーも面白いですが、
文章が丁寧で明快なので非常に読みやすく、多くの人に指示されるのがよく分かる内容でした。


『目撃者はいなかった』
誰もがあり得る話で、
主人公が仕事のミスの隠蔽をすることでどんどん追い詰められてしまう内容。
身近なテーマなだけあって、臨場感があり、最後は自分自身にナイフを突きつけられるような緊張感ある内容で良かった。

『ありがとう、ばあば』
サイコパスの生成方法を見せられた。
どんどんばあばがエスカレートしていき、
最後にどんでん返しされる緊迫感が良い。

『絵の中の男』
悲劇の画家が描いた呪いの絵画、
作品の雰囲気は横溝正史のようやどろっとしたものがあり、1番好きです。
ラストも◎

『姉のように』
読者を欺く方向が意外と新鮮かな?と思いました。
どんでん返しもそうですが、子育てに追いこまれて、悲劇を起こす描写が流石です。

『許されようとは思いません』
表題作。謎解きどんでん返しでありながら、爽やかなラストの怪談でもある。
限られたページ数にいろんな要素が散りばめられていて、才能溢れる作品です。



第234回 トマス・ハリス 『羊たちの沈黙』伝説の映画原作で、不朽の名作

第234回 トマス・ハリス 『羊たちの沈黙』


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内容
FBIアカデミイの訓練生スターリングは、9人の患者を殺害して収監されている精神科医レクター博士から〈バッファロゥ・ビル事件〉に関する示唆を与えられた。バッファロゥ・ビルとは、これまでに5人の若い女性を殺して皮膚を剥ぎ取った犯人のあだ名である。「こんどは頭皮を剥ぐだろう」レクター博士はそう予言した…。不気味な連続殺人事件を追う出色のハード・サスペンス。




世界中を席巻した映画の原作。
人喰いの猟奇殺人の代名詞になるほどのレクター博士が登場する伝説の作品。


映画ではアンソニーホプキンスがレクター博士を、
主人公のクラリススターリングをジョディフォスターが演じ、
共にアカデミー賞を授賞し、代表作のひとつになっています。


異常な猟奇連続殺人と、それを追うFBIのスターリングの鬼気迫る対決は、

現在でも色褪せることなく読者を戦慄させる大傑作。



正直、日本語訳が読みづらく、読むのにかなり時間がかかってしまいましたが、


単なるサスペンスではなく、
殺人犯の心理や、主人公のトラウマと救済、など精緻に描かれていて、読みごたえは抜群です。

翻訳はできるだけ原作の匂いを残しているために読みづらくなっているのだと思うところが多いのでしょうがないとも思いますが、、




また、これだけ有名になったレクター博士が、
ある意味、捜査の助言役でしかないというところも凄いところだと思います。

実際に主人公が追いかける犯人はまた別のバッファロー・ビルなので。


なかなか読み抜くのに読者の労力も必要ですが、
生涯心にひっかかる作品になりそうです。






第233回 『てとろどときしん 大阪府警・捜査一課事件報告書』切れ味鋭い、切ない結末の演出

第233回 『てとろどときしん 大阪府警・捜査一課事件報告書』

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内容
フグの毒で客が死んだ事件をきっかけに意外な展開をみせる表題作「てとろどときしん」をはじめ、大阪府警の刑事たちが大阪弁の掛け合いで6つの事件を解決に導く、直木賞作家の初期の傑作短編集。



大阪を舞台にした、人情味溢れる短編集。

初期の作品集です。

表題作の『てとろどときしん』

のラストがとにかく良かった。

結末としては、目新しいものではないかもしれませんが、

結末の演出の仕方、
不意に読者にナイフを突きつけるようなラストです。

その他の作品も、
トリック重視、
人物描写重視、
など、初期の黒川作品を存分に味わえる作品集です。


表紙とタイトルが渋すぎなので、読むのを後回しにしてましたが、

ド派手ではないにしろ、良作揃いなので、おすすめです。
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ギャラリー
  • 第235回 芦沢央 『許されようとは思いません』秀逸な5つのどんでん返し
  • 第234回 トマス・ハリス 『羊たちの沈黙』伝説の映画原作で、不朽の名作
  • 第233回 『てとろどときしん 大阪府警・捜査一課事件報告書』切れ味鋭い、切ない結末の演出
  • 第232回 柳広司 『幻影城市』人工国家・満州で繰り広げられる謀略とロマン
  • 第231回 蘇部健一 『あなたをずっと、さがしてた』ラストのどんでん返し
  • 第230回 下村敦史 『サハラの薔薇』極限状態の果てに待つ陰謀
  • 第229回 吉田修一『愛に乱暴』カテゴライズ不能の濃密小説
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