第218回 山下澄人 『しんせかい』

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内容

十代の終わり、遠く見知らぬ土地での、痛切でかけがえのない経験――。19歳の山下スミトは演劇塾で学ぶため、船に乗って北を目指す。辿り着いたその先は【谷】と呼ばれ、俳優や脚本家を目指す若者たちが自給自足の共同生活を営んでいた。苛酷な肉体労働、【先生】との軋轢、そして地元の女性と同期との間で揺れ動く思い。気鋭作家が自らの原点と初めて向き合い、記憶の痛みに貫かれながら綴った渾身作!



たぶん、
山下澄人の文章は合う合わないがあると思います。
私的には結構クセになる感じで好きなんですよね。

芥川賞受賞作品を、いくつか最近読んでますが、

なんとなく
ユーモラスで、
ボーッとしていて、
変な感じがする文章で読んでいて心地よい。

苦手な人もいるでしょうが。


『しんせかい』は何を扱っているのかよくわかりませんが、芥川賞作品のなかでは割りとストーリーらしきものがあるので読みやすいかな?

俳優や脚本家を目指す人々が【谷】で暮らすという作者の自伝的小説。


ボーとっとした文体で、
ボーッとした主人公が、
集団に“染まっていく”ようで“染まってない”
少し客観的な心情描写が面白かった。


この小説は割りと作中の肝心なイベントを物凄くサラッと流して、
ラストもスパッと終わる、
良くも悪くもテキトーさが肩に力を入れずに読むことができました。


一緒に、
『率直に言って覚えてないのだ、あの晩、実際に自殺をしたのかどうか』
という掌編も入ってましたが
タイトルどおりの、混乱と自己完結が味わえます。


まあ、山下澄人知らない人も、
ちょっと読んでみるとクセになるかもしれないし、
ならないかもしれないですが、
長い作品でもないし、
ちょっと読んでみれば?
という感じの作品。