激オシ小説レビュー・感想

2017年09月

第108回 美輪和音 『強欲な羊』

[画像:849c2f9f-s.jpg]

「羊」がテーマの短編集

ゴシックミステリーのような
表題作「強欲な羊」、
「ストックホルムの羊」

から

現代の不倫や家族をテーマにした
「背徳の羊」
「眠れぬ夜の羊」

最後に各作品がリンクした
「生け贄の羊」

などバラエティ豊かな短編集です。

ミステリーとして見事な伏線、どんでん返しがあり素晴らしいですが、

なんといっても

怖い……
ホントに怖い……

着信アリの脚本家さんだと知らずに読んだので、後で知って納得のコワさ

ホラー的な要素を含んだ作品もあるんですが、
とにかく、イカれた女性、自分のエゴむき出しのサイコパス女の描写やセリフ、ストーリーが本当に怖い、笑

この女のコワさは女性ならでは、かなと。


読んだのが夏でよかった……
冬だったら凍えてた……

第107回 真藤順丈 『しるしなきもの』
[画像:a27b6220.jpg]

現代の「神話」と噂される名作

ヤクザ親玉の妾の子が父を抹殺し、血を絶つ決意をし、奔走する物語。

ヤクザものにありがちなバイオレンス描写はもちろんありますが、それすらも神聖なものに感じられてしまう不思議な物語。

半陰陽で男女どちらの性も持たない主人公がさらに神話要素を産み出している


半陰陽を身内に悟られてはいけない、裏切り者であることを悟られてはいけない、そんなストーリーが極度の緊張感を持って語られ、
さらには軍事的な緊張まで話が広がり、壮大なスケールをもって読者を惹き付ける。
作者の筆力に感嘆。

最後には話をひっくり返す要素もあり大満足です。


あらすじ
新人賞4冠を達成しデビューした著者、待望の新刊。父と子の人間ドラマを描いた、一気読み必至の王道エンターテイメント! 

母さんが弔われるその日に、ぼくの父さんは祝言をあげた。 
そして、ぼくは父さんを殺すことにした。 

日本一のヤクザ組織の長・早田征城。その愛人の息子・桂介は、母の死をきっかけに、組に入ることを決意する。母を捨てた父を抹殺し、穢れた早田の血脈を絶つために。裏切り者であること、そして、決して知られてはならないもうひとつの秘密を抱えながらも、桂介は着々とのし上がっていくが――。

第106回 米澤穂信 『真実の10メートル手前』

[画像:c1137792.jpg]

人気の太刀洗シリーズです。

『さよなら妖精』との関連性もあるのでできれば読んでいた方がいいとは思いますが、この作品のみ読んでも楽しめるはず。

記者としての太刀洗の矜持も披露され、驚きの結末っ!という感じのシンプルな謎解きとはまた違った味が出てると思います。

真実を白日のもとに晒すのが記者か?
人の恥部を暴く仕事に誇りはもてるのか?

そういう命題にも真っ向から挑む。


ミステリーの枠にはまらない良短編集です。

あらすじ
高校生の心中事件。二人が死んだ場所の名をとって、それは恋累心中と呼ばれた。週刊深層編集部の都留は、フリージャーナリストの太刀洗と合流して取材を開始するが、徐々に事件の有り様に違和感を覚え始める…。太刀洗はなにを考えているのか?滑稽な悲劇、あるいはグロテスクな妄執―己の身に痛みを引き受けながら、それらを直視するジャーナリスト、太刀洗万智の活動記録。日本推理作家協会賞受賞後第一作「名を刻む死」、本書のために書き下ろされた「綱渡りの成功例」など。優れた技倆を示す粒揃いの六編。

このページのトップヘ

ーバーレイ広告は掲載できません。