第280回 徳永圭 『XY』

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内容
強くも儚い女の執念を描いた、ひりつくような愛憎サスペンス。

専門商社に勤める宗谷聡子は、弁理士の堂島と出会い惹かれるが、彼の隠された秘密を知ってしまう。やがて堂島の海外勤務を告げられ、絶望に沈んだ聡子は許されざる禁断の行為に出ることを決意する――。



比較的コメディ感の強い作風が多かった作者ですが、
『XY』では、男女の恋愛と女性の人生に真摯に向き合ったシリアスなサスペンス作品です。



金沢を舞台に、重くのし掛かる曇天のような苦しいストーリーに、
目を背けたくなる部分もあったんですが、
作者の真剣さに圧倒されながら、最後まで心に響く作品です。


始まりと終わりだけが時間軸が違うんですが、
この二つを比較すると、
最初はおそらく暗い未来を予兆しているのに対して、
ラストでは光を見せてくれる上手い構成です。


登場人物もマイノリティの同期とか、
優しさの仮面を被った●●とか、
魅力的なキャラクターで、人物描写もいい感じです。



人間の悪意に翻弄されながらも、
愛する人の子を授かりたい女性の気持ちをシリアスに描いた作品です。