激オシ小説レビュー・感想

第240回 法月綸太郎 『二の悲劇』

_SL480_

内容
顔を焼かれたOLの死体が都内のマンションで発見された。三角関係にあった同居の女は逃亡。単純な怨恨殺人と見られたが、被害者の胃から見つかった鍵が複雑な迷宮への扉を開けていく。殺されたのは誰だ?名探偵法月綸太郎は絡みあう謎が解けるのか?悲劇シリーズ第二弾!




読者を迷宮に誘いながらも、最後は名探偵が出口まで案内してくれる推理小説の楽しさを味わえる作品。 

特にこの作品は迷宮感が強かった。


『卒業写真』の歌詞と共に幾つかのパートから語られる込み入ったストーリーです。

二人称で語られるパートは抽象的で観念的な内容でつかみどころがなく、多少難解。

ただ、再読してみると、ラストにつながるように示唆されているところがいくつかあるので2回目も面白かった。


ネタバレギリなしで書きます。
ラストのタネ明かしは推理小説的に際どいところもあるのかもしれませんが、

「お前もだったのか!」

という衝撃がしっかり感じれたので個人的には全然OK


『一の悲劇』の方がストレートで分かりやすいところもありますが、
こっちはこっちで名作だと思います。




第237回 法月綸太郎 『一の悲劇』


_AC_SL1500_


内容
「あなたが私の息子を殺したのよ!」山倉史郎は狂乱する冨沢路子の前に絶句した。それは悲劇的な誤認誘拐だった。犯人は山倉の子と誤って、同級生の路子の子を拉致したらしい。しかも身代金授受に山倉は失敗、少年は骸となって発見されたのだった。鬼畜の仕業は誰が、なぜ?やがて浮かんだ男には鉄壁のアリバイがあった。名探偵法月綸太郎と共にいたというのだ…。



揺さぶられたな~

というのが読み終わっての感想です。


誘拐事件を機に、悲劇がひとつひとつ暴かれ、ラストの惨劇まで一気に作者に翻弄されながら読まされたという印象です。



誘拐の動機から様々な秘密が暴かれるという展開は割りと多いかもしれませんが、

秘密のほのめかし→暴露

容疑者の浮上→容疑の解消

という流れが絶妙に繰り返されることによって、緊張感のあるストーリーになっていて一気読み必死です。


ネタバレになりそうですが、
『一の悲劇』というタイトルのタネ明かしも二段構成で捻っていて、ストレート過ぎず良かったです。







第238回 高木彬光 『人形はなぜ殺される』

_AC_SL1500_

内容
衆人監視の白木の箱の中から突如消えた“人形の首”。直後、殺人現場には、無惨な首なし死体と、消えたはずの人形の首が転がっていた。殺人を予告する残酷な人形劇。それは犯人からの挑戦状か!?神津恭介がアリバイトリックに挑む。著者の校正用初版本の加筆修正を採った決定版。同時期に書かれた短編「罪なき罪人」「蛇の環」を収録。







1955年に発表された不朽の推理小説


人形が殺され、それに続くように生身の人間が殺されるという怪奇趣味が溢れる設定が読者を異世界に連れていってくれる名作。


さらに、人形が殺されるのは怪奇色を出すためだけではなく、
論理的な理由から殺されていて、トリックにとって必要不可欠になっているというところが驚嘆の一言です。



ネタバレかもしれないですが
この作中では4回の事件が勃発します。
特に2回目の事件のトリックは数ある推理小説の中でもクオリティが最高峰であることは間違いないです。


魔術師(マジシャン)の登場人物や人形殺人、首なし死体、黒魔術など怪奇的な雰囲気がとても好きなんですが、

その中で本格推理小説的なロジカルな解決がしっかりとしているところが様々な作品に影響を与える抜きん出た作品である所以かなと思います。



また、『人形はなぜ殺される』は
名探偵の神津恭介のシリーズにあたります。
ただ、この作品ではかなり犯人にしてやられているので、名探偵感が薄いかもしれません。

もし、初めての神津恭介シリーズならば、
光文社文庫の新装版がオススメです。

『罪なき罪人』『蛇の環』
という神津恭介が登場する短編も後ろに収録されているので、
『人形はなぜ殺される』を読む気持ちをグッと堪えて、
短編から読んで神津の推理劇を堪能し、『人形~』に入るのもいいかもしれません。

この2つの短編もかなり秀作です。




このページのトップヘ

ーバーレイ広告は掲載できません。