第116回 貫井徳郎 『空白の叫び』
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殺人を犯した3人の少年の壮絶な人生を描いた物語です。

少年ならではの性衝動や嫉妬、自尊心など圧倒的な密度とボリュームで語られていて、上中下巻と少し長めですが、納得の量かと思います。

周りの世界が思い通りにいかない、自分の中にどうしようもない醜い感情が浮かんでしまうことを、自らに理由を求めるか、それとも全てまわりのせいにしてしまうか、そこは人間としての分かれ道になるということが残酷なストーリーから伝わってきました。

3人の少年の感情は理解ができるが、その中のひとりの神田にどうしても嫌悪感を感じてしまうのは、もしかして自分と似ているからかもしれないし、他の二人に共感してしまうのは自分の中に人を殺す芽があるかもしれないと思うと恐怖せずにはいられなかったです。


これまでの、人生やこれからの人生に考えを巡らさずにはいられない小説です。

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※あらすじ※

「普通の中学生」がなぜ殺人者になったのか 

久藤美也は自分の容姿や頭脳が凡庸なことを嫌悪している。頭脳は明晰、経済的にも容姿にも恵まれている葛城拓馬だが、決して奢ることもなく常に冷静で淡々としている。神原尚彦は両親との縁が薄く、自分の境遇を不公平と感じている。〈上巻〉第一部ではこの3人の中学生が殺人者になるまでを、その内面を克明にたどりながら描く。その3人が同じ少年院に収容されて出会うのが第二部。過酷で陰湿な仕打ちで心が壊されていく中、3人の間には不思議な連帯感が生まれる。〈下巻〉第三部。少年院を退院した彼らはそれぞれ自分の生活を取り戻そうとするが、周囲の目は冷たく、徐々に行き場をなくしていく。そして、再び3人が出会う日がくる。 少年犯罪を少年の視点から描いた、新機軸のクライムノベル。
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