第238回 高木彬光 『人形はなぜ殺される』

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内容
衆人監視の白木の箱の中から突如消えた“人形の首”。直後、殺人現場には、無惨な首なし死体と、消えたはずの人形の首が転がっていた。殺人を予告する残酷な人形劇。それは犯人からの挑戦状か!?神津恭介がアリバイトリックに挑む。著者の校正用初版本の加筆修正を採った決定版。同時期に書かれた短編「罪なき罪人」「蛇の環」を収録。







1955年に発表された不朽の推理小説


人形が殺され、それに続くように生身の人間が殺されるという怪奇趣味が溢れる設定が読者を異世界に連れていってくれる名作。


さらに、人形が殺されるのは怪奇色を出すためだけではなく、
論理的な理由から殺されていて、トリックにとって必要不可欠になっているというところが驚嘆の一言です。



ネタバレかもしれないですが
この作中では4回の事件が勃発します。
特に2回目の事件のトリックは数ある推理小説の中でもクオリティが最高峰であることは間違いないです。


魔術師(マジシャン)の登場人物や人形殺人、首なし死体、黒魔術など怪奇的な雰囲気がとても好きなんですが、

その中で本格推理小説的なロジカルな解決がしっかりとしているところが様々な作品に影響を与える抜きん出た作品である所以かなと思います。



また、『人形はなぜ殺される』は
名探偵の神津恭介のシリーズにあたります。
ただ、この作品ではかなり犯人にしてやられているので、名探偵感が薄いかもしれません。

もし、初めての神津恭介シリーズならば、
光文社文庫の新装版がオススメです。

『罪なき罪人』『蛇の環』
という神津恭介が登場する短編も後ろに収録されているので、
『人形はなぜ殺される』を読む気持ちをグッと堪えて、
短編から読んで神津の推理劇を堪能し、『人形~』に入るのもいいかもしれません。

この2つの短編もかなり秀作です。