第203回 宮内悠介『月と太陽の盤』

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内容
放浪の碁盤師・吉井利仙と、彼を師と慕う若き囲碁棋士・愼。ふたりが出会う入り組んだ謎の先に見える情念の闇と論理の光。囲碁をめぐる宿命に取り憑かれたような不思議な事件の数々は、ふたりに何をもたらすのか? 静かな迫力に満ちた逸品。

『盤上の夜』を読んでから追いかけているSF作家。

『月と太陽の盤』では碁盤を作る碁盤師・吉井利仙と彼を慕う少年棋士の愼(しん)が遭遇する謎や事件を描いた、本格趣向のミステリー短編集


碁の世界を扱っているので、どの作品も上品で気品溢れるものになっていて雰囲気が良いです。




SF作家として活躍する作者なので、ミステリーはどうか?

という感じで読み始めましたが、
ホームズ役の利仙、ワトスン役(自分で解決する作品もあるが)愼という配役や、

「碁盤に線を引くだけです」という水戸黄門ばりの決め台詞など

王道の本格ミステリーに仕上がっていて、本当に幅の広い作家だと感動しました。



落語家のホームズ役を擁した、
北村薫の「円紫さんと私」のシリーズにも通じるような本格ミステリーに仕上がっています。


盤に秘められた親子の悲劇『青葉の盤』、
贋作を巡る駆け引き『焔の盤』
対局を控えた棋士の殺人事件を鮮やかに愼が解決する表題作『月と太陽の盤』
など魅力溢れる作品集です。




宮内悠介ならではの作品の深さ、盤上への愛を感じる作品で作者ファン意外のミステリーファンにもオススメです。