激オシ小説レビュー・感想

2017年05月

第80回 乙一『銃とチョコレート』
image


乙一さんの作品はどれも部下を引っ張ってくれる上司みたいなリーダーシップがあるなあーと思います。
どんどん物語に引っ張ってくれるような。

今回の『銃とチョコレート』も児童書としてかかれているのでよみやすいし、大人でも楽しめるところがさすがという感じです。


子供でも読めるように無闇にひらがなをつかっていて、どうやら乙一さんが小さい頃感じが嫌いだったみたいで、漢字に対する復讐なんだとか笑


「移民」、「差別」なんかもテーマになっていて、今一番世界でホットな(悪い意味で)問題ですね。
個人的には移民を入れる政策は反対ですし、この話の中にもちらっと「祖国」への忠誠心の話がありましたけど、アイデンティティは捨てることができないし、移民だからこそそれを強く意識してしまう。もとからすんでいる人間と移民の衝突は生まれざるを得ないものだなと思いました。

リンツ(主人公)みたいになにか問題をおこすと「移民だから」となってしまうのは悲しいですね。(現状で移民に仕事を奪われているような国はしょうがないですけど)

それぞれの祖国で、過ごすのが一番いいんじゃないかなと思いますけどね。
そのなかで国同士がインターナショナルな関係を深めるのがいいんじゃないですかね(グローバル化じゃなくて国際化)。


それでも今現状で隣にいる人には分け隔てなく接するべきだなとは思います。


なんだかんだ児童書のわりにいろいろな思いがうかんでくるし、ストーリーも面白いしいい本やなと思いました。
あと挿し絵が怖すぎてすごい!笑


あらすじ

大富豪の家を狙い財宝を盗み続ける大悪党ゴディバと、国民的ヒーローの名探偵ロイズとの対決は世間の注目の的。健気で一途な少年リンツが偶然手に入れた地図は事件解決の鍵か!?リンツは憧れの探偵ロイズと冒険の旅にでる。王道の探偵小説の痛快さと、仕掛けの意外性の面白さを兼ねる傑作!

第79回 貴志祐介 『黒い家』
image

この作品の時はまだ新人作家だったはず!?
このクオリティはすごいなあ~

日本ホラー小説大賞受賞作
特にラストは2回3回とたたみかけるところは作者の言葉借りれば全身の血が凍りつくような展開




それに加えてちょっと昔の話ですが、
現代の歪んだ社会構造や、サイコパスとは、精神異常とは、異常者形成への環境や遺伝の影響、なんかも取り上げていて、奥深いです。
そもそもサイコパスと"普通だと思っている人間"の境界なんてあるのか?


貴志祐介さんの原点でありハイクオリティな作品でした。

あらすじ
若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。ある日、顧客の家に呼び出され、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者になってしまう。ほどなく死亡保険金が請求されるが、顧客の不審な態度から他殺を確信していた若槻は、独自調査に乗り出す。信じられない悪夢が待ち受けていることも知らずに…。恐怖の連続、桁外れのサスペンス。読者を未だ曾てない戦慄の境地へと導く衝撃のノンストップ長編。第4回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。

第78回 北山猛邦 『私たちが星座を盗んだ理由』
image


なかなか最近人気の小説。
ドラマ化されてるみたい。

なんだかんだ文学的とか、文章が繊細とか、社会派とかいろいろストーリーのおもしろさプラスアルファの小説もいいけど、
こういう直球でズバッとおもしろいミステリーはやっぱい、いいですね。

最初の短編『恋煩い』
高校生の恋愛っていいなーとかほんわかしてたらラスト近づくにつれて不穏な空気。
最期の一行で
「うーわ!最悪!」
とひとりで叫んでしまった、、笑

何個かは考えさせられるような話もありましたけど、基本シンプルにおもしろい!
それが魅力やなと思った小説。


あらすじ

難病の女の子を喜ばせるため、星座を一つ消して見せる男の子を描く表題作ほか、5つの物語のすべてに驚愕のどんでん返しが待つ、ファンタジックな短編集。優しく、美しく、甘やかな世界が、ラストの数行で残酷に反転する衝撃は、快感ですらある。まさに、ミステリの醍醐味!



第77回 辻村深月 『鍵のない夢を見る』

image

人気作家辻村深月さんの直木賞受賞作

5つの短編
さすがだなという描写力
字を追っていると、その上に映像が浮かんでくるような感覚。

それにしても出てくる男がどれもアホばっかりで心がいたい笑
反面教師や

どの話もめちゃくちゃ凄まじい展開があるというわけではないけど、胸がキューっとなったり、やるせなかったり、バラエティにとんだ作品でイッキ読み




第76回
『明日と明日』トマス・スウェターリッチ
image


よかったです。
ところどころ詩が挿入されていたり(作者が文学の修士だとか)、アメリカならではの店とか食べ物とかでてきたりするので、若干読み進めるのにてこずったとこはありましたが、作品の世界観は抜群によかった。

文章が冷静で、SF的な仕掛けが当たり前のようにでてくるところなど、逆にフィクションに呑み込まれるような感覚になる。

そんで、SFのなかでも丁寧に人間を描いているのが好印象です。

※あらすじ※
テロリストの爆弾でピッツバーグが〈終末〉を迎えてから10年。仮想現実空間上に再現された街アーカイヴでの保険調査に従事するドミニクは、亡き妻との幸せな記憶が残るアーカイヴに入り浸る毎日を送っている。だが調査対象の女性が殺されている映像と、何者かがそれを消そうとした痕跡を見つけたことから、彼は真実と幻影、過去と現在が交錯する迷宮へと迷い込んでいく……。新鋭の鮮烈なデビューを飾る近未来ノワール。





あと文庫の表紙クールすぎてずっと見てたい。

このページのトップヘ

ーバーレイ広告は掲載できません。